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オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『ショパン~愛と哀しみの旋律』

2011-06-10 | おすすめ映画

映画『ショパン~愛と哀しみの旋律』を観てきました。
画家や音楽家は、作品は残るけれど、その人生についてはそれほど知られないものです。
だけど作品と人生は切っても切り離せないもの。
作家がどういう状態の時にその作品が作られたのか背景を知ることは、作品理解に深みを与えます。

この映画はできるだけ事実に忠実にショパンの実像に迫ることを意図して作られたらしいです。
故郷ワルシャワへの想い、音楽への想い、ピアノへの想い、愛する人への想い・・
いろんな感情があの名曲たちを創り出してきたということが伺い知れます。

こちらが予告編の動画です。


39年という短いショパンの生涯。その中で生み出された曲に、どことなく漂う哀愁の意味が少しだけわかったような気がします。
何度も分裂や分割を繰り返したショパンの祖国ポーランド。
ショパンのポーランドへの想いは、同じくポーランド生まれのイェジ・アントチャク監督はじめスタッフの人たちのポーランドへの想いとも重なるのかもしれないですね。
ショパンの数々の名曲に乗せた回想シーンの演出は見事でした。

それにしても、私たちが何気なく弾いている1冊の楽譜の中にショパンが子供の頃から練習していたバッハやモーツアルトの曲があって、ショパン自身の曲があって、ショパンの友人でもあったリストの曲もあって。
素晴らしい音楽は100年、200年の時代を一気に越えていくんだなと改めてそのすごさに圧倒されます。

ショパンの曲がどうしてこんなにも人の心を打つのか、その理由が少しわかった気がします。
音楽はどこまでも深くて高い・・。
まだまだ精進ですね。



幸せの経済学

2011-05-16 | おすすめ映画

今日は久しぶりに友人のTちゃんが遊びに来てくれた。
実に5年ぶり・・くらいかな。
会わない間にお互いにいろいろあって、それぞれに変化していた。
偶然の再会は、先日の反原発デモの原爆ドーム前でというのも本当に奇遇。
でも見事に全てはつながってるな~って実感できた。

そんなTちゃんから、興味深い映画の話を聞くことができた。
それは『幸せの経済学』という映画。
なんと5月22日(日)に全国100カ所で同時に自主上映会が開かれるらしい。
広島では東広島と福山の2カ所だけっていうのが不思議だけど。

観に行きたいな。行けるかな。
予告編はこちらです。



公式ページはこちら
全国で上映会があるので興味のある方はお近くの上映会場に問い合わせてみてくださいね。

 


デカワンコ

2011-03-26 | おすすめ映画

『デカワンコ』終わっちゃいましたね~~。
結構楽しく観てたんですけど。
多部未華子演ずるワンコちゃんが、クンクン、クンクンって鼻で嗅ぎ回るのが可愛かったよね(笑)。

このドラマ、ホント楽しかった。
キャスティングと脚本がサイコーでした。音楽も『太陽にほえろのテーマ』の小西康陽アレンジがカッコ良かったし、いろんなところに飛び出してくるパロディが楽し過ぎました。

大倉孝二さん、いい味出してましたねえ。この人の演技結構好きです。『陽気なギャングは地球を回す』に出演されてたのが印象的でした。
あとは吹越満さん。この人の演技は昔から大好き。

このドラマも原作は漫画だそうですね。
ドラマのための書下ろしって最近もう少ないね。
というわけで、土曜日の夜のちょっとした楽しみが減ってちょっぴり残念な私です。

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映画『キック・アス』

2011-02-21 | おすすめ映画

今日は『キック・アス』という映画を観に行きました。
久々に爽快な映画だったな~~~。
R−15指定。結構残酷なシーンやスラングなんかも多いからね(笑)。

「アンジェリーナ・ジョリー主演の『ウォンテッド』の原作で知られる、マーク・ミラーの同名コミックを、ブラッド・ピットをプロデューサーに据え映画化。ヒー ローに憧れる平凡な高校生が、スーパーヒーロー“キック・アス“になろうと奮闘する姿を描く。過激なバイオレンス描写の中にも少年の成長物語という普遍的 な要素を織り交ぜた快作。(映画の紹介ページより)」

