人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

岩手県(大船渡、陸前高田)訪問報告②

2011年04月21日 | Weblog
(前回からの続き)

(3)大船渡市 リアスホール「こころの里」
• 避難所にもなっている大船渡市民文化会館リアスホールの駐車場にトレーラーハウスを設置し、「こころの里」を開設。予約制でカウンセリングを行う。ビラを配布するとともに、避難所巡回、炊き出し等を通じて悩み相談を受付ける。
• 教師、役場職員、消防士など自らも被災者でありながら市民のために働かなければならない人々の精神的負担が限界に達しつつあり、ケアをしていきたいと考えている。
• 東北人は我慢強い気質で、地域コミュニティーのしがらみがあって、なかなか悩みを相談できない。地元でない愛知ネットだからできる役割があると考えている。
• これまで相談を受けたのは、通院歴等があり震災で症状が悪化したというケースがほとんど

(4)大船渡市 末崎ふるさとセンター、末崎中学校 避難所
• 後藤幸市 岩手県動作法学習会代表:自分は特別支援学級の教員でもある。自閉症の子どもの中には、震災で普段よりいっそうこだわりが強くなったり、奇声をあげたりする子がおり、集団での避難生活はたいへん難しい。
• 避難所を巡回し、高齢者には動作法によるマッサージを行い、子どもとは簡単なゲームなど行いながら、話しかけていく。ただし、昼間は外に出かけている人が多い。
• 千葉県のボランティアグループが200食のカレーの炊き出しを行っていた。粉ミルクやベビーフードなどを含めて十分な物資が集まっていた。末崎中学校グランドと大船渡市営球場では仮設住宅の建設が急ピッチで進められていた。
• 末崎中学校体育館避難所の女性リーダー 新沼さん:この体育館は、同じ地区の人々が避難しており、地区役員をしていた自分(新沼)は各家庭の事情も分かっている。避難者は、文字どおり同じ釜の飯を食う家族と同じ。避難所にいれば不自由はない。ただ、いつまでもこの生活は続けられない。最初は命が助かっただけよかったという気持ちだったのが、段々と現実が重くのしかかる。仕事を失い、将来の保証がない。仮設住宅に運良く入れても、家財道具はどうするのか、2年後は出て行かなければならないことを考えると不安は尽きない。温泉地に疎開していく者、仮設住宅に当たって出て行く者が増えていくに従い、残された者は不安になる。愛する家族を失い、自分だけが生き残ってしまったという深い心の傷を負っている者も多い。心の問題をケアすることは重要。

(5)岩城恭治 NPO夢ネット大船渡理事長(炊き出し)
• 気仙地域(陸前高田、大船渡)を中心に活動している地元のNPO8団体(夢ネット大船渡、もさばロハス、読書ボランティアお話ころりん、三陸町三鉄友の会、シニアネット・リアス大船渡、NPO気仙・まちの保健室、NPO風・波デザイン、地元飲食店経営者)を集めて、4月5日に気仙復興市民連絡会を立ち上げた。NPO愛知ネットの協力には深く感謝している。現在は、炊き出しや大切なものを取りに行くボランティア等を行っているが、活動はまだ手探りの状態。被災地の市民の心のよりどころになるような復興のシンボルを創っていきたい。
• この日の炊き出しは、中華丼をボランティア活動から戻ってきた高校生や市民にふるまった。別の日には避難所での炊き出しも行っている。

(6)湯浅誠 内閣府参与
• (たまたま、大船渡ボランティアセンターに実態調査に来ていた湯浅氏と話しをした。)専門家連携が課題になっている。たとえば、心のケアについて言えば、個別に臨床心理士が被災地に入っているが、臨床心理士学会全体での連携の取れた動きになっていない。また、医師が訪問先でカウンセリングのニーズを拾ってもそれが臨床心理士にうまく伝わっていない。医師、看護士、介護士、臨床心理士等業界を超えた連携が必要になっている。

