人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

夕刻の使い方

2004年11月18日 | Weblog
 「芸術の秋」に友人のytさんがコメントをくれた。
 平日の仕事帰りに美術館・博物館の常設展示をゆっくり鑑賞するというのは、素敵な時間の使い方だと思う。
 美術館や博物館がそうやってふらっと立ち寄れるところだったら、芸術はもっと我々に近い存在になると思う。

 ワシントンに着任したばかりの頃、友達もまだいないので、週末は毎週のように、スミソニアンの美術館、博物館に行って時間をつぶしていた。
 ワシントンでは、スミソニアン博物館、ナショナルギャラリー、動物園に至るまでスミソニアン協会に加盟する美術館・博物館は全て無料である。無料なので、気軽に立ち寄り、飽きたらいったん出て、お茶でもしてから、また来ればいい。ゆったりとした気持ちで見ることができる。高い料金を払って、後ろから追われるように観て回るデパートでの特別展とは天と地の差である。

 もうひとつ思うのは、夕刻の時間の使い方。
 サマー・タイムというのは、日本に居る時はピンとこなかったが、海外で暮らしてみると、夏の夕刻を思い思いに楽しむすばらしさを実感する。
 サマー・タイムを導入しても、日本人は、明るいうちに飲みに行くくらいか?仕事帰りに美術館に立ち寄るなんていうライフスタイルになればと思う。

食べ物についての「保守主義」

2004年11月15日 | Weblog
 大使館に出向していた頃、同じセクションの私を含めた若手書記官3人がいずれも独身で、たまたま住居も同じ方向ということもあって、平日はしょっちゅう一緒に外で食事を済ませて帰っていた。
 3人のうちの一人は、真面目な人で、仕事を含め、何事においても枠をはみ出さない。飲食においては、それが顕著だった。
 行ったことのない店にはいかないし、いつも行く店でも新しいメニューには決して手を出さない。
 その点、私ともう一人の最も若い書記官は、好奇心旺盛。車で走っていて、よさそうな店を見つければ「今度、試しに行ってみよう」ということになるし、メニューを見ておもしろそうなものがあれば、試しに注文してみる。
 好奇心旺盛なわがチームが、しぶるもう一人を説き伏せて、新規開拓を試みることもしばしばだった。慎重な態度をからかうと、彼は「僕は食べ物について、コンサバティヴなんだ」と不機嫌に言っていたものだ。
 リベラル組はというと、たまにオーダーしたものがまずくて、保守に「ほら、見たことか」と反撃されるのだった。

 食べ物の趣味がもっとも分かりやすいが、生活習慣に関して、人は、変化を避けて、既に食べたことがある等手堅いものを好む人と新しいものに挑戦するのを好む人の2つに分かれるような気がする。

 うちの夫婦は、僕が、リベラルで、妻は、保守。だから、外食は必ずもめる。妻は、好きなものなら、毎日食べても飽きないらしい。

 今日、妻と待ち合わせをしている間に、街角にひっそりと建つその名も「マイ・ウェイ」という喫茶店を見つけた。「これはもしかすると、隠れた名店かも」と思い。妻が一緒だと、反対されるのは目に見えている。私は、雰囲気のある街角喫茶店を見つけると、胸が高鳴るが、うちの奥さんは「ドトールで十分」だそうだ。

 店に入ると、客は私以外に一人だけ、クラッシクが流れ外の喧騒が嘘のようだ。期待と不安の交錯するが、しばらくして、期待はずれだったことを悟る。残念!老婦人が営む、時間の流れに取り残されたただのうらぶれた喫茶店だった。
 これも私には、楽しみのうちだが、保守派にはこの楽しみが分からないらしい。
 
 人それぞれだが、私は、安心もいいが、失敗するかもしれないが新しい挑戦をする方が好きだ。

 
 

芸術の秋

2004年11月07日 | Weblog
 ふと思い立って、夫婦で木場の東京都現代美術館に行って来た。私は以前にも来たことがあるが、もう何年も前に訪れたきりだ。

 ちょうど「ピカソ展」がやっていて見ることができた。しかし、私のもともとのお目当ては、常設展示の方で、実際、常設展示の「日本の美術、世界の美術-この50年の歩み」の方がずっとおもしろかった。

 岡本太郎、池田満寿夫、横尾忠則と私でも知っているような日本の現代作家の作品も多数展示されており、また、表現手法が多彩で、美術に関して専門的な知識を持たない私のような素人が見ても楽しめる。

