人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「対口支援」スキームの活用について

2011年03月31日 | 政治
 昨日、陸前高田市、気仙沼市、南三陸町に入った高橋昭一衆議院議員の報告を聞いて、あらためて、「被災地」と一括りにして話をしていますが、町が丸ごと津波に飲まれてしまったような地域、既に復旧が始まっている地域、原発事故による退避等を余儀なくされている地域では、それぞれに置かれている状況が異なっていることを共通認識として持たなければならないと感じています。

 その前提に立った上で、また、予算関連法案のメドがたったことも踏まえて、復旧・復興のビジョンを明確にする時期が来ているのではないかと考えます。この点で、私は、2008年に起こった四川大地震での中国政府の対応が参考になると思っています。

 四川大地震で、中国政府は、3年でほぼ復旧、5年で発展振興、10年で「小康」(ややゆとりのある状態)へという目標を立てました。そこで活用されたのが「対口支援」というスキームです。対口支援とは、比較的経済の発達した省や直轄市が被害の大きかった地区の再建を一対一でパートナー支援する仕組みのことです。たとえば、東北関東大震災について、愛知県は宮城県を担当して復旧・復興支援を行うというイメージです。
 四川大地震では、中央政府が3ヶ月で100万戸の仮設住宅建設を決め、北京市、上海市、広東省などは8万戸、浙江省、山東省などは6万戸、陝西省、雲南省は1万戸と経済発展の度合いに応じてノルマを設けました。また、毎年の対口支援の実物や作業量は、その省・市の前年度地方財政収入の1%を下回ってはならないとされました。四川省では、被害の大きかった市・州の2009年の経済発展のスピードは全省の平均を上回ったとのことです。

 もちろん、これは共産主義国家である中国だからできたことかもしれませんし、中国国内の沿海部と内陸部の経済発展の格差の解消に主眼があったのかもしれません。しかし、対口支援というスキームは私はたいへん面白いスキームだと思います。
 復旧・復興は、単に被災地に金銭的な支援を行い、倒壊した家屋を再建し、道路をはじめとするインフラを整備すればよいというものではありません。対口支援では、被災地は金銭的な支援だけではなく、支援自治体から、物資生産供給力、先進的な管理ノウハウ、質の高い人材を得ることが可能です。支援側自治体も防災や復興に関する貴重な体験やノウハウを蓄積することができます。

 現在、都道府県がそれぞれバラバラに、避難者の受け入れ等を行っています。これに対して、総務省が窓口となってマッチング等を行うべきとの批判がありますが、そのような体制がとれていないのが現実です。パートナー自治体を決めてしまえば、こうした混乱はなくなります。たとえば、私の地元の愛知県は、トヨタ自動車関連の企業が多く立地する自動車産業が盛んな地域ですが、東海・東南海大地震に備えて、部品供給拠点を一部宮城県などに移転させていました。現在、トヨタ系企業では、被災地の部品供給メーカーに社員を応援で送っています。こうした結びつきを勘案し、愛知県が中心となって宮城県の復旧・復興支援に当たるということも考えられると思います。
 

宮城県塩竈市での災害ボランティア参加報告

2011年03月29日 | 政治
 去る26日土曜日に東京を出発して、翌日一日、宮城県塩竈市内での災害ボランティア活動に参加しました。翌日は、情けないことに、筋肉痛でたいへんでした。以下、その簡単なご報告です。

 塩竈市は、津波が襲ってくるまでに時間があったため、他の被災地に比べると幸い死亡者は少なかったそうです。市内の様子は、古い民家では瓦が落ちてビニールシートで屋根を覆っている建物もありますが、目立つのは、津波による被害の方です。道路は至る所に津波で流された車が放置され、フェンスがなぎ倒されている状況。道端は両脇にゴミや瓦礫、ヘドロが積み上げられています。民家を津波が貫通していて、ほとんどの家では家財道具は水や泥で使いものにならず、家の中にもヘドロが流れ込み、生活再建は困難を極めるものと思われます。塩竈市内は、電気、水道は復旧しており、ガスだけはまだ止まったままです。営業していない店がほとんどですが、一部営業しているコンビニもありました。