以 上

岩手県(大船渡、陸前高田)訪問報告①

2011年04月21日 | Weblog
 4月17日(日)の夜中、東京を出発し、18日の夜中に盛岡発の夜行バスで東京に帰る日程で、岩手県の陸前高田、大船渡の地域を訪問してきましたので、2回に分けて報告します。

 まず、今回の訪問は、私の地元にあるNPO愛知ネットが現地事務所を置きスタッフを常駐させている住田町の町長他関係者に協力を依頼すること、現地でのNPO愛知ネットの臨床心理士チームの避難所訪問、炊き出し支援の活動に同行することが主な目的でした。
 また、あわせて、愛知県で調達した中古車を現地に運搬するとともに、東京で党の震災ボランティア室に提供された支援物資を積み込み被災地に届けました。

(1)NPO愛知ネット事務所
 住田町は、津波の被害が大きかった陸前高田市、大船渡市に隣接しており、内陸部に位置するため比較的被害が少ない。車で陸前高田に約40分、大船渡に約30分で行くことができ、気仙地域の活動拠点として適している。
 NPO愛知ネット(愛知県安城市)は、住田町農林会館の駐車場の一角にトレーラーハウスを置き、スタッフを常駐させ、地元NPO団体と協力して、気仙市民復興連絡会を立ち上げ、長期(当面2年を想定)の復興支援活動を開始したところ。
 現在の主な活動は、地元の要請を受けて、炊き出しを行うとともに、臨床心理士チームが避難所の巡回、カウンセリング等を行っている。
 なお、事務所となっているトレーラーハウスは、長野で使用されていたもの。プレハブよりもずっと快適。トイレ、バス、キッチンはもちろん、ベッドルーム(ベッド2台)、ロフトスペース、床暖房まで完備している。仮設住宅より文化的で、再利用できる点を考えると、活用の余地があるのではないかと考える。

(2)多田欣一 住田町長、(小泉きく子 副町長)
• 陸前高田市は、行政機能自体が失われており、紙や鉛筆から住田町が提供しなければならなかった。各種届出用紙等も住田町のものを代用した。
• 発災直後に、遠野町長と遠野で大槌、釜石を、住田が陸前高田、大船渡の給水支援を行うことを協議。住田には関西方面の自治体からの給水車約25台が来て、毎日5回転の給水支援を行っている。水道の復旧は6月いっぱいにはと思っているが、7月、8月までかかるかもしれないと覚悟している。
• 毎朝8時に住田町役場前で、市民ボランティアの受け付けを行い、3名の職員が交代で引率を行っている。高校生らを中心に10名ほどが参加。
• 救援物資は充足している。ただし、避難所では、食事に野菜が不足している。住田町としても農林業振興会に協力を呼びかけている。
• 住田町農林会館の和室はボランティアの宿泊先として提供している。(この日は秋田県赤十字のボランティアが宿泊していた。)
• 避難所には十分な支援物資提供があり、たいへん感謝しているが、被災地ではない住田町には物資等の支援はない。しかし、住田町だけでも親戚や友人を頼って、約600名が避難してきている。町としても米の支援等を行っているが、基本的には避難者を受け入れている各世帯の持ち出しになっている。非常事態でしかたがないとは思うが配慮していただけるとありがたい。
• 自分(多田)は、発災直後に100棟の木造仮設住宅の建設を指示したが、被災地でない自治体に仮設住宅を建設することに県や国から待ったをかけられた。想定外の大災害と言うなら、法律を超えてでも政治のリーダーシップでやれることをやるべき。「法律によれば、法律ではこうなっている」と法律を盾にするなら「津波の来ない法律」でも作って欲しい。自分は議会に対して災害対策については竹原阿久根市長ばりの専決処分で進めることで了解をとりつけた。
• 菅首相が陸前高田市を訪問した際に「合併するしかない」との発言を行ったのは見識を疑う。合併するなら平成の合併でとっくにやっているはず。「自分たちのふるさとを何としても復興させたい」という気概を持って生きていこうとしている人たちに「あなたのところは無理だから合併しなさい」というのは被災者の気持ちをまったく理解していない発言。

(次回に続く)