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愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「政治家の人間力 江田三郎への手紙」

2008年08月15日 | 書評
先日、ある人に会うために刈谷の図書館に行ったついでに、本棚をざっと見て目についた本を数冊借りてきました。そのうち一冊がこれです。

「政治家の人間力 江田三郎への手紙」北岡和義 責任編集 明石書店 刊

分厚い本で時間がないので全部を読んだわけではありませんが、江田三郎元社会党書記長と縁のあった人々が没後30年、生誕100年の2007年に寄せた文章から成っている本なので興味あるものだけを拾い読みしました。
長男の江田五月現参議院議長や社民連で行動をともにした菅直人現民主党代表代行、土井たかこ社民党元党首といった政治家、松下圭一教授、山口次郎教授といった学者、榊原英資元財務官、山岸章元連合会長、評論家の塩田潮など実に多彩な人々が文章を寄せていています。

私は、参議院事務局の職員だったこともあり、また、大使館勤務時代に米国に来られた際にアテンドをさせていただいたこともあり、江田五月議長のことを勝手に身近に感じていますが、正直、江田三郎という政治家については晩年社会党を飛び出したというくらいしかほとんど知識がありませんでした。しかし、この本を読んで改めて「早すぎた改革者」であることを実感しました。

江田三郎氏が在職25年表彰の際に揮毫した色紙にはこうあります。
「議員二十五年 政権とれず 恥ずかしや」
また、晩年、地元の支援者に請われ書いた色紙には次のように書かれています。「政戦五十年 余生幾年ぞ 革新政権成らずして 入るべき墓場なし」
また、「路線とか政策とか、そういうものじゃない。政権を取るには、自分で政権をもぎ取ってくる人が必要」という言葉も残しています。
当時の野党政治家の中でここまで明確に政権を担う覚悟を示した政治家は他にはいませんでした。江田三郎が、時代に先駆けて、政権交代可能な政治の必要性を説いていたことには驚かされます。

奇しくも、昨年の参議院選挙では、参院で与野党が逆転し、ご子息の江田五月議長が誕生しました。今こそ、政権をとらなければ、労働者や社会的弱者のための公正な政治は実現できないのだ!という政権獲りにむけた江田三郎が示したようなのな覚悟と気概を我々民主党はもたなければならないと思います。

もう一つ感銘を受けたのは、江田三郎氏が示した「江田ビジョン」です。
①高いアメリカの生活水準
②ソ連の徹底した社会保障
③英国の議会制民主主義
④日本の平和主義

日本の国の目指すべき方向性を具体的なイメージを持って分り易く示したものとしてたいへん示唆的なものだと思います。現在も十分通用するものだと思います。

私は、2年間、大使館員としてアメリカで生活しましたが、物質的にも精神的にもアメリカの豊かさというものを実感しました。
また、マニフェストや政権交代可能な政治は、まさに英国の議会制民主主義を手本とするものです。
②のソ連はなくなりましたが、かつて、日本が「世界で一番成功した社会主義」と呼ばれたことは、現在の格差社会や社会保障の問題を見る時皮肉に思えてなりません。

元民社党委員長の西尾末広氏は「政権を取らない政党は、鼠を取らない猫と同じだ」という言葉を残しました。

政権を獲って、官僚政治を打破して、庶民、国民の側になった政治を実現できるか民主党がその正念場に立つ今だからこそ、江田三郎という政治家の存在感がズシリと重く感じられます。



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