人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

復興増税、決まる

2011年09月28日 | 政治
政府・民主党は、27日、東日本大震災の復興財源として、9.2兆円の臨時増税を決定しました。

私は、安易な復興増税は反対という立場をとってきました。大震災という百年に一度のショックには、時間分散して、国債の発行により負担を平準化するのが理に適っています。また、復旧復興の費用はインフラ整備等に充てられるものであり建設公債による支弁も可能です。今、安易に消費税や法人税を引き上げれば、大震災により大きなダメージを受けた日本経済の足を引っぱり景気を失速させることは間違いありません。
増税ありきで、ドサクサ紛れに増税するのではなく、議員定数削減や徹底的な行政改革、特別会計の積立金の活用等をまずは検討すべであることは言うまでもありません。賛否が分かれるところですが、増税するくらいなら特別会計の積立金を流用した方がまだましです。私も特会仕分けの仕分け人をやらせてもらいましたが、平時には使えない積立金も非常時となれば話しは別です。たとえて言うなら、進学のためにかけていた学資保険を子どもの入院費用に充てることは許されるはずです。

ちなみに、百年に一度の大震災の財源と毎年増えていく年金、医療、介護等の社会保障の財源をどう賄っていくかは別の話です。政治がこれまで国民に負担を求めることを避けてきた結果、わが国は借金で首が回らない状態になってしまいました。今こそ、勇気を持って、消費税引き上げに正面から取り組むべきです。ただし、とにかく増税したいだけの財務省に乗せられて、経済状況を無視して税率引き上げを行えば、日本経済は取り返しのつかないことになるおそれがあります。そこで、社会保障・税の一体改革では、党内の激しい議論を経て、経済状況の好転を条件とすることと、「201年代半ば」と増税時期に幅を持たせることで決着をしました。

話を戻して、復興増税ですが、早期に復興のための第3次補正を国会に提出するためには、財源の手当についての政府・与党の結論を決めた上で、連立与党や野党との協議を始める必要があります。そのために、政府・与党案をまとめなければならない事情はよく理解できます。私も与党の責任として、決めることが必要だと思います。ただし、そこには丁寧さが必要です。野田政権は党・閣僚人事ではノーサイドを実現したと評価されていますが、私はかねてより、政策面でのノーサイドの方が難しいと指摘してきました。これまでも党内の多様な意見をガス抜きのようにただ聞き置くだけで、その意見が何ら反映されないまま執行部が押し切ることが続いたことが、政策立案に直接関与できない政務三役以外の一期生を中心とする議員の不満を充満させることにつながってきました。

増税反対派の議員は、今回も最後まで徹底抗戦をしていましたが、最後は執行部が押し切る形で決めました。私は、個人的には、増税慎重派の顔もたてながらもっとうまく党内をまとめることはできたのではないかとは思いますが、落としどころとしては、いい線に収まったと思います。ただし、今後の与野党協議の中では、この案がそのまますんなりと通るのかは不透明です。

29日の本会議前の代議士会では、前日にまとまった政府・与党合意が配布され、前原政調会長より「多くの皆様からの意見を踏まえて増税幅をできるだけ圧縮するよう努力したい。2兆円の税外収入の積み増しを努力目標と言っている人がいるが、これは必ず行う。また、償還期間については10年としているが、もっと延ばすべきだとの意見を多くいただいており、今後、与野党協議の中で私が責任を持って協議していく。さらに、朝霞の公務員宿舎の問題についても、額の問題ではなく象徴的な問題であり、姿勢の問題だと総理に強く申し入れ、それを受けて、総理は財務大臣にテイクノートするよう指示した。」との確認がありました。私は、党内での議論の結果が一定程度反映された結果と評価してよいと思います。

政府がアクセルをふかす分、与党が権限が強化された政策調査会の機能を活用してブレーキを踏むという役割分担をうまくしていくことで、党内の政策面でのノーサイドを実現すればよいと思います。政府・与党として決めなければならないことは、しっかり決めていく野田政権の姿を国民に示すと同時、そのための党内での意思決定のあり方を試行錯誤の中でより洗練されたものにしていく努力が必要ではないかと思います。