人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

【書評】修身の教科書

2012年08月11日 | Weblog
「修身の教科書」
小池 松次 著
サンマーク出版


 修身めるというと、何か軍国教育のイメージを持ってしまうところがありますが、ここに収められた文章は、どれも読みやすく、子どもでも興味深く読める内容のものばかりです。
 私は、小学校の低学年の頃には、よく図書室で、偉人の伝記を借りてきて読んだものですが、そういう偉人にまつわる話から、日本人として忘れてはならない徳目、努力・勤勉、勤労・勤勉、創意・挑戦、奉仕・孝行、質素・養生といった徳目が自然に涵養される内容となっています。
 最近は、学校でのいじめが、また、社会問題化していますが、これを読むと、修身のような教育を初等教育の段階でやることが必要だと感じます。

「人間だから絶望するし、人間だけが希望を持つ。」

2012年07月13日 | Weblog
京都大学法学部の同窓会、有信会の東海支部総会に出席しました。
記念講演として、京大霊長類研究所の松沢教授の「想像するちから チンパンジーが教えてくれた人間の心」という話を聞きました。
松沢教授が育てたチンパンジーのアイは、文字や数字を理解するチンパンジーとして有名ですが、その息子のあゆむも数字を理解します。画面にランダムに現れた1~9までの数字を正確な順序でタッチすることができます。驚くべきは、その先です。一旦、画面に現れた1~9の数字が0.2秒で消えても、やはり、正確に1から順番に数字が現れた場所をタッチしていきます。動画で観ましたが、そのスピードには驚きます。4歳のチンパンジーにできることが私たち人間にはできないのです。このチンパンジーの能力を学術的には、直観像記憶と言うそうです。
別の実験では、目や鼻や口を消した似顔絵に人間の幼児は、目鼻口といった部位を書きこむのに対して、チンパンジーは輪郭などの線をなぞるだけです。
つまり、猿と人間の違いは、猿は、今、そこにあるものを見て、人間は、今、そこにないことを考えるのです。この想像する力こそ、人間と猿を分けるものなのです。チンパンジーは、明日のことは考えないので、絶望することもないし、反対に、希望を持つこともありません。人間は、想像するからこそ、絶望もするし、希望も持つのです。
深イイ話です。

【書評】日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人

2012年07月10日 | Weblog
「日本人だけが知らない 世界から絶賛される日本人」
 黄 文雄 著
 徳間書店


 私は、昭和46年生まれで、大学を卒業して社会に出たのが平成6年です。その頃には、すでにバブル経済は崩壊していましたが、高校生や大学生の頃、バブルの残り香を感じることができましたし、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われて、日本が、日本人が自信に満ち溢れていた時代をかろうじて知っている世代だと思います。しかし、私たちの世代より少し下の世代は、もの心ついた時には、日本はすでに不況で、元気な日本、世界が羨む日本なんて想像がつかないという世代なのです。
 私は、日本の社会構造のさまざまな問題の根底には、高度成長期世代とバブル世代とロスジェネ世代の価値観の溝があるような気がします。

話がそれましたが、そんな自信が持てない今の日本の若者に読んで欲しいのが、この本です。私は、正直に言うと、いわゆる、ネット右翼に代表されるような排他的で、自分と違う考え方や自分とは異なる人の立場を尊重しない人は苦手です。しかし、この本は、そういう特定の価値観を押しつけるような雰囲気を出すことなく、日本人の持つ美徳を代表する多くの人物をいくつかのカテゴリーに分けてうまく紹介しています。日本人自身ではなく、「 外国人が絶賛する」という第三者の視点をとっているからだと思います。著者の黄氏は、戦前の日本の教育を受けた台湾人です。戦後の日本人が忘れてしまった日本人の美徳をこうして、台湾人が紹介しているのも皮肉な気がします。

たとえば、岩国沖で沈没した潜水艦の佐久間艇長の話。欧米では、同様の事故が起これば、パニックになった乗務員がハッチに殺到するのが普通だそうですが、佐久間艇長以下、14名は最後まで任務についたままの姿勢で息絶えていたのです。それどころか、酸素がなくなり、意識が遠のいて行く中で、佐久間艇長が残した遺書には、事故についての陛下への謝罪、最後まで冷静沈着だった部下への労い、そして、事故が原因で今後の潜水艦の技術発展が停滞することへの憂いまでが書かれていたというから驚きです。東日本大震災では、日本人がパニックを起こすことなく、助けあう姿が世界の感動と驚きを呼びましたが、それは、私たち日本人に佐久間艇長の精神が流れているからに他なりません。

海軍軍令部総長永野修身の次のような言葉にも考えさせられました。

「戦わざれば亡国必至、戦うもまた亡国を免れとすれば、戦わずして亡国にゆだねるは身も心も亡国であるが、戦って護国の精神に徹するならば、たとい戦い勝たずとも祖国護持の精神が残り、われらの子孫はかならず再起三起するであろう。」

私もいわゆる自殺戦術を肯定するものでもないし、多くの未来ある若者が特攻で命を散らしたことは、痛ましく思います。しかし、この言葉には強く心を打たれました。自ら捨石となっても大和魂を子孫に残すというこの精神を我々、政治家は持たなければならないと思いました。



