人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

ウガンダ日記 その2

2012年03月31日 | 国会
3月31日 午前
今朝は、8:30からASEAN+3会合、続いてアジア・太平洋地域会合に出席。こうした国際会議は初めてなので、勝手が分からず、最初は戸惑いを覚えた。
議事録の承認、委員の欠員補充の推薦など形式的な議事と聞いていたが、特に追加緊急議題についてと、それに関係する起草委員会委員の推薦については、かなり激しいやりとりがあった。
シリア情勢の緊張感の高まりを受けて、各国からシリアについて決議が出されており、アセアン+3で推薦した中国と決議案の。提出者であるイラン、インドがそれぞれ名乗りをあげた。
また、必ずしも各国が継続して同じ議員を代表団として送ってきている訳ではないので、アジア・太平洋地域グループの発言力を高めて行くためには事務局体制の強化が必要ではないかとか、IPUの事務総長は、地域ローテーションではなく能力本位で決めるべきだとか運営に関する建設的な提案もあった。
私もこつがつかめてきたので、アジア・太平洋地域会合の最後で、その他の議題に関して発言してみた。
「北朝鮮が人工衛星の打ち上げと称して、弾道ミサイルの発射を計画していることに対して、日本は深く憂慮しています。また、アジア太平洋諸国の中の韓国や中国をはじめ国際社会が北朝鮮に対して自制を求めていることに対して感謝を申し上げます。日本代表団として、アジア太平洋グループの各国に対して、北東アジアの平和と安定を損なう挑発行為に対しては引続き自制を働きかけていくことをお願いしたい。日本としての憂慮を皆様に共有していただきたいという思いから発言させていただきました。」
後で、韓国代表が「決議案を出してくれれば支持したのに。日本の立場に賛同する。」と言ってくれた。
各国は、継続的に同じ議員が会議に出席しており、また、途上国ではエリート層は海外の大学に留学していることが多く、英語堪能だが、それに比べると、残念ながら日本の存在感は薄い。IPUの分担金では日本は有数の寄付を誇っているのだから、もう少しポスト等を貪欲に獲ってもよいと思う。

ウガンダ日記 その1

2012年03月30日 | 国会
3月30日
ドバイまで11時間、さらにエンテベまで5時間の長旅はさすがにつかれましたが、無事、ウガンダの首都カンパラに着きました。
飛行機から見ると、赤茶けた荒涼とした大地が広がっているのが、エンテベ空港が近づくと、緑が増えてきます。ウガンダには、世界第三位の広さのビクトリア湖があるため、緑が豊かで、かつて英領の時代にウガンダを訪れたチャーチルは「アフリカの宝石」と呼びました。ビクトリア湖の大きさは九州の二倍と言うから驚きです。
空港はドバイから来ると、落差にあ然とするほど、小さな空港ですが、世界各国からのIPU会議の代表団でごった返していました。町の風景は、沖縄やフィリピンの田舎の昔の姿という感じです。日本の中古車がたくさん走っていて、ボディに温泉旅館の名前が入ったマイクロバスが走っているのを見ると、何だかうれしくなります。
明朝のアセアン地域会合に備え、今日は、共産の田村参議院議員らとともに隣のセレナホテルのレストランで夕食。スマホで写真を撮っていた、地元の小さな子供に話しかけられて、写真を見せていたら、うちの息子がカーズのキャラクターと写っている写真の話で盛りあがりました。
さて、今日は、時差解消のためにも早く寝ます。

「木村雅彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」

2012年03月29日 | 書評
 700頁の大作ですが、読み終えるのが惜しいくらい面白かった。
 「昭和の巌流島」と言われた力道山との一戦に敗れた柔道家、木村雅彦の数奇な人生に迫った渾身の書。本書の中には、いくつかのテーマがある。

