人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

予算委員会参考人質疑(社会保障と税)

2012年02月27日 | 政治
 予算委員会での「社会保障と税」をテーマとした参考人質疑が行われましたが、興味深かった発言を書き留めておきます。

○駒村参考人(慶応大学経済学部教授)
 年金の抜本改革を目指す場合も、当面は現行制度の手直しは必要。この部分では与野党共通する部分が多い。マクロ経済スライドを続けていけば、基礎年金の実質的に受け取れる額は目減りしていく。そこに国費を投入していくことの先には、税方式の最低保障年金の議論が出てくる。つまり、民主党と自民党は水と油ではなく、折り合うことは可能。スウェーデンで年金改革を実行した際も、与野党協議のルールを決めた上で改革を進めた。これに習うべき。

○西沢参考人(日本総研主任研究員)
 なぜ、5%引き上げなのか明確な答えがない。最終のゴールを示した上で、あくまで5%は一里塚とすべきだった。そうでなければ、財政再建のための増税のアメとしか受け取られない。

○森信参考人(中大法科大学院教授)
 公的年金に税を導入することだけを考えていたのでは、きりがない。日本版IRA(個人型年金積立金非課税制度)の創設を行うべき。

○細野参考人(経済評論家)
 社会保障については、天動説と地動説くらい理解のひらき、誤解がある。「未納が増えると年金が破たんする」に代表される「ひっかけ問題」がまかり通っている。所得があるのに、「年金を払っても損だ」と言って、払わない人は税を払い損していることを若者に教えるべき。年金問題は、社会保障教育の問題だ。

 なかでも、カリスマ受験講師で、「社会保障の教育推進に関する検討委員会」委員の細野参考人の意見陳述は、他の有識者とは切り口が一味違って面白かった。私も毎週、地域で座談会をしていて、時々、実感するのは、年金制度に対する国民の誤解である。よく、「俺らが払った年金を返せ」という趣旨の発言があるが、正確に言うとこれはまちがいだ。我が国の年金制度は、賦課方式(仕送り方式)であって積立方式ではないのだが、この点に誤解がある。また、よく、若い方から「僕らは、年金を払っても将来もらえないんでしょ」という質問をいただくが、これも細野参考人の指摘するようにまちがいである。基礎年金の財政の2分の1は税金で賄われており、年金を払っていない若者も消費税その他の税金を負担しているのであって、年金を払わず無年金になれば、税は払い損になることは全く理解されていない。

 もう一つ印象的だったのが、民主党を離党した少数会派の委員が繰り返し「増税の前にやるべきことをやるべきだ」という質問をしたのに対して、4名の参考人全員が同趣旨の答えをしたことだ。それは、かいつまんで言うと次のようになる。
 増税の前にムダづかいをなくすべきというのは、そのとおり。しかし、やらなきゃいけない改革を先送りにする言い訳にしてはいけない。わが国の債務の状況やsy回保障の持続可能性を考えると、同時並行でやるしかない。ムダ削減は、ここまでやったら終わりというのはない。ムダがなくなったら増税するというのでは、いつまでも増税できないおそれがある。私も公務員給与削減、議員定数削減等にまったく進展がない中での増税には賛成できないが、同時に、財政再建、社会保障を持続可能性のあるものにしていくための改革をこれ以上先送りすることも許されないと思う。


予算委員会で、世代間の格差をテーマに質問!

2012年02月20日 | Weblog
 最近は、ありがたいことに、「予算委員会でテレビに映っとたよ。」とみなさまに声をかけていただきます。NHKの中継が入るときには、私のような一期生には質問の機会が回ってきませんが、先日、2月15日に、25分という短い時間ですが、予算委員会では、初めてとなる質問を行いました。その概要は次のとおりです。

1. 国の公式行事での「国酒」たる清酒の使用の徹底について
昭和53年の初閣議で当時の中川農相が米の消費拡大に範を示す意味から、国の公式行事、式典等では努めて清酒を用いることを提案し、閣議了解事項とされている。被災地を応援する意味でも、野田内閣で、国の公式行事等での清酒の使用を再度徹底していただきたい。

2. 負担余力のある高齢者世代に社会保障の負担を求めることについて
生涯を通じた受益と負担の関係を見ると、ちょうど40代で生涯受益がマイナスに転じ、将来世代では、4,585万円のマイナスとなる。また、日本の家計資産の6割は60歳以上の世帯が保有しており、被相続人の年齢は80歳以上が63%にものぼる。
これまで社会的弱者として一律に優遇される傾向にあった高齢者の負担のあり方を考え直す必要があるのでは。高齢者の中には生活が厳しい方も多数いることには十分な配慮が必要だが、負担余力のある高齢者には相応の負担を求めるべきではないか。

3. 被用者保険の高齢者負担金への総報酬割の導入について
 高齢者への給付の見直しを先送りにしたまま、現役世代に対する負担について納得を得ることはできない。この点、高齢者医療の支援金を各被用者保険の総報酬に応じた負担とする措置が検討されているが、全額総報酬割となれば、ほとんどの健保組合は赤字に転落し、保険料が上がると同時に、事業主の負担も大幅に増える。集めた保険料の約半分を支援金として召し上げられるのでは、組合員の健康管理徹底し医療費を抑制しようという保険者機能が失われる。総報酬割の拡大には、関係者の理解を十分に得た上で慎重に行うべきではないか。

4. 給付の見直しの観点からの終末期医療の見直しについて
消費税を上げても、一方で、給付がどんどん膨らんでいけばきりがない。この点、タブーかもしれないが、終末期医療を見直すべきだ。欧米では、胃に管をつないで栄養補給を行う胃ろう措置は一般的には行われないが、日本では簡単に胃ろうを措置を行う傾向がある。
 終末期医療費が全老人医療費の20%を占めるとか、国民一人が一生に使う医療費の半分が死の直前の2ヶ月に使われるというデーターもある。
日本老年医学会も、終末期の胃ろうの差し控えや撤退を選択肢とする方針を示している。一分一秒でも長生きして欲しいという家族の願いや患者の尊厳を考慮しつつ、有限の国民共有の財産である保険財政を使った終末期医療の範囲を直すべきではないか。

5. 電気料金値上げや再生エネルギー全量買取り制度の上乗せ負担について
社会保障の財源の65%は保険料で、税より保険料の割合の方が大きい。保険料は雇用から発生し、雇用は産業から生まれる。産業、特に製造業は、東日本大震災、タイの洪水、超円高によって、たいへんな苦境に立たされており、東京電力の企業向け電気料金の値上げに中小企業から悲鳴があがっている。
特に、深刻なのが電力多消費産業であり、ほとんどが中小零細の鋳造業は、電気炉で鉄を熔解するため大きな電力を必要とし、電力の購入額が売上の約1割を占める。今回の東電の値上げだけでなく、今後、再生エネルギー全量買取り制度導入により負担が上乗せされれば、壊滅的な打撃を受けることになる電力多消費産業に対しては何らかの配慮が必要ではないか。

 以上は、衆議院TV http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php で動画が、国会会議録検索 http://kokkai.ndl.go.jp/ で会議録をご覧いただくことができます。

 地元で毎週末、座談会をやっていると、多くのお年寄りから「私たち年寄りのことはいいから、これからの人たちのことを考えてほしい。」という意見をよくいただきます。若い世代の政治家の一人として、これからも臆することなく正論を吐いていきたいと思います。