【書評】雑巾がけ

2012年05月22日 | Weblog
「雑巾がけ 小沢一郎という試練」 石川知裕・新潮新書

 読んでいて、「あるある」と、共感するところが多かった。私も立候補をする前に、馬淵澄夫代議士の秘書をしていた。ある時期は、一日の中で夫人よりも長い時間を馬淵代議士と過ごしていた。もっとも、私が秘書をしていたのは3年ほどだし、代議士も私のことを地元秘書に比べれば、ずっと優しく扱ってくれたので、私が「雑巾がけ」なんて言うのはおこがましいが、秘書経験者としては石川代議士の気持ちはよく分かるし、自分も代議士となった今、「秘書道」とも言うべきこの本の内容をうちの秘書にも、ぜひ、読んで欲しいと思う。

 私は、秘書をしていた時に周りの先輩秘書を見ていて、思っていた「よい秘書の必須条件」、それは、ボスへの思いが強いことと、「先読み」して仕事ができること。石川代議士は、そのどちらにも当てはまる。石川代議士は、高校生からの小沢ファンで、スーパーチルドレンだと自称する。小沢さんを心から尊敬しているのが、よく分かる。しかし、盲目的に礼賛しているのではない。本書には、小沢さんの「ダメ」なところも書いてあるし、心の中で小沢さんに対して「おい、おい。」と突っ込みを入れている場面が何度も出てくる。その気持ちは秘書経験者として、すごくよく分かる。これから修業する人へのアドバイスにある「政局に予定を入れない」というのは、まさに「先読み」そのものである。
 小沢さんの前では、妙に緊張することや、自らの立候補についてボスの了解を得る時のボスとの微妙な関係なども自らの体験と重ねて読ましてもらった。

 もう一つ感じたのは、小沢さんと馬淵の共通点である。石川代議士が小沢さんに魅かれたのは「強さへのあこがれ」だと書いてあるが、最近は、「父性」を感じさせる政治家が少ない気がする。野党時代の小沢代表のポスターに、たしか「日本のオヤジ、動く。」といったキャッチコピーのポスターがあった気がする。小沢さんは、まさにこわいオヤジのイメージだ。馬淵は、私生活でも6人の子供の父親で、現代風のパパの優しさもあるが、怒ったら、こわいオヤジだ。私も自分にないその力強さ、「父性」に魅かれてついてきた。

 実は、馬淵自身も雑巾がけの経験がある。馬淵は、「丁稚奉公」と言うが、修業時代の思い出話を秘書をしていた時に、よく聞かされた。馬淵がオヤジと呼ぶ投資家に、草刈りや運転手から始めて、商売のイロハを叩き込まれたこと。本書では、これから修業する人へのアドバイスとして「物の頼み方、頼まれ方」ということが書いてあるが、馬淵は、オヤジから、「金の払い方、受け取り方」を教えられたと話してくれた。同じ支払いをするにも、あり難く受け取ってもらう払い方があるし、反対に気持ちよく支払いをしてもらう金の受け取り方があると言う。馬淵の運転手から、「おやじ」に認められて、30代で上場企業の役員に抜擢されるまでの話は、さながら秀吉の「信長の草履とり」の逸話のようだ。最近では、「松下政経塾出身者が日本の政治を悪くしている」という声まであるが、政経塾出身の政治家に共通するのは、若くて、政策通だが、世間知らずで、人の気持ちが分からないという批判だ。私が馬淵代議士に天下をとらせたいと思うのは、民主党の若手政治家の中で、実社会での経験が豊富で、雑巾がけも、落選も経験していて、「日本を良くするのは馬淵だ」と思うからだ。

 石川代議士も、「おわりに」で、逮捕された今でも小沢さんについていく理由を問われれば、現在の政治家の中で最も政策がよく、実行力があり、「日本を良くするのは小沢さん」と思うからだと述べている。秘書だったからではなく、客観的に、日本のためにそう考えているところが、私の馬淵に対する想いと近い気がする。さらに、続けて、「人柄」や「清廉さ」こそが、もっとも重要だと言わんばかりの世論には戸惑うと述べている。「人柄がいいが無能な社長」より「独善的だが有能な社長」を選ぶのは当然だという石川代議士の主張は、実は、私が辿り着いた「小沢一郎論」とまったく同じだ。
 私の支援者の中にも小沢さんが好きな人と大嫌いな人がいる。大嫌いな人の主張はこうだ。政治は「信なくば立たず」だ。カネの問題で国民の信頼を失った人間がリーダーになる資格がないというものだ。私は、これも一理あると思う。一方では、「清濁併せ飲む」のが政治家だ。「クリーンだけど能力のない政治家」より「グレーだけど実力のある政治家」に任せるのが当然じゃないかという声も理解できる。当たり前だが、クリーンで実力があれば、それが一番いいに決まっている。だから、私は排除するのではなく、小沢さんの「実力」をうまく使えばいいと思うし、一方で、法的にシロかどうかは別にして、現在の国民世論では、表の顔になるのは難しいと思っている。

 最後に、私も、辞めて公募に応募する許しをもらった時に、馬淵から「お前もまだまだだな、だけど、まぁ、がんばれ」みたいなことを言われた気がする。この本を読んで、石川知裕衆議院議員という人物そのものに関心が湧いた。実は、以前にこのブログに「悪党」の感想を書いたら、議員会館のエレベーターで石川代議士に会った時に「ブログ読みましたよ。感想を書いていただき、ありがとうございます。」と丁寧に挨拶されて、驚いたことがある。なかにはエレバーターで会って挨拶しても返事もしない議員がいる中で、この辺は、まさに雑巾がけで人間ができているかどうかの差だと思う。

予算委員会で、世代間の格差をテーマに質問!