 一つは、日本の柔道の歴史である。現在の日本の柔道は、講道館柔道とイコールである。しかし、柔道の源流は、武士が刀が折れても敵をねじ伏せる組討から発展した古流柔術にある。また、戦前、旧帝大を中心とした高専柔道の全盛期が寝技の発達をもたらした。しかし、戦後、GHQが武道を禁止したことで、講道館を中心にスポーツとしての柔道の発展がはかられ、現在の日本の柔道は一民間道場である講道館の独占状態になっている。そうした中で、古流柔術や高戦柔道の流れを汲む柔道家、木村雅彦の名は、戦前、13年連続日本一、天覧試合を制覇し、「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」と最強を謳われたにもかかわらず、柔道の正史からは消されているのである。さらに、昨今の総合格闘技ブームの中で注目を集めるグレーシー柔術に日本柔道が与えた影響やプロレス草創期の歴史、極真空手の大山総裁についての記述も興味深い。
 柔道のスポーツ化は、時代の流れの中でしかたがないことだったのかもしれないが、本書に出てくる木村や師匠の牛島辰熊らの柔道家は、サムライである。この春から武道の必修化が始まるが、柔道の底流にある武士道精神について考えさせられた。
 さらに、「歴史」とは、勝者によってつくられるものであることを痛感した。

 二つ目のテーマは、敗者の生き方である。最強の柔道家と言われた木村が力道山に一方的につぶされたことで、転落していく。一方の力道山は、国民的英雄になるが、暴漢に刺されて、この世を去る。木村は、「負けたら腹を切る」という武道家としての矜持を持っていた。木村は、一時、力道山を殺して、切腹することも考えたと言われている。タイトルにあるように「なぜ、木村は力道山を殺さなかったのか」、なぜ、木村が簡単に負けたのか、本書は、その真相に鋭く迫っていく。力道山が殺された時、木村は「念力で自分が殺した」と言ったそうだ。木村がどんな思いを胸に抱いて、その後の人生を送ったのかを考えると胸をしめつけられる。

 三つ目のテーマは、師弟関係。「鬼」の称号を持つ柔道家、牛島辰熊は、自らが制することができなかった天覧試合を勝つために、木村を見出し、全身全霊で自らの分身として木村を育て上げる。戦争という時代を経て、師弟関係に微妙な亀裂が入るが、その後もこの師弟の関係は生涯、特別なものだった。木村が同じように岩釣兼生という弟子を育てたことも因縁を感じる。

 うまく、面白さを伝えられないのが悔しいが、絶対に面白いので、興味がある方は、ぜひ、読んでみてください。
 

消費税法案、真夜中の一任

2012年03月28日 | 政治
 8日間、40時間に及んだ消費税律引き上げのための法案の提出をめぐる党内議論は、拍手と怒号が飛び交う中で、28日の未明、政調会長への一任の幕引きとなった。
 この間、慎重派、推進派双方から、有意義な意見や指摘があり、論点が明確になったことは私は率直に評価してよいと思う。一方で、慎重派からの指摘に対して、政府、党執行部が説得力ある回答ができなかった場面も見られた。法案を提出しても、この先の審議では野党から厳しい追及を受けることになる。党内議論を真摯に受け止めて、更なる検討を促したい。
 
 慎重派の議論も容れて、修文や内容の変更も行われた。そのことは、慎重派にはなお不満もあるだろうが、私は、前原政調会長をはじめとする執行部の努力を評価しなければならないと思う。
 たとえば、将来の更なる税率引き上げについて定めた附則28条は最終的に削除された。また、附則27条の関連する諸施策については、議員からの指摘が多く採り入れられ、法案に具体的になかなか書けない部分についても、「検討課題に対する法案提出後の対応の方向性」という形に整理をして、別途閣議決定をして、実行を担保することとした。ただし、附則27条に関連して、簡素な給付措置と給付付税額控除の制度設計と財源のあり方については、政府・与党の答弁が乱れる場面があり、生煮えであることが明らかになった。「逆進性対策は、消費税率引き上げと表裏一体であり、この部分がつまっていない法案は了承できない。」という慎重派の指摘はある部分では理解できるところもあり、今後、速やかに中身をつめていくべきである。
 