 ボランティアセンターは塩竈市交流センター内のホールに開設されています。被災地の中では、市外からのボランティアも受け入れているところはまだ少数です。隣には公民館があり避難所にもなっていますが、一部屋が県外ボランティアの休憩室になっており、毛布もあり、少数なら宿泊も可能です。
 運営スタッフは、社会福祉協議会職員が中心になって行われています。山口、島根の社会福祉協議会職員も1週間サイクルで応援に来ていました。ボランティアセンターは午前9時から午後5時過ぎまでオープンしていて、午前9時前には、一般ボランティアが約20名集まっていました。受付、ボランティア保険の加入等もしっかりしていて、また、手袋、ショベル、ネコ(一輪車)等の作業用具も豊富に準備されていました。

 具体的な活動内容としては、既に約1週間、塩竈市港町地区で活動しているボランティアのリーダーの指導を受けながら、民家での家財道具の運びだし、ヘドロや瓦礫の撤去、泥の洗い流し等の作業を行いました。
 作業は想像以上にきついです。ヘドロは臭く、全身泥まみれになります。長靴、ゴム手袋、マスクは必需品です。地震による建物の倒壊より津波による被害が大きく、行政による重機を使った作業だけではなく、民家での作業はボランティアの人手が必要です。まだ、一つの民家の作業を完了させるのに、一日がかりで、15~20名の人手が必要で、ボランティアのニーズは高いと感じました。
 
 民家の庭や道路脇には、至るところに、乗用車が横倒しで放置されています。乗用車は、私有財産であり、また、登録制となっていますが、所有者が分からない放置車両の処理は頭の痛い問題です。
 最後に、業界団体や政府は、ガソリンの供給は急ピッチで回復しており、ガソリン不足は解消される見込みと説明していますが、現地の状況はまったく違います。SSは営業していない店も多く、営業している店でも「在庫切れ」の掲示があり、仙台市内、塩竈市内では、給油していないガソリンスタンドに、入荷を待つ車列が延々と続いていました。事態は深刻です。現地の様子を知らないで、安易な発言をすれば、被災地の皆さんが怒るのは当然です。対応が急務です。

被災地で何が足りないのか?~支援物資について

2011年03月24日 | 政治
 民主党震災ボランティア室では、先週末から、議員有志による自己完結型の活動として、党に寄せられた支援物資を被災地に届ける活動を行っています。
 私は、橋本博明代議士とともに、各県担当から寄せられる情報と各議員から寄せられた支援物資の申し出をマッチングさせる物資担当として活動しています。

 被災地で求められている支援物資として、都道府県などで受けつけている物は、一般的には、
(1) 水
(2) 保存食(カップ麺、インスタント麺、アルファ米)
(3) 粉ミルク
(4) 生理用品
(5) 紙おむつ(幼児用)
(6) 高齢者用おむつ
(7) 尿失禁用パッド
(8) マスク
(9) トイレットペーパー
(10) ボックスティッシュ
(11) ウェットティッシュ
(12) 使い捨てカイロ
(13) 乾電池(単1から単4)
(14) ブルーシート       
といった物だと思います。

 但し、現地からの情報によると、集積地には充足な量の物資が集まっているのだけれども、小さな避難所までそれが行き届いていないという声もあります。
 試しに、よく要望がある幼児用紙おむつと生理用品について、主なメーカーのホームページから支援状況を拾ってみました。

ユニチャーム:おむつ20万枚、生理用品45万枚
花王:おむつ4万5千枚、生理用品8万枚、
P&G:おむつ84万枚、生理用品114万枚
大王製紙:おむつ6万5千枚、生理用品12万8千枚

 上記の4社だけでも相当な数の物資が既に提供されています。今後は、量よりもロジスティックの改善に軸足を置くべきかもしれません。また、支援物資の内容も現地のニーズを汲んだ痒い所に手が届くものが求められているのかもしれません。


現地からの報告~物資やボランティアの受け入れについて

2011年03月22日 | 政治
今朝のボランティア準備室の会議で、この週末に自己完結で物資を被災地に届けた仲間の議員らから、現地の状況について報告を受けました。
被災状況を写した写真を見ましたが、3階建ての団地の屋上に津波によって乗り上げられた乗用車やガソリンを求める長蛇の列など衝撃的な写真も多数ありました。