2012年02月20日 | Weblog
 最近は、ありがたいことに、「予算委員会でテレビに映っとたよ。」とみなさまに声をかけていただきます。NHKの中継が入るときには、私のような一期生には質問の機会が回ってきませんが、先日、2月15日に、25分という短い時間ですが、予算委員会では、初めてとなる質問を行いました。その概要は次のとおりです。

1. 国の公式行事での「国酒」たる清酒の使用の徹底について
昭和53年の初閣議で当時の中川農相が米の消費拡大に範を示す意味から、国の公式行事、式典等では努めて清酒を用いることを提案し、閣議了解事項とされている。被災地を応援する意味でも、野田内閣で、国の公式行事等での清酒の使用を再度徹底していただきたい。

2. 負担余力のある高齢者世代に社会保障の負担を求めることについて
生涯を通じた受益と負担の関係を見ると、ちょうど40代で生涯受益がマイナスに転じ、将来世代では、4,585万円のマイナスとなる。また、日本の家計資産の6割は60歳以上の世帯が保有しており、被相続人の年齢は80歳以上が63%にものぼる。
これまで社会的弱者として一律に優遇される傾向にあった高齢者の負担のあり方を考え直す必要があるのでは。高齢者の中には生活が厳しい方も多数いることには十分な配慮が必要だが、負担余力のある高齢者には相応の負担を求めるべきではないか。

3. 被用者保険の高齢者負担金への総報酬割の導入について
 高齢者への給付の見直しを先送りにしたまま、現役世代に対する負担について納得を得ることはできない。この点、高齢者医療の支援金を各被用者保険の総報酬に応じた負担とする措置が検討されているが、全額総報酬割となれば、ほとんどの健保組合は赤字に転落し、保険料が上がると同時に、事業主の負担も大幅に増える。集めた保険料の約半分を支援金として召し上げられるのでは、組合員の健康管理徹底し医療費を抑制しようという保険者機能が失われる。総報酬割の拡大には、関係者の理解を十分に得た上で慎重に行うべきではないか。

4. 給付の見直しの観点からの終末期医療の見直しについて
消費税を上げても、一方で、給付がどんどん膨らんでいけばきりがない。この点、タブーかもしれないが、終末期医療を見直すべきだ。欧米では、胃に管をつないで栄養補給を行う胃ろう措置は一般的には行われないが、日本では簡単に胃ろうを措置を行う傾向がある。
 終末期医療費が全老人医療費の20%を占めるとか、国民一人が一生に使う医療費の半分が死の直前の2ヶ月に使われるというデーターもある。
日本老年医学会も、終末期の胃ろうの差し控えや撤退を選択肢とする方針を示している。一分一秒でも長生きして欲しいという家族の願いや患者の尊厳を考慮しつつ、有限の国民共有の財産である保険財政を使った終末期医療の範囲を直すべきではないか。

5. 電気料金値上げや再生エネルギー全量買取り制度の上乗せ負担について
社会保障の財源の65%は保険料で、税より保険料の割合の方が大きい。保険料は雇用から発生し、雇用は産業から生まれる。産業、特に製造業は、東日本大震災、タイの洪水、超円高によって、たいへんな苦境に立たされており、東京電力の企業向け電気料金の値上げに中小企業から悲鳴があがっている。
特に、深刻なのが電力多消費産業であり、ほとんどが中小零細の鋳造業は、電気炉で鉄を熔解するため大きな電力を必要とし、電力の購入額が売上の約1割を占める。今回の東電の値上げだけでなく、今後、再生エネルギー全量買取り制度導入により負担が上乗せされれば、壊滅的な打撃を受けることになる電力多消費産業に対しては何らかの配慮が必要ではないか。

 以上は、衆議院TV http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php で動画が、国会会議録検索 http://kokkai.ndl.go.jp/ で会議録をご覧いただくことができます。

 地元で毎週末、座談会をやっていると、多くのお年寄りから「私たち年寄りのことはいいから、これからの人たちのことを考えてほしい。」という意見をよくいただきます。若い世代の政治家の一人として、これからも臆することなく正論を吐いていきたいと思います。

平成24年謹賀新年

2012年01月01日 | Weblog
 2012年は、壬辰(みずのえ・たつ)。「壬」は「何かが生まれて大きくなる」という意味があります。ですから、妊娠の「妊」は「胎児が大きくなってお腹がふくらんでいる姿」を表しています。欧州危機が拡大するのか、復興需要が本格化するのか。「壬」の年の勢いを活かすも殺すもリーダーの手腕にかかっています。
「東京五輪も新幹線の開業も辰年でした。昇り竜というくらいですから、経済にも勢いが出る年にしたいものです。
 今年は、アメリカ、ロシア、フランス、韓国では大統領選挙が、台湾では総統選挙が、さらに、中国では指導部の交代、北朝鮮でも権力承継が行われます。さて、日本の政治には大きな変化があるのかどうなのか?
 私は、今年は数え42歳の本厄を迎えます。降りかかる災いを乗り越え、新たな展望を開く年としたいと思います。
 みなさまにとって、本年がすばらしい年となりますように。本年もどうぞよろしくお願いします。

【書評】下町ロケット

2011年10月19日 | Weblog
下町ロケット」池井戸潤著/小学館刊

 言わずとしれた第145回直木賞受賞作。また、野田首相が購入したということを聞いて気になっていた本ですが、最近、読んだ本の中でも指折りのいい作品。後で知りましたが、NHKで放映され話題になった公共事業の談合を描いた「鉄の骨」の原作も池井戸さんの作品です。

