人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

平成24年度税制改正における車体課税の見直し

2011年12月21日 | 政治
 平成24年度税制改正は、自動車取得税と自動車重量税の廃止という党の重点要望をめぐって、12月9日の深夜までぎりぎりの調整が行われ、次のような内容で決着を見ました。

○自動車重量税の1500億円規模の軽減(燃費基準達成車は本則税率化)。
○エコカー減税の3年間継続。
○第4次補正予算で3000億円規模のエコカー補助金を創設。
○自動車取得税・自動車重量税は、平成24年度税制改正の与党の重点要望に沿って、「見直しを検討」から「見直しを行う」ことを明記。

 私も今回の税制改正の議論では、自動車産業、ものづくりの地域を代表する議員として、先頭に立って、超円高による国内産業の空洞化に歯止めをかけるためにも、何としても来年度の税制改正で自動車取得税、自動車重量税を廃止を廃止すべきであると強く主張してきました。
 車体課税が既に課税根拠を失っており、自動車ユーザーにとって過度な負担になっていることは、これまでも長年主張されてきたことです。しかし、今回の税制改正議論では、とりまく環境が例年とは3つの点で大きく異なっていました。だからこそ、私としては今回、もし、ゼロ回答なんてことになれば、未来永劫、車体課税の抜本見直しはできないのではないかという悲壮な決意でこの議論に臨みました。3つの点とは、まず、①消費税の引き上げ議論が行われていること。消費税率を引き上げるためには、まず、自動車取得税の二重課税の問題を解決しなければ、納税者の理解を得られない点です。次に、②空前の円高で国内産業の空洞化が待ったなしの状況にあることです。為替介入や金融緩和も必要ですが、国内で生産した車を国内で売れば為替の影響は受けません。ユーザー負担を軽減することで、国内販売を下支えし、国内生産を一定量確保するために、車体課税廃止を行うことはある意味究極の円高対策といえます。3点目に、③これまでこの議論が進まなかったのは、車体課税が地方の財源になっているために、地方団体が反対をしてきたという経緯があります。しかし、今年は事情が少し違いました。全国知事会や全国市長会は、あいかわらず大反対でしたが、愛知県をはじめ10県の知事が車体課税の廃止に賛同していたのです。

 しかし、現実には、見合い財源のない減税を認めない財務省と財源を奪われることを嫌う地方の抵抗は凄まじく、一時はゼロ回答という状態でした。私が潮目が変わったと感じたのは、決着の前日の党税調の場での直嶋参議院議員の発言でした。直嶋議員は次のように述べました。「これまで発言を控えてきたが今日は言わしてもらう。藤井さん、玄関からいきなり二階に上がれと言われても無理ですよ。次の議論に移るために、会談をつけてください。すぐ切れてしまう縄ばしごではダメですよ。みんなで安心して上がれる階段をつけてください。そうでなければ、私は次の議論には進めません。反対します。」次の議論とは、言うまでもなく、消費税率の引き上げのことです。ペイペイの一期生ではなく、元経産大臣が、あの温厚な直嶋さんがここまで言ったことで、「このままゼロ回答なんてことになると、たいへんなことになるぞ。」という雰囲気が政府側にも伝わったと思います。
 私もこれを受けて「あの紳士の直嶋さんが次の議論に進めないとまで言った。私も6重苦、8重苦の中で歯を食いしばって国内にものづくりを残そうと頑張って来た地元の皆さんが『ここで政府が自動車に何もしてくれないのなら、もう日本でものづくりを続ける意味がない。』とまで思い詰めている中で、消費税は上がることは決めましたが、車体課税はゼロ回答でしたとはとても言えない。政治主導で決めて欲しい。」との発言をしました。

 ぎりぎりの調整の結果、最後の最後に自動車重量税の減税額を見合い財源のないまま、さらに、500億円積みますという妥協案を引き出すことができました。この結果をどう評価するかですが、私は、正直、満額回答とはほど遠いものであり、不満に思います。しかし、風穴をあけたといえる結果だと思います。
 当分の間と言いながらずっと続いてきた暫定税率の見直しが行われたのはこれが初めてのことであり、それができたのは民主党が政権与党だったからです。また、エコカー減税の3年延長だけではなく、超円高への対策として、第4次補正予算でエコカー補助金を復活という譲歩案を引き出せたことも大きな成果です。

 取得税が約2000億円、重量税が約7000億円合わせると約1兆円です。二税をいっぺんに廃止するのは、正直に言えばたいへん困難な目標だったと言えます。取得税と重量税のどちらをとるかという選択の中で、分かりやすさで言えば消費税と二重課税になっている取得税を撤廃するという決着もあったかもしれません。しかし、取得税は2000億円と規模が小さいこと、また、取得税については、いずれ消費税引き上げの時に廃止を求めることができる機会があるのに対して、暫定税率の上乗せ分を維持したままで重量税が保有税や環境税に衣更えされるようなことになれば負担軽減のチャンスを失うことから、今回は、重量税の一部を軽減するという妥協案に至ったのではないかと私、個人としては推測しています。

 重要なのは、消費税引き上げまでには、取得税と重量税を廃止することです。今回、もう一つ注目すべきは、これまで、税制大綱で「見直しを検討する」という表現になっていたのを、与党の重点要望に沿って「見直しを行う」と明記させたことです。このとおりになるように、今後もしっかりとフォローしていくことが重要だと思います。引き続き、頑張ります。