 最後まで残った論点の一つが、附則18条の景気条項である。「デフレ下では増税すべきでない。」、「増税は、経済状況の好転を前提とすべきである。」との意見は、私も同じである。経済状況の好転をいつ、どのように判断するかは難しい問題である。法案の中にあまりに具体的に書きすぎると、時の政権、為政者の判断を拘束してしまうことになるので、私も当初は、具体的な数字を法案に書きこむのは難しいと考えていた。しかし、予算委員会で安住大臣が「今の経済状況なら増税は可能。」と答弁したり、藤井税調会長が「マイナス成長でも増税は可能」と発言するのを聞き、さすがに、経済がどんな状況でも財務省に押し切られて増税するというのでは困ると考えた。何のための増税かと言えば、税収を増やして社会保障を持続可能なものにするために充てるためである。景気後退局面で増税し、消費の冷え込みと景気後退で税収が落ち込むのでは、何のための増税か分からない。この点、前原政調会長から最終日に示された修正案は、条件とはしないものの、閣議決定した成長戦略にある名目3%、実質2%程度の成長率を政府の経済運営の目標として法案に書き込んだ点で、私は評価したいと思う。二項の書きぶりが、税率引き上げの停止条件になっていないことには、多少の不満は残るが、そこは、党内議論を受けて前原政調会長が与党を代表して、経済状況の好転を前提とすることを責任をもって担保すると同時に、今後の国会審議の中で政府に縛りをかけていくしかないと考える。

 午前2時を回って、石井一参議院予算委員長が「慎重派の指摘は理解できる。私自身も、最初に、野田総理が消費税引き上げを言い出した時には、なぜ、この時期に余計なことを言い出すのか思ったこともある。しかし、野田総理が、政治生命をかけて、不退転の決意で年度内に法案提出をすると公言している以上、ここで法案提出しないという選択肢はない。そんなことになれば、野田内閣は総辞職しなけらばならない。消費税引き上げを掲げて、代表選を戦い、党内の民主的プロセスを経て、野田総理が選ばれた以上、その決断に従うべきだ。反対するなら、9月の代表選挙で慎重派の代表を候補者に担いで戦うべきだ。」と述べた。私は、基本的に、この石井先生と同じ考え方である。個人的には異論があっても、議論を尽くして、自分たちが選んだリーダーが最終的に決めたことは、党として支えるフォローワーシップが必要である。どうしても嫌ならそのリーダーを代えるしかない。

 法案の内容を吟味する法案審査ということは別にして、与党としては、異論はあっても、どこかで決めて、前に進める責任がある。この条文をこう書きかえれば、積極的ではないが了承するという人とは話し合う余地がある。しかし、何をどうしようが現時点での法案提出は了承できないという人と何時間、話をしてもらちが明かない。もちろん、意見を十分に聴くということでは、丁寧な議論は必要である。しかし、昨夜のような決め方になるのであれば、ここまで時間をかける必要があったのか、また、平場の議論だけでなく、もっと、妥協の余地を残している慎重派の議員対する個別の丁寧な根回しが必要だったのではないかと感じる。
 たしかによい議論だったとは思う。野党の国会質問よりも、ずっと深い議論だったと言ってもよいくらいだ。しかし、クローズな議員同士の議論は、外には伝わらない。マスコミや国民の目には「また、民主党が中で揉めている。一週間もああでもない、こうでもないと話ばかりして、決められない与党、民主党は大丈夫か。」と映るだけである。

 いずれにしろ、国会への法案提出は、入り口に過ぎない。ねじれ国会での法案成立は、もっ難しい。また、たとえ法案が成立しても、議員定数削減をはじめとする政治改革、行政改革の断行、デフレ脱却、景気の好転、税率の転嫁や表示方法、逆進性対策等クリアしなければならないハードルは数多い。これからの方がたいへんである。