ぜひ、読んで欲しいので、あまり内容については書きませんが、前半の特許侵害訴訟をめぐるストーリーでハラハラしながら引き込まれ、後半の「佃プライド」中小企業の心意気をめぐるストーリーでは、爽やかな感動が待っています。

 全篇を通して、一番、印象に残ったのは、営業と開発で社論が二分する中での主人公の佃製作所社長の次のセリフです。

「俺はな、仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃあ窮屈だ。だから、仕事に夢がなきゃならないと思う。それが二階部分だ。夢だけ追っかけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。」

 私も「仕事」というものに対して、同じような考え方を持っています。そして、それは選挙と政策実現にもあてはまるような気がします。政策だけ追っかけても選挙に落ちたら終わりだし、選挙に通っても、実現したい政策や理想がなければつまらない。私も夢を大切にして、議員としての活動を行っていきたいと思います。 
 

代表選挙の投票日を迎えて

2011年08月29日 | Weblog
 代表選挙の投票日の朝を迎えました。傍観者でなく、主体的に取り組んだこの代表選挙、いろいろな想いがあります。それは、また、終わった後に書きたいと思います。

 今回、馬淵選対に加わってくれた仲間の一期生、その中の数名は私に「騙されて」、しかし、最後まで、一緒に戦ってくれました。何より仲間に感謝です。

 その一期生の仲間で、寄せ書きをした手書きのビラを作成し、今朝、手分けして会館の部屋に配布してきました。そこには共通のメッセージとして、こう書いてあります。

 「1年生議員の皆さまへ~国民のための代表選挙をやろうではありませんか。~
 残念ながら今回の代表選挙は、相も変わらず党内のゴタゴタした争いや政治と金のもんだいばかりに注目が集まってしまっています。政権交代後2年目で、すでに3回目の代表選挙。このままでは、私たちはもはや国民から見捨てられかねません。2年前のあの代表選挙で出会った一人ひとりの国民の顔を思い起こし、自らの判断で選ぶ代表選挙にしようではありませんか。」

 私は、寄せ書きに次のように書きました。

 「自分が最初に選挙に出た時のことを思い出してください。勝てるから選挙に出たのですか?『この国を何とかせねば』という熱い思いで選挙に出たはずです。内向きの選挙ではなく、国民のことを思って行動して下さい。 大西健介」

「超円高」を食い止めろ!

2011年08月04日 | Weblog
 現在、自動車をはじめとする日本の製造業は、「6重苦」に直面していると言われています。6つの苦境とは、①円高、②高い法人税、③自由貿易協定の遅れ、④製造業への派遣禁止、⑤CO2の25%削減、⑥震災とそれに伴う電力不足の問題、です。

 そんな中、債務上限引き上げ問題について米国議会での対立が深刻化し米国債がデフォルト(債務不履行)になる懸念から、ドル売りが進み、相対的に安全な円を買う動きが加速し、3日の東京外国為替市場では一時、1ドル=76円台に突入し、経済界に激震が走りました。

 トヨタは1円で営業利益が300億円吹き飛ぶといわれています。これでは血のにじむようなコスト削減も水の泡に帰してしまいます。

 政府が「マーケットの動きを注意深く見守りたい」といった決まり文句を繰り返すだけの中、経済界を中心に苛立ちの声が上がっていました。政府関係者はよく「単独介入しても効果は期待できない」と言います。しかし、世界各国が自国通貨安競争をしている中で協調介入は期待できません。はなから単独介入を否定しては「日本政府は円高に対して打つ手がない。事実上容認している。」という間違ったメッセージを送ることになってしまいます。

 まずは「単独介入も辞さない。断固として超円高を阻止する。」という強い姿勢を示すことです。政府が徹底介入を本気で実行すると市場参加者が信じれば、実際に大量介入を行わなくても円高を止めることもできるかもしれない。

 もう一つ、私は「為替介入の非不胎化」を主張したいと思います。「為替介入の非不胎化」とは、ドル買い介入によって増えた日銀当座預金を政府短期証券(FB)の売りオペなどによって日銀が吸収することなく、そのまま放置して、ベース・マネーを増加させる政策を言います。
 
 1999年当時にイェール大学の浜田宏一教授が唱えた「非不胎化介入論」がエコノミストの間に大論争を巻き起こしたことがありました。これについては、やや専門的な話になるので個々での説明は省略します。
 ただ、99年9月に当時の堺屋経企庁長官が「不胎化しない介入の選択肢の一つ」と述べただけで、円買いの勢いが一時弱まったということもありました。

 また、2003年1月~2004年3月にかけて日本政府は合計35兆円の介入を実施しましたが、この時期に日銀が当座預金目標を15兆円引き上げたことが「部分的な介入資金の非不胎化」として、為替レートに円安効果を与えたという観測もあります。

 99年以降介入資金の原資となる政府短期証券は、それまでの日銀引き受けではなく市場で引き受けられるようになったので、非不胎化には、単に介入資金を放置するだけでは不十分で、資金供給の拡大を伴う追加的金融緩和を行うことが必要です。

 白川総裁は、これまで非不胎化介入について前向きな発言を行っており、同時に今後とも必要であれば追加緩和策を採用していく意向を示してきました。

 そうした中、今日4日午前、政府・日銀は、約4ヶ月半ぶりとなる円売り・ドル買いの為替介入を実施しました。一方、日銀も一日前倒しで、金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策として、社債などの資産を買い取る基金の規模を10兆円増額して50兆円にすることを決めました。野田財務相は緊急会見し、「無秩序な動きには断固たる措置を取る」と述べ、日銀の白川総裁も「(介入が)為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待する」との談話を発表しました。

