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愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「累犯障害者」

2007年03月10日 | 書評

「累犯障害者 獄の中の不条理」山本譲司著 新潮社

 政界を引退した議員がその後どのような人生を送るのかということは、永田町で生きたきた私には常に頭の片隅にある関心事です。

 菅直人議員の秘書、都議を経て、衆議院議員となり、政策秘書給与の流用事件で実刑判決を受けた山本譲司元代議士の場合、その後の活動が表に出ている数少ない例です。

 433日の獄中での体験をまとめた「獄窓記」は大きな話題となりました。今回、私が読んだのは「累犯障害者」。

 矯正統計年報によると、知的障害のある受刑者の7割以上が刑務所への再入所者で、そのうち10回以上服役している者が約2割いるというのは驚くべき数字です。本来、福祉の対象となるべき人たちがセーフティーネットの網の目から落ちて、刑務所が行き場を失った人たちの受け皿となっているという現実があります。「刑務所の中が一番暮らしやすい」と障害者が言う社会というのは悲しすぎます。裏返して言うと、彼らには社会の中に居場所がないのが現在の現実なのです。

 この本を読んでいるといくつか「目からウロコ」の事実に気づかされました。その一つは、我々は、障害者はもっぱら犯罪の被害者になることが多いと考えがちですが、被害者と加害者がどちらも障害者というパターンが結構あること、犯罪に障害者が絡んでいる場合、特に加害者が障害者である場合には、マスコミは報道すること自体を避ける傾向があるという事実です。

 もう一つは、ろうあ者に関して書かれた部分、私は今まで「手話」を学べば聴覚障害者の人たちとのコミニケーションが可能になると思っていました。ところが、いわゆる健常者である聴者が作った手話とろうあ者が使う手話は全く違うもので、ろうあ者からは外国語のようにしか聞こえないということです。さらに、ろうあ者は、抽象的な概念が理解しにくいといったことから聴者とは違った世界観、常識というものを持っているということです。

 いずれにしろ、障害者、前科者というマイノリティーに光を当てることで、この国の矛盾というのが浮き彫りになってくると感じました。

  



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