何と言っても、クロエ・グレース・モリッツがめっちゃ可愛かった。
『レオン』のナタリー・ポートマンや、『ハリーポッター』のエマ・ワトソンみたいにビッグになっていくんでしょうね~~。
アクションシーンが凄かった。とにかく爽快。また観たい。

公式サイトはこちらです。


シネマ歌舞伎『法界坊』

2011-01-20 | おすすめ映画

今日は福屋に新しくできた映画館八丁座へ、シネマ歌舞伎『法界坊』を観に行きました。
人生初の歌舞伎体験!!(しかも映画館(笑))。

市川海老蔵の事件がニュースになった時に、きっと自分に一生縁がない世界が「歌舞伎」と「大相撲」だろうな~なんて思ってたわけですが、ある日たまたま観ていた八丁座のサイトで「シネマ歌舞伎」というのがあるというのを知って、ちょっとだけ興味が沸いてしまいまして。
しかもこの演目のストーリーと、中村勘三郎の演じる法界坊が、あまりに志村けんのあの「変なおじさん」にそっくりで(失礼)、どうしても観たくなっちゃいました(←それが決め手?)(笑)

この作品のみどころは以下の通り。

 金と女が大好きな法界坊(勘三郎)は、どこか憎めない愛嬌あふれる乞食坊主。永楽屋娘お組(扇雀)に恋い焦がれる法界坊は、盗まれた吉田家お家の重宝“鯉魚の一軸(りぎょのいちじく)”をお組と恋仲である手代の要助(実は、吉田宿位之助松若(よしだとのいのすけまつわか)・勘太郎)が探し求めていると知ります。いい金蔓(かねづる)を見つけた欲深い法界坊に、永楽屋番頭の正八(亀蔵)や山崎屋勘十郎(笹野高史)らも加わり、鯉魚の一軸を巡る悪巧みが繰り広げられます。一度は道具屋甚三郎(実は吉田家の忠臣・橋之助)にやり込められ散々な目に遭った法界坊でしたが、お組の父永楽屋権左衛門(彌十郎)と松若の許婚の野分姫(七之助)らも巻き込み、さらに数々の悪行を行うのでした。
 最後に今作の大きな見どころのひとつ大切所作事「双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」では、法界坊と野分姫の霊が合体したお組そっくりな葱(しのぶ)売りの女(勘三郎)が、徐々に本性を現しながら変化に富んだ舞踊劇を魅せます。
 笑いたっぷりのユーモラスな掛け合いから、歌舞伎の様式美まで、歌舞伎の世界を存分にお楽しみください(作品ラインアップより)。

どう、面白そうでしょう?

こちらがYou Tubeの予告編。

2時間半の映画は、あっと言う間でしたねー。
幕間でのお客さんとの掛け合いとか、あの有名な「中村屋!!」とか言う大向こうのかけ声とか聞けたのも楽しかった。

大向こうのかけ声についてはほぼ日のこちらのページ『大向こうの堀越さん』という面白い記事があります。

ストーリーもテンポもいいし、役者さんの立ち回りや踊りもカッコイイ。
昔の言葉を使いながら、時折台詞からはずれた「素」のやりとり風のアドリブが混ざるのも舞台ならではの面白さ。
初心者にもわかるように勘三郎さんが解説してくれたりするシーンもあったりします。
歌舞伎独特の台詞回しももちろん面白いし、女形独特の発声もユニーク。
出演者全員が男性というのは宝塚の反対バージョン(歴史は歌舞伎が古いけど)だし、何よりやっぱ「生(なま)」の演技の迫力がありますよね。
大喜利なんてやっぱすごかったですね~。桜吹雪が舞う舞う~~。

歌舞伎もこうやって手軽に観れるとなると、なんだか親近感が沸いてきます。
今まで敷居が高いと思っていた歌舞伎だけど、こうやって映画館で2000円なら安いし、結構それなりに臨場感もあって楽しめます。
なんかハマりそう(笑)。

終わった後、ジェリーフィッシュドット経営の隣接の「カフェ茶論記憶(サロンキオク)」でお茶しました。

有機栽培コーヒーとドライフルーツをいただきました。
ここの飲み物や食べ物は映画館にも持って入れるそうです。飲み物の種類も多いしなんとおしるこなんかもあって結構嬉しいかも。