 私は、今回の政府と日銀の連携した動きは、評価してよいと思います。今後とも政府と日銀がコミニケーションを密にして協調することが重要です。市場もこれに反応、為替介入が効を奏し、外国為替市場で、ドルが一時80円まで上昇し、3週間ぶりの高値を更新しました。為替介入の効果は一時的との見方もあるが、ワンショットで終わらせることなく、円高阻止の断固たる姿勢を貫くことと、それに呼応した追加的金融緩和を思いきって行うことを引き続き求めていきます。


岩手県(大船渡、陸前高田)訪問報告②

2011年04月21日 | Weblog
(前回からの続き)

(3)大船渡市 リアスホール「こころの里」
• 避難所にもなっている大船渡市民文化会館リアスホールの駐車場にトレーラーハウスを設置し、「こころの里」を開設。予約制でカウンセリングを行う。ビラを配布するとともに、避難所巡回、炊き出し等を通じて悩み相談を受付ける。
• 教師、役場職員、消防士など自らも被災者でありながら市民のために働かなければならない人々の精神的負担が限界に達しつつあり、ケアをしていきたいと考えている。
• 東北人は我慢強い気質で、地域コミュニティーのしがらみがあって、なかなか悩みを相談できない。地元でない愛知ネットだからできる役割があると考えている。
• これまで相談を受けたのは、通院歴等があり震災で症状が悪化したというケースがほとんど

(4)大船渡市 末崎ふるさとセンター、末崎中学校 避難所
• 後藤幸市 岩手県動作法学習会代表:自分は特別支援学級の教員でもある。自閉症の子どもの中には、震災で普段よりいっそうこだわりが強くなったり、奇声をあげたりする子がおり、集団での避難生活はたいへん難しい。
• 避難所を巡回し、高齢者には動作法によるマッサージを行い、子どもとは簡単なゲームなど行いながら、話しかけていく。ただし、昼間は外に出かけている人が多い。
• 千葉県のボランティアグループが200食のカレーの炊き出しを行っていた。粉ミルクやベビーフードなどを含めて十分な物資が集まっていた。末崎中学校グランドと大船渡市営球場では仮設住宅の建設が急ピッチで進められていた。
• 末崎中学校体育館避難所の女性リーダー 新沼さん:この体育館は、同じ地区の人々が避難しており、地区役員をしていた自分(新沼)は各家庭の事情も分かっている。避難者は、文字どおり同じ釜の飯を食う家族と同じ。避難所にいれば不自由はない。ただ、いつまでもこの生活は続けられない。最初は命が助かっただけよかったという気持ちだったのが、段々と現実が重くのしかかる。仕事を失い、将来の保証がない。仮設住宅に運良く入れても、家財道具はどうするのか、2年後は出て行かなければならないことを考えると不安は尽きない。温泉地に疎開していく者、仮設住宅に当たって出て行く者が増えていくに従い、残された者は不安になる。愛する家族を失い、自分だけが生き残ってしまったという深い心の傷を負っている者も多い。心の問題をケアすることは重要。

(5)岩城恭治 NPO夢ネット大船渡理事長(炊き出し)
• 気仙地域(陸前高田、大船渡)を中心に活動している地元のNPO8団体(夢ネット大船渡、もさばロハス、読書ボランティアお話ころりん、三陸町三鉄友の会、シニアネット・リアス大船渡、NPO気仙・まちの保健室、NPO風・波デザイン、地元飲食店経営者)を集めて、4月5日に気仙復興市民連絡会を立ち上げた。NPO愛知ネットの協力には深く感謝している。現在は、炊き出しや大切なものを取りに行くボランティア等を行っているが、活動はまだ手探りの状態。被災地の市民の心のよりどころになるような復興のシンボルを創っていきたい。
• この日の炊き出しは、中華丼をボランティア活動から戻ってきた高校生や市民にふるまった。別の日には避難所での炊き出しも行っている。

(6)湯浅誠 内閣府参与
• (たまたま、大船渡ボランティアセンターに実態調査に来ていた湯浅氏と話しをした。)専門家連携が課題になっている。たとえば、心のケアについて言えば、個別に臨床心理士が被災地に入っているが、臨床心理士学会全体での連携の取れた動きになっていない。また、医師が訪問先でカウンセリングのニーズを拾ってもそれが臨床心理士にうまく伝わっていない。医師、看護士、介護士、臨床心理士等業界を超えた連携が必要になっている。

以 上

岩手県(大船渡、陸前高田)訪問報告①

2011年04月21日 | Weblog
 4月17日(日)の夜中、東京を出発し、18日の夜中に盛岡発の夜行バスで東京に帰る日程で、岩手県の陸前高田、大船渡の地域を訪問してきましたので、2回に分けて報告します。

 まず、今回の訪問は、私の地元にあるNPO愛知ネットが現地事務所を置きスタッフを常駐させている住田町の町長他関係者に協力を依頼すること、現地でのNPO愛知ネットの臨床心理士チームの避難所訪問、炊き出し支援の活動に同行することが主な目的でした。
 また、あわせて、愛知県で調達した中古車を現地に運搬するとともに、東京で党の震災ボランティア室に提供された支援物資を積み込み被災地に届けました。