 TPPの時もそうだったが、党内における意思決定のあり方について、民主党は与党として、いまだ未成熟であることを露呈した決着だったと言わざるを得ない。

AIJ問題で明らかになった企業年金の構造問題

2012年03月21日 | 政治
 AIJ投資顧問による2000億円もの年金資産消失は、ただでさえ年金への不信や将来への不安がある中、人々に衝撃を与えました。
 今回、被害にあったのは、その大半が中小企業が集まって作る「総合型」の厚生年金基金です。そのうち、約90億円の資金をAIJに委託していた厚生年金基金の常務理事から話を聞く機会がありました。
 この厚生基金からは、AIJ委託分の損失について償却期間を猶予してほしいとの要望がありました。個人的には、これは可能と思います。しかし、それは、あくまでAIJへの運用委託という一過性の事件を解決するだけの問題です。この厚生年金基金がAIJに委託していたのは、全資産の10%だったので、この問題さえ乗り切れば何となるという考え方なのかもしれませんが、私はそうは思いません。企業年金の構造的問題に目をつむって、今回の事件だけを処理しても、いずれ制度が破たんすることは目に見えています。
 この企業年金の一番の問題は、「代行」という制度です。各企業が独自に運用する企業年金と本来、国が運営する厚生年金の一部を、徴収・運用・支払まで民間に代行させるのが厚生年金基金の仕組みです。この仕組みは、高度成長期、また、金利が高かった時代には、スケールメリットを享受することができました。しかし、低成長、低金利時代となったにもかかわらず、多くの厚生年金基金が予定運用利率を5.5%のままにしていたので、この制度は行き詰ってしまいました。そこで、単独企業やグループ企業で厚生年金基金を作っていたところは、ほとんどが厚生年金の代行部分の利回りまで運用して稼ぐのは無理だと判断して、「代行返上」をし、基金を解散しています。
 一方で、中小企業が集まって作る基金は、ただでさえ財政状況が苦しい中、構成する企業の同意を取りつけるのが難しく、さらに、「代行割れ」といって、代行部分の穴埋めをしないと解散もできないので、やむを得ず、ここまでやってきたというのが現実です。
 解散の難しさを示す事例があります。2006年に50のタクシー業者が作る「兵庫県自動車厚生年金基金」が解散の道を選びました。しかし、「代行割れ」の穴埋め金をの支払いをできたのは21社で残りは10年分割払いを選び、その後、穴埋め資金が払えない会社が「年金倒産」し、倒産した会社の債務は残りの会社が肩代わりすることになり、結局14社が経営破たんするという結果となってしまいました。
 厚生年金基金の運用の失敗は、第一義的には自己責任です。したがって、安易に厚生年金の積立金や税金で穴埋めすることは許されません。しかし、代行制度で国の行う厚生年金の運用を一部代行させてきた以上、国にまったく責任がないとは言えません。構造的な問題を解決するために、総合型厚生年金基金が解散できるような支援策を国が講じる責任があると考えています。
 また、総合型の厚生年金基金の約9割に天下りがいたのに対して、単独・連動型基金では13%にとどまっていたとの指摘があります。AIJの勧誘に、社会保険庁OBのコンサルタントが大きな役割を果たした疑いもあります。ちなみに、私が話を聴けた基金の常務理事も歴代、社保庁のOBでした。
 日本経済新聞の関連会社である格付投資情報センター」(R&I)が発行する情報誌「年金情報」が、AIJを顧客のアンケート評価で1位と評価していたことなど、AIJの詐欺を見抜けなかった当事者だけの責任にできない部分もあると思います。
 私自身、そうですが、現在では、大学卒業して入社した会社に定年までいることは当たり前ではない時代になりました。終身雇用を前提に、企業が退職後の年金まで面倒を見るという仕組み、国もそれを前提に厚生年金の一部を「代行」させるという制度自体が時代に合っていないことは明らかであり、抜本的な制度改革が必要です。

おそるべき、小泉進次郎

2012年03月06日 | 国会
 衆議院での予算審議もいよいよ大詰めを迎える中、今日も、テレビ入りの集中審議が行われました。
 自民党3人目のバッターとして立った小泉進次郎委員の質問は、他党の議員を含め、居並ぶ先輩議員たちを完全に食っていました。

 若さ、ルックスは言うまでもありませんが、感心したのは、質問(演説)の完成度の高さです。内容、演説の組み立てともに、よくポイントを押さえていて、あっぱれです。

 まず、「つかみ」。ここで、小泉さんは、被災地でのエピソードを語ります。
「福島の避難所での車座集会に参加した時に一人の若者に出会いました。彼は、この春から霞が関で働くことが決まっていて、他の省庁も内定をもらっていましたが、内閣府を選びました。なぜなら、内閣府なら故郷、福島の復興に関わる仕事をできるかもしれないからです。」
物語、ストーリーを語り、聴く者が情景を思い浮かべることで、心の扉を開き、聴く者をまずひきつけることに成功しています。