映画館のオリジナルシートもゆったりできて、お気に入りの映画スポットになりそうです。
皆さんにもぜひオススメです。




映画『ガイアシンフォニー第七番』

2011-01-09 | おすすめ映画

ライブの翌日は東京の友だちと映画を観ました。
『SPACE BATTLESHIPヤマト』と『ガイアシンフォニー第七番』
まあ、ヤマトの方は私がわざわざレビューを書くまでもないでしょうけど。
敢えて言うならキムタクはやっぱりキムタクでした。

さて『ガイアシンフォニー第七番』。
出演は北極圏の横断経験もある環境教育活動家の高野孝子、世界で最も過酷な自転車レースと言われるツール・ド・フランスの3回の優勝経験者グレッグ・レモン、統合医療の先駆者として有名な医学博士のアンドルー・ワイル博士。

高野さんは、日本の女性冒険家として、1995年に冒険家5人と5ヶ月かけてロシアからカナダまでの北極海を世界で初めて無動力(スキー・犬ぞり・カヌー)の極点横断を成功させた人。
生と死の極限の環境での旅の模様を日本や世界の子どもたちにインターネット配信で伝えながらの旅だったそうですが、通信機材を積んだソリは500キロもあったそうです。過酷な旅の途中で機材を置いていくようにメンバーから告げられても決して諦めず旅の中継を最後までやりとげたそうです。

地球の自然に対するリアルな畏敬の念と人間の生き抜く力のたくましさはしっかりと子どもたちに伝わったことでしょうね。
現在高野さんは日本の新潟での雪山キャンプやグリーンランドでのキャンプを子どもたちに体験してもらい、自らのリアルな体で自然を体験してもらうと言う環境教育活動をされています。
私は雪の中や氷の上のテントで眠った経験はないけれど、自然と体当たりすることによって得られる自信というのはきっと大きいと思います。

グレッグ・レモン氏は、26才の時に初めてツール・ド・フランスで優勝。
その1年後、猟銃事故で体に散弾銃を浴び60%の血液が体から失われるという瀕死の状態から奇跡の復活を遂げ、再びレースに挑戦。
それからさらに2度の優勝を果たしたというすごい人。
この映画の撮影のために日本を訪れたレモン氏と息子さんの紀伊半島縦断の3日間の旅の模様にレモン氏のインタビューを交えての映像でした。
自らの体験から得た深い含蓄ある言葉は、一言一言が心にしみました。

そしてアンドルー・ワイル博士は、世界的ベストセラーになった『癒す心、治る力』でも知られる医学博士。

癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)
Andrew Weil,上野 圭一
角川書店


博士は現代医学から、自然生薬、シャーマニズムまで、人が治るメカニズムを究め、現在は「統合医療」の先駆者として世界の医学界に革命を与えておられるそうです。
オーガニックと癒しのパワースポット、カナダ・コルテス島に日本の仏閣風の別宅を建てて住むほど日本好きのワイル博士の、まるでサンタクロースのような風貌と笑顔は、本物の健康や幸せは外から与えられるものではなく内側から来るものだという確信に満ちていました。

地球と私たち1人1人の個人は、あらゆる面で繋がっている。
病んでいく地球を癒すには、私たちが自分自身を癒すしかない。
今ここ、この場所からできることを、また自分からはじめていこうと思わされました。

『ガイアシンフォニー第七番』とっても素晴らしい映画です。
ぜひ皆さんも観て下さいね。
上映スケジュールはこちらです。



映画『食べて、祈って、恋をして』(ネタバレあり)

2010-09-27 | おすすめ映画

ジュリア・ロバーツの主演の話題の映画『食べて、祈って、恋をして』(リンク注:音が出ます)を観てきました。原作は世界で800万部を売り上げたという、エリザベス・ギルバートによる体験的小説。かの有名なシャーリー・マクレーンの自伝、『アウト・オン・ア・リム (角川文庫)』を思わせる心の旅を描いた物語。

ジュリア・ロバーツ演じるリズは20代で結婚して結婚8年。
子供はおらず、好きなことをして暮らしている。
だけど満たされない日々。
そんな結婚に終止符を打ち、イタリア、インド、バリと自分探しのため1年間の旅をする。