場所にもよりますが、物資不足は一時に比べれば少し改善してきています。たとえば、石巻市では、小学校などのある程度の規模の避難所には支援物資が定期的に届いており、自衛隊の物資集積拠点には支援物資が山積みされているとのことです。一方で、公民館など小規模の避難所は市も把握しきれておらず、物資が届いていないとのことです。宮城県対策本部でも市町村から上げられた避難所情報を県が整理してとりまとめることができていないのが現実とのことでした。例えて言うなら、動脈には血液が来ているが毛細血管の隅々まで血が通っていない状態ということでした。また、メディア等で物資不足の窮状が流された一部の避難所や施設では、全国からの救援物資が集中し、実際には物資があふれているところもあるとの指摘がありました。

ガソリン(燃料)については、緊急車両は給油を受けることができるが、一般車両は、相変わらず給油を受けるには長時間ならばなければならない状況のようです。特に、津波で壊滅的な被害を受けた地域では、ガソリンスタンドが機能しておらず、タンクローリーでガソリンが運ばれてきても給油する拠点がない(ガソリンは揮発性が高いためタンクローリーからの直接給油は難しい)ためにたいへん困っているとのこと。

不足している物資としては、簡易トイレ、下着、生理用品や歯ブラシ等の衛生用品、ドライシャンプー(水がなくても洗髪できるもの)、ドラムロール(延長コード)などが共通して挙がっていました。また、入浴サービスの要望も強いとのことでした。早速、私も歯ブラシ約300本を今晩、福島県南相馬地域に向けて出発予定の仲間に預けて被災地に届けてもらうことにしました。

高速道路の状況は、予想以上に良好で、また、ライフラインの普及がもう少し進めば仙台市内にボランティア受け入れの拠点を設置することは可能とのこと。ただし、現時点では、避難所によってボランティアのニーズはあるが、あくまで燃料、食料、水、寝袋を自己完結できる経験のあるボランティアが求められており、被災地の外からの一般ボランティアは入れる状況ではないことは間違いありません。

物資やボランティアの受け付けについては、以下の情報を参考にしてください。

●【救援物資の提供をお考えの方へ】被災地域への各種救援物資の提供をご希望されている民間(原則として個人の皆様は除く)及び地方公共団体(都道府県、市町村)の皆様は、所在都道府県にその旨(物資の種類、数量等)を連絡し、都道府県から示された自衛隊の駐屯地・基地等に救援物資を持ち込んでいただければ、自衛隊が被災地域まで輸送をいたします。(防衛省)
 http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/saigai/tohokuoki/index.html
●【ボランティアとしての活動をご希望の方へ】現在、被災地では余震が続くなどにより、自衛隊や警察等の災害の専門家以外は被災地に立ち入り、活動することが難しい状況にあります。
ボランティアとして活動を希望されている皆様は、被災地支援・災害ボランティア情報(全社協)に、被災地の最新情報が随時掲載されますので、これを活動の参考にしていただきますようお願いいたします。(厚生労働省)
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/volunteer_tohokutaiheiyo.html

超党派での議員の取り組み

2011年03月15日 | 政治
 旧山古志村の村長として、中越地震の復旧を指導した自民党の長島忠美代議士をはじめ、災害ボランティアの経験を有する地方議員を含む超党派の議員連盟である「全国災害ボランティア議員連盟」の緊急会合に出席。
 昨日、辻本清美代議士が内閣総理大臣補佐官に新たに指名され、震災ボランティア連携室(仮称)が立ち上げられることになりました。長島代議士からは、政府のボランティアの司令塔を超党派でバックアップすることで、ボランティアがその力を存分に発揮できる環境を整えるのが議員である我々の役割だという力強い挨拶がありました。
 ボランティア団体から寄せられている主な要望は、整理すると次のようなものです。
①車両通行証の速やかな発行 ②燃料不足の現地での活動と帰路のためのガソリンの確保 ③ボランティア情報のポータル・サイトの立ち上げ ④東京と現地拠点でのボランティア・センターの立ち上げ
 経験豊富な災害ボランティアからも、今回の東北関東大震災は、津波被害という中身の点でも、また、広域災害という規模の点でも、阪神・淡路の大震災とは異なるものであるという認識が示されています。その点でも、今のところは、自己完結できるプロ集団を優先させるべきという点では意見は一致していますが、今後、ステージが移行していくのに備えて、持てるリソースを集約し、マッチングを進めるとともに、絶対に入れない「レッド・ゾーン」と後背地のイエロー・ゾーン及びグリーン・ゾーンのゾーニングを明確にすることが必要ではないかとの議論がありました。
 また、被災地が広域にわたり、被災によっては自治体が機能喪失している事態にかんがみ、日本海側に被災地ごとにバックアップ拠点を設け、ボランティアについてもブロック別の受け入れをするなど強い調整機能が必要ではないかとの意見がありました。
 ボランティアに期待される主な役割は、①避難所運営支援 ②復旧活動支援(民間の片付け等) ③物資の搬送・受け入れ・管理 になると思われます。過去の災害でも「人・モノ・金」の流れに偏りが生じる場合が多く、今回は被災が広域かつ大規模であることから、支援が行きわたらないことが懸念されています。できるだけ、支援漏れや支援格差がないようにすることが議連の目指すところです。