 私がこの美術館で好きな点は、ゆったりとした展示スペースである。日本では、よく海外の有名な美術館の出張展示が都内のデパートの中の美術館で行われるが、天井の低い、狭いスペースで、しかもごった返す人混みの中では、せっかくの絵画鑑賞もだいなしである。

 この美術館では、例えば、サム・フランシスという作家の大きな抽象画が一つの展示室の4面に展示されていたり、一つの展示室では、発光ダイオードによる巨大なデジタルカウンターの作品「それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く」という作品だけが展示されている。なんとも贅沢な空間の使い方である。

 この美術館のカフェもなかなかよい。
 今日は、テラス席でコーヒーを飲んだが、美術館の高い外壁に囲まれた空間は、不思議なスペースで、見上げる空が一つの作品のようである。

 東京都現代美術館、訪れたことがない方には、ぜひ一度行っていただきたいお奨めスポットだ。

「和(やわらぎ)」考

2004年11月07日 | Weblog
 以前、「和」について書いた記事にショージさんが「和」は「やわらぎ」と読むとのコメントをくれた。
 興味深く思い、手元にある漢和辞典を引いてみると、たしかに「やわらぎ」という読みが載っている。
 なるほどと思ったのは、「なぎ」という読み。なぎは、海面が落ち着いて穏やかな様子であり、「なごむ」というのもここからきているのだろう。

 では、「大和」の語源は何だろう?
 井沢元彦氏は、著書「逆説の日本史」の中で、環濠住居に住んでいた古代日本人が大陸から来た人に国名を聞かれて、「環」と答えたのが、「倭」になって、やがて「和」に変化したという説を唱えている。

 ショージさんは、「わ」という読みは、「輪」といった形状を連想させるとの指摘もしてくれたが、それはこの話に通じる。

 ちなみに、検索エンジンに「やわらぎ」と入れてみると、なぜか高齢者向けの施設が多くひっかかった。

アメリカ大統領選挙・議会選挙

2004年11月04日 | Weblog
 長かった1日は、あっけない幕引きとなった。
 オハイオの暫定投票は、結果を左右するほどではないと聞いていたので、私も当初から、民主党は、悪あがきをすべきでないと思っていたが、早々に敗北宣言をしたのは賢明な選択だったと思う。民主党は、早く気持ちを切り替えて、次なる戦略を練るべきである。

 余裕がなくて、十分に分析していないが、以下、とりあえずの感想。

【大統領選】
 ずるい言い方だが、結果を見て振り返れば、何らサプライズはない結果である。
 ブッシュ陣営にすれば、潤沢な政治資金を準備し、カール・ローブ上席顧問の指揮の下、再選をトッププライオリティーとした政権運営と保守層をがっちりと固める選挙戦略をとって磐石の態勢で臨んだ選挙であり、これで負けたら、しょうがないという選挙であった。
 唯一の懸念要因は、イラク戦争の行方であったが、この影響はやはり大きかった。民主党がこれだけ善戦できたのもこれにつきる。
 逆に、民主党は、このチャンスに、ケリーしかいなかったのか、と悔やまれる。ケリーは、昔は2枚目で、ケネディーを連想させるように輝いていたかもしれないが、明らかに政治家としての賞味期限が切れている。上院議員としての長いキャリアも垢にまみれているという点でマイナスだった。まさに、インサイド・ベルトウェー、ワシントン政治の象徴のような人物で、私のような外国人が見ていても、ケリー上院議員と言うのは人を見下しているようでよい印象を持っていなかった。テレビ映りを意識して塗っているドウランが痛々しかった。
 早くも、民主党支持者の視線は、2008年に向かっている。
 ヒラリー・クリントン、今回、副大統領候補となったエドワーズがトップランナーだ。
 これは、民主党支持者には楽しみな選挙となるだろう。

【議会選挙】
 こちらも予想通りであったが、共和党が両院でそれぞれ議席を伸ばしたことは、二期目のブッシュ政権の議会運営にとって大きい。

 上院は、共和55、民主44、無所属1と思った以上に、差が開いた。
 中でも苦戦は報じられていたものの、サウスダコタでのダッシェル上院民主党院内総務の落選には驚いた。
 私がワシントンで上院を担当していた時、ダッシェルは輝いていた。メディアにも毎日のように登場し、議会民主党のリーダーだった。一時は、民主党の大統領候補に名前があがったほどである。サウスダコタのような田舎では、いくらテレビに出演して有名でも、「おらが先生」が一番なのである。ここは、我が国もアメリカも同じである。身につまされる話だ。