この映画の興味深いところは、リズの体験が元になっているので、主人公リズはもちろんのこと登場人物が全員といっていいほど実在すること。リズがローマで出会う本物のルカ・スパゲッティ氏とブラジル人の本物のフェリペ氏は実際よりかなり男前な俳優さんが演じてるそうで・・(笑)、まあそれもいいですよね。

そしてリズ本人を演じたジュリア・ロバーツ。
『プリティ・ウーマン』『ノッティングヒルの恋人』のようなロマンチックコメディもいいけど、彼女の映画で私が好きなのは『ペリカン文書』。今回のリズ役やこういう心理描写の難しいシリアスタッチのキャラが意外と似合ってるような気がします。
次はトムハンクスと共演でコメディだそうですが次回作も楽しみです。

ところでアメリカでは有名すぎるほど有名らしい本物のエリザベス・ギルバート。
現在の彼女は41歳。なるほど美しく聡明な女性です。
彼女の『創造性をはぐくむには』というスピーチ。
今の私にドッカーーーンとくるほどぴったりでした。

キーワードは『ジーニアス(天才)』。

私にはこの映画よりこのスピーチの方が感動しました。
作家、芸術家、ミュージシャン、建築家、そのほかクリエィティブな仕事に関わる全ての人、そしてそれらを目指している人たちにぜひ観てもらいたい。

エリザベス・ギルバート『創造性をはぐくむには』

日本語字幕も出ます(全文の日本語訳付です)。


映画『借りぐらしのアリエッティ』(ネタバレあり)

2010-08-19 | おすすめ映画

ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』ようやく観ました。
いいお話でしたね。
少し感想を書いてみたいと思います(ここから先、ネタバレあります)。

心臓に重い病を抱える少年、翔と、小人のアリエッティの出会いと心の触れ合い。
『風の谷のナウシカ』からずっと根底にある、相容れない二つの種族の出会いと別れはジブリ映画に共通するテーマのように思われます。
『崖の上のポニョ』では「人魚姫は人間になって男の子と結ばれました」という新しい人魚姫観を提供したジブリ映画でしたが、今回は「それぞれの存在を知らない状態(あるいは知っていても知らないことにしておく状態)がお互いの幸せ」というまた新しい関わり方を示した感じでしたね。

この地球に(あるいは宇宙に)住む文化や生き方の違う種族たちは、お互いの存在を知り、関わる事によって交流も深めてきたけれど、一方では関わる事によって戦いや殺し合いも生んできました。
お手伝いのハルさんがアリエッティのお母さんを見つけて捕まえてビンに入れてラップをするシーンでは、日本の子供がカブトムシとかを捕まえてビンに入れる姿が重なって、なんとなく心苦しい気分にさせられました。
考えてみたら人間って身勝手ですね・・。

「君らは絶滅する運命の種族なんだ。」という翔の言葉と、
「違うわ。私たちは生き抜いてみせる。」というアリエッティの涙ながらの力強い言葉。
最後に、翔に生きていく希望と勇気を与えたのは、このほかならぬアリエッティでした。
生きていく希望や生きたいという望みを失いかけていた少年は「守りたいもの」を見つけた時に生きる希望を取り戻す。
人って「自分のため」だけでは生きられないんですよね。

1時間半の映画はハラハラドキドキするドラマチックな出来事はそれほど起こらず、もちろんお母さんが捕まるシーンではドキドキさせられましたけど「もう終わったの?」と思うくらいの長さでした。

でもいつもながら微細なところまで丁寧に描かれた背景画や小道具の美しさは格別。
小人の目線で床下や部屋や道具を見ると、こんな感じなんだなあ~ってその気持ちまで伝わってくる絵は、ホントに素晴らしかったです。
花や草など植物の描き方も、植物好きの私にはツボ。
あと、まるで粘度を感じるような水の描き方も独特でしたね。
小人にとって水はサラサラというよりポテッという感じなんですかね?(笑)
『崖の上のポニョ』の中での水や海の描き方にも驚きましたが、ジブリ映画は結構「水」の描き方にこだわりがあるなあと思います。