(1)NPO愛知ネット事務所
 住田町は、津波の被害が大きかった陸前高田市、大船渡市に隣接しており、内陸部に位置するため比較的被害が少ない。車で陸前高田に約40分、大船渡に約30分で行くことができ、気仙地域の活動拠点として適している。
 NPO愛知ネット(愛知県安城市)は、住田町農林会館の駐車場の一角にトレーラーハウスを置き、スタッフを常駐させ、地元NPO団体と協力して、気仙市民復興連絡会を立ち上げ、長期(当面2年を想定)の復興支援活動を開始したところ。
 現在の主な活動は、地元の要請を受けて、炊き出しを行うとともに、臨床心理士チームが避難所の巡回、カウンセリング等を行っている。
 なお、事務所となっているトレーラーハウスは、長野で使用されていたもの。プレハブよりもずっと快適。トイレ、バス、キッチンはもちろん、ベッドルーム(ベッド2台)、ロフトスペース、床暖房まで完備している。仮設住宅より文化的で、再利用できる点を考えると、活用の余地があるのではないかと考える。

(2)多田欣一 住田町長、(小泉きく子 副町長)
• 陸前高田市は、行政機能自体が失われており、紙や鉛筆から住田町が提供しなければならなかった。各種届出用紙等も住田町のものを代用した。
• 発災直後に、遠野町長と遠野で大槌、釜石を、住田が陸前高田、大船渡の給水支援を行うことを協議。住田には関西方面の自治体からの給水車約25台が来て、毎日5回転の給水支援を行っている。水道の復旧は6月いっぱいにはと思っているが、7月、8月までかかるかもしれないと覚悟している。
• 毎朝8時に住田町役場前で、市民ボランティアの受け付けを行い、3名の職員が交代で引率を行っている。高校生らを中心に10名ほどが参加。
• 救援物資は充足している。ただし、避難所では、食事に野菜が不足している。住田町としても農林業振興会に協力を呼びかけている。
• 住田町農林会館の和室はボランティアの宿泊先として提供している。(この日は秋田県赤十字のボランティアが宿泊していた。)
• 避難所には十分な支援物資提供があり、たいへん感謝しているが、被災地ではない住田町には物資等の支援はない。しかし、住田町だけでも親戚や友人を頼って、約600名が避難してきている。町としても米の支援等を行っているが、基本的には避難者を受け入れている各世帯の持ち出しになっている。非常事態でしかたがないとは思うが配慮していただけるとありがたい。
• 自分(多田)は、発災直後に100棟の木造仮設住宅の建設を指示したが、被災地でない自治体に仮設住宅を建設することに県や国から待ったをかけられた。想定外の大災害と言うなら、法律を超えてでも政治のリーダーシップでやれることをやるべき。「法律によれば、法律ではこうなっている」と法律を盾にするなら「津波の来ない法律」でも作って欲しい。自分は議会に対して災害対策については竹原阿久根市長ばりの専決処分で進めることで了解をとりつけた。
• 菅首相が陸前高田市を訪問した際に「合併するしかない」との発言を行ったのは見識を疑う。合併するなら平成の合併でとっくにやっているはず。「自分たちのふるさとを何としても復興させたい」という気概を持って生きていこうとしている人たちに「あなたのところは無理だから合併しなさい」というのは被災者の気持ちをまったく理解していない発言。

(次回に続く)

「がんばろう日本!」~国を挙げてこの国難を乗り切ろう!

2011年03月15日 | Weblog
 未曾有の大震災で被災された皆様に心からお見舞いを申しあげますとともに、亡くなられた方々にお悔やみを申しあげます。
 さて、政府においては救援活動に全力を挙げており、迅速かつ集中的な活動を行うため、党としては対応を対策本部に一元化しています。そのため、各議員から官邸・各省庁等への直接の連絡や被災地に入っての現地調査・支援活動は禁じられています。(地元議員を除く)ご理解をいただきたいと思います。
 既に多くの皆様から私のところにも救援物資やボランティアの申し出がありますが、輸送手段が限定されていること、被災地のニースが充分に把握できていないことから、一方的に救援物資を送りつけることはかえって迷惑になります。また、現状では、自衛隊のような自己完結性がない支援活動は足手まといになるだけで、二次災害の危険もあります。
 現時点で皆様にお願いしたいことは、義捐金の募金です。民主党愛知県第13区総支部としても私の事務所で街頭での募金活動を行っています。また、次の口座でも募金を受けつけていますのでご協力よろしくお願いいたします。
■ 郵便振替の場合
記号00110-6 番号65328
■ 銀行振込の場合(りそな銀行衆議院支店)
店番328 普通口座7815354
 最後に、Twitterに投稿されたつぶやきを紹介します。
「2歳の息子が独りシューズを履いて外に出ようとしていた。『地震を逮捕しに行く!』とのこと。小さな体に宿る勇気と正義感に力をもらう。」
 うちにも1歳4ヶ月の息子がいます。もしかすると、復興には、この子たちが大人になるまで時間がかかるかもしれません。しかし、小さな子どもからお年よりまで、日本人全員で、また、世界の国々の助けもいただきながら、力をあわせてこの国難を乗り切りましょう!