 次に、質問のテーマです。小泉さんは、社会保障における世代間の格差を中心に質問をしました。これは、私が2月15日の一般質疑で選んだのと同じテーマです。70歳から74歳の医療費の2割負担や受信時定額負担を辛くてもやるべきだと主張することは、今日のようにNHKの中継を通して多くの高齢者が視聴していると思われる時に言うことはリスクがあります。しかし、小泉さんは、これをわざとやっているんだと思います。投票率が高く、数も多い高齢者にとって厳しいことを言うことは辛いことだが、有権者におもねるのではなく、若い世代の代表として、辛いことをあえて言うのが政治家であり、それが政治家、小泉進次郎だというメッセージは、差し障りのない内容よりもずっと印象に残ります。私は、40歳ですが、30歳の小泉さんがこのテーマをやることで、世代閣の格差というテーマがさらに際立ちます。

 質問の運び方も巧い。自分も実際にやってみて分かるのですが、原稿を起こすと、ついつい自分の主張を一通り述べて、最後に「~大臣、如何でしょうか。」と質問する形になりがちです。しかし、これだとテレビを見ている人には、何を聴きたいのか、核心部分が伝わりにくくなってしまいます。
 それに対して、小泉さんは「私は、30歳です。35年後、65歳になった時に、野田総理、私は年金、もらえますか?」とズバッと核心をつく質問をします。

 若干30歳にして、臆することのない態度といい、末恐ろしい。小泉元総理のカリスマ性を確実に受け継いでいます。
 
 大いに刺激を受け、自分よりも10歳も若い小泉さんに感心しているだけでは恥ずかしいと、より一層の精進を誓いました。

予算委員会集中審議(マニフェスト施策の政策効果検証)

2012年03月01日 | 政治
本日の予算委員会集中は、高校授業料無償化政策等のマニフェスト政策の効果検証というテーマでした。
なかでも聴き応えのあったのは、農家の戸別所得補償制度をめぐるわが党の玉木委員と自民党の赤澤委員の質問でした。

まず、玉木委員は、民主党の一期生のエースらしく、論理的で分かりやすい質問で、必ずしも農政に詳しくない私にも「なるほど」と思わせる内容でした。
一方、それを受けるような形の赤澤委員の質問も鋭い内容で、政策効果検証にふさわしい議論だったと思います。
玉木委員が農家の4人に3人が戸別所得補償モデル政策を評価していることをアンケート結果で示したのに対して、赤澤委員は「給付を受ける当時者が評価していることは、ある意味当然で、政策効果とは関係ない」と切り返しました。さらに、赤澤委員は「当事者が評価すればよい政策だということになれば、当事者が望んでいない消費税は悪い政策になる」と強い調子で批判しました。

赤澤委員は、政策効果は、政策目的に照らして、それが達成されたかどうかで評価されるべきと主張。これもたしかに正論です。
赤澤委員は、戸別所得補償の政策目的は、食料自給率の向上と農地の多面的機能の維持だったはずと指摘。
玉木委員の戸別所得政策導入により、農家の収入が増えているとの指摘に対しても、「それは、土地改良予算を大幅削減して、農家にばらまいた結果であり、土地改良予算の削減によって、老朽化した灌漑設備の改修等が遅れ、むしろ、農地の多面的機能の維持に支障がでている」と主張しました。

次に、玉木委員の「所得補償交付金は、件数でみると、ほとんどが2ha未満の小規模農家に配分されているように見えるが、金額ベースでは6割が2ha以上の農家に配分されており、規模拡大した方がより経営が安定するという農地集約化のインセンティヴがビルトインされている」と主張したのに対して、小規模農家が農地を貸し出さなければ、集約化は進まないので、小規模農家に戸別所得補償をすれば集約化は先細ると反論しました。

さらに、赤澤委員からは、戸別所得補償制度のもう一つの政策目標である食料自給率も低下しているとの指摘がありました。

どちらの主張が一歩的に正しいとか、間違っているとかではなく、両者の主張はそれぞれに説得力があり、まさに、こうした議論を通して、国会審議という公の場で、しかも今日はNHK放送を通じて、広く国民の皆様に聴いていただくことはたいへん意義深いことだと思いました。
揚げ足取りではなく、こうしたがっぷり四つに組んだ政策論争を増やしていきたいものです。