 下院も、現時点でまだ3議席未確定の議席があるようだが、共和党が議席を伸ばした。これにより、下院での下院多数支配は、連続6期に突入する。これは注目すべきことである。
 各州に等しく2名の定員が割り当てられている上院よりも下院方がアメリカの政治状況を的確に反映している。つまり、アメリカの保守化が進んでいることが選挙結果に示されている。

 もう一つ、注目すべきは、上院でのアフリカン・アメリカン議員と新たな2名のヒスパニック系議員の誕生である。
 上院には、長い間黒人議員がいなかった。アメリカにおける人種構成を考えると極めて不自然なことである。今回、イリノイで当選を果たしたオバマ議員は、早くも将来が嘱望されている。
 ヒスパニックの政治への進出は、今後ますますアメリカ政治に大きなウェイトを占めることになるだろう。マイノリティーは、一般的には、民主党支持と言われるが、社会進出が進むにつれ保守化する傾向があり、早くもその傾向が出てきている。また、ヒスパニックといっても出身国はバラバラで黒人のような政治的団結は見られない。今後、人口に占めるヒスパニックの割合は大きくなっていくと思われ、ヒスパニックの政治的インパクトについては、長いスパンで見守っていく必要がある。







「いずれにしろ、アメリカは二分している」

2004年11月01日 | Weblog
 11月2日は、いよいよアメリカ大統領選挙の投票日である。
最終盤のここに至っても、どちらが勝つか分からないという大変なレースとなっている。

 マスコミをはじめ、日本のみなさんはあまり関心を示さないが、アメリカでは、大統領選挙と同時に上下両院の議員選挙も行われる。

 私は、前回2000年の選挙の時は、ワシントンの大使館で米国議会上院の選挙を担当していた。
 アメリカでは、日本人の我々が想像する以上に議会が大きな力を持っている。
大統領選挙だけでなく、議会選挙も接戦となっているので、ぜひ、こちらも注目していただきたい。
 現在では、インターネットの発達によって、日本に居てもかなりの情報はネットを通して入手することができる。

 前回選挙では、大統領選挙は、前代未聞のフロリダでのリカウントが行われるという大接戦となったが、その影で、上院では選挙の結果、共和党と民主党の議席数が50対50の同数となった。これは120年ぶりの出来事であった。さらに、その後の党派的な緊張関係の高まりの中で、ジェッフォーズ議員(ヴァーモント・共和党)が共和党を離党し、副大統領によって、かろうじて多数党を維持していた共和党が少数党に転落するという事態となった。

 今回も議会選挙の方も大変な接線となっている。
 アメリカのTVニュースに度々登場する選挙アナリストのチャーリー・クック氏のホームページを見ると(http://www.cookpolitical.com/)、

 まず、現在、共和党51、民主党48、無所属1(民主党より)の上院では、今回も大接戦となっているが、特にサウスカロライナ、ノースカロライナ、ルイジアナ、フロリダ、サウスダコタ、アラスカ、コロラド、オクラホマ、ケンタッキーの9州はどちらに転ぶか分からない状況にある。ただし、民主党が多数党になるためには、この9州のうち、大統領選に勝って副大統領が民主党になった場合で6州で、そうでない場合には7州で共和党に対して勝利する必要があり、少し分が悪い。

 下院は、傾向として現職の再選率が高いこと、2000年の区割りの変更によって共和党に有利な選挙区の画定がなされたことを考えると、共和党の多数党維持は高いと見られる。勝てば、共和党は、5選挙連続で多数党を保持することとなる。「ギングリッチ革命」以降の、下院における共和党支配については、最近になって、専門家もこれに注目するようになってきた。今回の選挙では、差がどこまで縮まるのかに注目したい。

 このように議会選挙も大接戦となっており、大統領選挙の結果がどちらになっても、厳しい議会運営を強いられることは間違いない。

 日曜日の朝の番組で、拓殖大学の森本敏教授が大統領選挙についてコメントしていたように、結果がどちらに転んでも、言えるのは「いずれにしろ、アメリカは二分している」ということだ。