地元の皆さまからも様々なご意見をいただいております。

2011年03月14日 | Weblog
 週末、地元でも東北地方太平洋沖地震について、いろいろなご意見やご要請をいただいてりますが、個別の案件についてそれぞれの議員から政府に対して意見や要請をすることは避けて、党の対策本部に一元化することになっています。
 私も皆さまから寄せられた意見は、しっかりと幹事長室に伝えさせていただいています。
 たとえば、その一部をご紹介すると次のようなものです。

1.Ⅰ型糖尿病患者団体よりインスリン注射をしなければ生きていくことができない糖尿病患者が被災地にも多くおり、被災者患者にインスリンをはじめとする必要医薬品が届くように対処をお願いしたいとの要望があった。人工透析患者への対応は報道されているが、Ⅰ型糖尿病については情報がない。また、すでに患者団体からは製薬メーカーに要請をし、協力の承諾を得ているとのこと。(なお、本件については、個人的関係で、岡本厚生労働政務官にも要望済み。)

2.(地元でも毛布やマスク等の物資の支援の申し出やボランティア志願の申し出が多数寄せられているが)優先順位として当面は義援金を皆さんにお願いしたい旨をもっと明確に官房長官から国民に向けて発信すべきである。

3.原子力保安院の会見はブリーフィングに切り替え、中継を見直すべきである。技術系専門家は公衆を前に説明することに慣れておらず、専門用語を多用した会見や質問に対してしどろもどろになる光景がテレビを通じて流れることは、視聴者である国民に不安や苛立ちを与える。必要な情報をマスコミに流すことでマスコミが整理をしてそれを国民に伝えるべきである。他方で、大きな方針や結論(たとえば安全なのか、安全でないのか)、最も国民が知りたがっていることについては、わかりやすい形で官房長官をはじめとする政治家の口から説明をすべきである。

4.西日本と東日本の周波数の違いから西日本からの送電は変電設備がボトルネックとなって限界があると思われるが、西日本での節電の必要性について合理的な説明をする必要があるのではないか。

 これは、ほんの一部です。今後もいただいたご意見やご要請は党本部経由で、政府にしっかりと伝わるようにしてまいります。

事業仕分け第3弾前半戦、閉幕。

2010年11月01日 | Weblog
 事業仕分け第3弾前半戦の特別会計仕分けが終わりました。反省点も多い4日間でしたが、実際に仕分け人をやってみて気づいたことも多く、たいへん勉強になりました。私なりに、いくつか感じたことを書いておきたいと思います。

1.マスコミが世論をつくる
 今回で第3段となった事業仕分けですが、4日間を通じた一般傍聴者数やインターネット中継のアクセス数は過去最高となりました。しかし、事業仕分け初日のあるテレビ番組では、空席の目立つ会場の映像が流され、事業仕分けも第3弾になって、そろそろ世間にも飽きられてきたという趣旨の報道がありました。ところが、流れた映像は、開始前の会場の様子で、開始時間には傍聴席はほぼ埋まっていました。
 また、テレビが取り上げるのは、蓮舫大臣や枝野さんの発言する場面だけ。ひがみで言うわけではありませんが、私たち仕分け人は、朝から晩まで議論をしていますが、公務多忙な蓮舫大臣が出席している時間はそのうちほんの一部です。他にも意義深い議論や注目すべきやりとりがあってもほとんど報道されることはありません。
 さらに、どうしても、テレビは、スーパー堤防に代表されるような、分かりやすく、かつ映像にしやすいものを取り上げる傾向があります。ほとんどの人は、テレビや新聞で報道される評価結果しか見ておらず、議論の過程を知らないで、誤解を生みやすくなります。
事業仕分け第3弾前半戦終了の翌日の隠しの見出しは「『埋蔵金』発掘に限界」。これもマスコミのストーリーとおりです。

2.結果が出ることの良し悪し
 事業仕分けという手法の優れている点は、制限時間内に「廃止」とか「見直し」とか一定の判断が下されることです。議論のための議論に終わらせない点は、私は、いいことだと思います。ただし、ほとんどの問題では、簡単に白黒つけられるものでなく、また、それを無理にすると誤解を招く危険があります。
 その典型がジョブカード制度普及促進事業で、ワーキングチームでの評価結果は、事業の廃止。しかし、これが世間には大きな誤解を生んでいます。私たちは、雇用情勢が極めて厳しい中、雇用が大切であることは十分理解しています。しかし、ジョブカード普及促進事業は、ジョブカードという一般の履歴書と大差のないカードの促進をはかることそのものが事業の目的になってしまっていて、本来の目的であるはずの、訓練型雇用を通じて社会経験の少ない若者の正規雇用を進めるということに結びついていないということが評価の趣旨です。
 繰り返して言いますが、ジョブカード本来の目的は、労働者の職業能力等を高め就職しやすくすることにあるはずですが、実質的には、制度を利用する企業への助成金になってしまっています。同趣旨の助成金には、試行雇用奨励金、正規雇用化奨励金、中小向け訓練助成などがあり、重複も見られます。

3.政府与党の政策の仕分け
 昨年までの事業仕分けは、前政権の政策に対するものが中心でしたが、今回は、民主党政権になって以降の政策が仕分けの対象となりました。これに対しては、野党やマスコミから「政府与党の政策を与党の議員が仕分けするのは矛盾している」との批判がありました。
 しかし、私は、必ずしもそうではないと思っています。企業でも内部監査があるように、税のムダづかいがないかのチェックはできるだけ、重層的に行なうのが望ましいと思っています。
 先日出演した番組の中でも、自民党の山本一太参議院議員から「紙台帳と年金記録の突合は長妻前大臣が国家的プロジェクトだと始めた事業なのに、それを与党が仕分けするのは矛盾している。」とのご批判をいただきましたが、それは誤解です。
 私たちは、年金記録を是正することは年金への信頼回復のため、極めて重要と考えており、そのための紙台帳との突合もしっかりやっていきます。しかし、もとはといえば、いい加減な年金記録の管理をしていなければ、こんな費用はかけなくて済む訳ですから、年金記録問題の解決のためにかけるコストはできるだけ節約すべきです。その点では、紙台帳との突合の方法や入札には、まだまだ改善すべき点があるというのが事業仕分けでの評価です。