それと最後に何よりこの日本の古い洋館の姿の素晴らしいこと。
青森にある『盛美園』がモデルになってるそうです。
私はジヴェルニーのモネの庭かな~?と思ったんですけど、そう言えば睡蓮はなかったですね。
こういう美しい日本の建物はずっと残して欲しい、そしてまた現代の建築に生かして欲しいものです。
『盛美園』いつか一度行ってみたいです。

余談ですが、個人的にアリエッティのお父さんは、どっかの『THE!スイカ』のTさんに似てるなあ~と思ったんですけど。
あの道具とか工具を使ってなにかしら作ってるところとか、ね。
Tさんは今や私のバンド活動に欠かせない、コレを作ってくれた人です。
気になった人はぜひ映画館に足を運んでみて下さいね。


映画『告白』(ネタバレあり)

2010-06-23 | おすすめ映画

松たか子主演の話題の映画『告白』を観ました。
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督作品。
うん・・なかなか重かった。深かった。
衝撃作だけど傑作。
始まりから終わりまで息つく暇も許さないあっという間の2時間でした。

ということで、ちょっと感想を書いてみたいと思います。
これから観る人はネタバレあるので注意してね。

物語は、とある中学の1年B組の終業式。担任の森口先生の告白から始まる。
原作を読んだY子ちゃんによれば、湊かなえ原作の『告白』も全て登場人物の一人称の告白で綴られているらしい。
娘の事故死は事故死ではなく、このクラスの生徒に殺されたという衝撃の告白。
物語は全て森口先生による娘の復讐劇。
ラストの森口先生の「なんてね・・」はいろんな意味に受け取れます。

この映画が扱ってる社会問題は、命の問題、学級崩壊、いじめ、HIV、親の離婚と再婚、単身赴任、少年犯罪、ブログ、薬品のネットでの売買、などなど多岐に渡ります。
これがある意味では現代の日本と言っても過言ではないほど。
この映画では、それをほんの少しボリュームを上げて見せてくれているだけな気もしました。

だから映画を観終わったあとも、しばらくは「ドキュメンタリー」を観たような感覚が拭えなかったですね。登場人物の「告白」を軸に進んでいくストーリー展開も相まって「こういうの、もしかしたらあるかも・・」と思わせてしまう内容でした。

少年A、少年B、そしてクラス委員の少女A。
少年AやBの母親。ウェルテルと呼ばれる新学期からクラスを受け持つことになった熱血先生。
キャスティングも良かった。
中でも、何と言っても森口先生演じる松たか子の迫真の演技が素晴らしい。
どのシーンもどの表情も見逃せない凄みがありました。
特にラストシーンの目。あれはスゴイ。
人ってホントに危うい生き物。
好きなもの守りたいものがあるほど、それが弱点になり誘惑にもなる。
「あなたはどうですか?」って問われている気もしました。

それからこの映画、とにかく映像がとても印象的。
全体的にモノトーンで色彩味を抑えた世界に真っ赤な血の色。
思い切ったカメラワークでありながらわざとらしくない画面作り。
黒澤明、ティム・バートン、レオス・カラックス、ウォン・カーウァイ、・・etc.
私は内容もさることながら映像の美しい映画が好きなんだけど、中島監督にも彼らに匹敵する力量とセンスを感じました。次回作も楽しみです。

最後にこの映画で印象的だったのは、劇中に何度も出てくる、
「○○のことは全部わかる」という他人(親も含め)の台詞。
「○○のことは全部わかる」という他人の言葉と本人の「告白」との対比が興味深かったです。
ほんとはわかってないよ、みたいな。
実際、自分のことを全部わかる他人なんてこの世にいるんでしょうか?
自分でさえ自分に嘘をつくのに。
だから、きっと「なんてね」なんでしょうね・・。

このブログを書いてる私でさえ、もしかしたら明日には違うことを考えるかもしれない。
たまに「きれいごと」を言ってるふうな自分に嫌気がさす日もある。
だけど「きれいごと」を言う人がこの世にいなくなったら、おしまいな気もしている。

こういう理不尽でドロドロした先の見えない時代だからこそ、
楽しいことや明るいこと、美しいこと面白いことを見つけては、
悲しみに負けず、笑いあって励ましあって、面白おかしく生きていきたいものです。

・・・なんてね(笑)。

ともあれ必見!!オススメの映画です。