4.政治家同士の議論
 今回の仕分けでは、説明役の各省の官僚と一緒に政務三役の議員が防戦に回る場面が見られました。その中には、残念ながら、省益の代弁者に成り下がっているとしか思えない方もいましたが、だらだらと説明する官僚の横から「余計なことは言わなくていいから、簡潔に答えなさい。」と言う副大臣や「政務三役でよく相談して見直しの方向で検討します。」と判断を下す政務官もいました。
 一般傍聴者の見ている中で、政治家同士が意見をぶつけあう場面は、ある意味、新鮮でした。もっとも、そんなことは、本来は、国会審議の場で行なわれなければならないのかもしれません。

5.同一の政策目的を達成するための政策手段の重複
 特別会計仕分けを通して浮かび上がったムダづかいの構図の一つは、特定の財源があるために、ガバナンスが効かなくなり、同じ政策目的に対して、省庁タテ割りで、あるいは別の政策手法で、複数の事業が並立しているということが多々見られました。
 たとえば、太陽に関する自然エネルギーの活用では、太陽光発電は経産省、太陽熱利用は環境省、住宅エコポイントの対象になれば国交省、その他に所得税の減税や余剰電力の買取制度といった太陽光の利用を促す政策メニューが用意されています。
 ハイブリッド車等の次世代自動車の支援についても、商業ベースにのる前の段階のモデル事業は環境省、一般の乗用車は経産省で、タクシーやバスになると国交省、ゴミ回収車となると、これはまた環境省と何がなんだかよく分からないということがよく分かりました。

6、予算査定のしくみの見直し
 事業仕分けには、予算の査定を担当する財務省主計局も同席しています。「エネルギー特別会計の文部科学省と経産省の予算の配分のシェアは事実上固定しているのではないか。」という私の質問に、主計局は「そうです。」とそれを認めました。
 また、「原子力関係の文科省の研究開発予算は、専門性が高く、また、研究機関への運営費交付金という形で渡しきりになっているため、積算根拠が不明確なまま、どんぶり勘定になってしまっている。」との発言がありました。
 これは、財務省主計局が自らの査定の限界を認めた発言であり、だからこそ、事業仕分けのような手法をうまく活用しながら、政治主導でムダづかいをなくしていくことが重要になってくるのだと感じました。
 さらに、省庁タテ割りになっている予算については、主計局の中で現在も公共総括係で横串での査定を行なっているように、環境関係予算や子ども子育て関係予算のように省庁横断的な予算査定の仕組みが必要ではないかと感じました。


厚生労働委員会で、新政務三役に質問!

2010年10月26日 | Weblog
 菅改造内閣初となる厚生労働委員会での一般質問で3つのテーマについて質問に立ちました。

質問は、衆議院TVのラブラリーから視聴が可能です。
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

 まずは、内定取り消し問題。昨今の雇用情勢の悪化の中で、新卒者の雇用も「氷河期」の域を超えています。一方で、内定取り消しを行った企業は、社会の批判にさらされるため、表面化しないよう内定取り消し隠しも巧妙化しています。
 某外食チェーンの3月末に行なわれた内定者研修会では、35秒以内に社訓を暗証するという課題が与えられ、課題をクリアできないと、罵声を浴びせ精神的に追いつめた挙句、白い紙とペンを渡され、言うとおりに書くよう指示されます。「内定を頂いていましたが一身上の都合により辞退致します。なお、貴社に対して何らの権利や請求権を持っていないことを確認致します。」。私は、実際の辞退届を入手しましたが、字も乱れ、当事者の精神状態を察することができます。
 本件に関しては、4月の就職を目前にして20人を超える内定辞退者が出ているとの情報が関西の私立大学の就職課から労働局に寄せられています。これは、内定辞退の強要であり、内定取り消しと同等のものと私は考えます。
 厚生労働省は、個別案件には答えることができないという立場ですが、私は、被害者から入手した生資料を基に、一般論として、たとえ自署による内定辞退の申し出があっても、情況によっては内定取り消しと見なされることを確認しました。また、問題の企業は、自署の辞退届があること、労働局から指導や企業名の公表がないことを逆手にとり、開きなおっていますが、その主張は認められるものではないことを確認しました。

 次に、「消えた子供」の問題。毎日新聞の調査では、安否や所在が不明の0歳児から3歳児までの乳幼児は、延べ355人に上ります。大阪市西区の乳幼児虐待死遺棄事件でも、住民票を移さず各地を転々とし、乳幼児健診を受けた記録もありませんでした。行政のチェックが行き届かない子供がこれだけ多数存在することは危機的なことです。国として、住民登録地に住んでいない「消えた子供」について、親との接触方法や追跡補法の統一的な指針を決めた上で調査するよう求めました。

 最後は、遺骨収集問題。先日、NHKが国の委託をうけたNPO法人がフィリピンで収集した戦没者の遺骨の中にフィリピン人の骨が含まれているとの疑惑を報じました。税金を使った事業であり、また、事実であれば、英霊への冒涜にあたる行為ですから、疑惑を調査するのは当然です。一方で、戦後65年を経て、情報が乏しくなる中、故郷や家族を思い遠く異国の地で命を落とした戦没者の御遺骨を最後の一体まで収集するという国の責任をどうすれば果たすことができるのか、その方法についても見直す時期が来ているのではないかと考えます。