「がんばろう日本!」~国を挙げてこの国難を乗り切ろう!

2011年03月15日 | Weblog
 未曾有の大震災で被災された皆様に心からお見舞いを申しあげますとともに、亡くなられた方々にお悔やみを申しあげます。
 さて、政府においては救援活動に全力を挙げており、迅速かつ集中的な活動を行うため、党としては対応を対策本部に一元化しています。そのため、各議員から官邸・各省庁等への直接の連絡や被災地に入っての現地調査・支援活動は禁じられています。(地元議員を除く)ご理解をいただきたいと思います。
 既に多くの皆様から私のところにも救援物資やボランティアの申し出がありますが、輸送手段が限定されていること、被災地のニースが充分に把握できていないことから、一方的に救援物資を送りつけることはかえって迷惑になります。また、現状では、自衛隊のような自己完結性がない支援活動は足手まといになるだけで、二次災害の危険もあります。
 現時点で皆様にお願いしたいことは、義捐金の募金です。民主党愛知県第13区総支部としても私の事務所で街頭での募金活動を行っています。また、次の口座でも募金を受けつけていますのでご協力よろしくお願いいたします。
■ 郵便振替の場合
記号00110-6 番号65328
■ 銀行振込の場合(りそな銀行衆議院支店)
店番328 普通口座7815354
 最後に、Twitterに投稿されたつぶやきを紹介します。
「2歳の息子が独りシューズを履いて外に出ようとしていた。『地震を逮捕しに行く!』とのこと。小さな体に宿る勇気と正義感に力をもらう。」
 うちにも1歳4ヶ月の息子がいます。もしかすると、復興には、この子たちが大人になるまで時間がかかるかもしれません。しかし、小さな子どもからお年よりまで、日本人全員で、また、世界の国々の助けもいただきながら、力をあわせてこの国難を乗り切りましょう!

地元の皆さまからも様々なご意見をいただいております。

2011年03月14日 | Weblog
 週末、地元でも東北地方太平洋沖地震について、いろいろなご意見やご要請をいただいてりますが、個別の案件についてそれぞれの議員から政府に対して意見や要請をすることは避けて、党の対策本部に一元化することになっています。
 私も皆さまから寄せられた意見は、しっかりと幹事長室に伝えさせていただいています。
 たとえば、その一部をご紹介すると次のようなものです。

1.Ⅰ型糖尿病患者団体よりインスリン注射をしなければ生きていくことができない糖尿病患者が被災地にも多くおり、被災者患者にインスリンをはじめとする必要医薬品が届くように対処をお願いしたいとの要望があった。人工透析患者への対応は報道されているが、Ⅰ型糖尿病については情報がない。また、すでに患者団体からは製薬メーカーに要請をし、協力の承諾を得ているとのこと。(なお、本件については、個人的関係で、岡本厚生労働政務官にも要望済み。)

2.(地元でも毛布やマスク等の物資の支援の申し出やボランティア志願の申し出が多数寄せられているが)優先順位として当面は義援金を皆さんにお願いしたい旨をもっと明確に官房長官から国民に向けて発信すべきである。

3.原子力保安院の会見はブリーフィングに切り替え、中継を見直すべきである。技術系専門家は公衆を前に説明することに慣れておらず、専門用語を多用した会見や質問に対してしどろもどろになる光景がテレビを通じて流れることは、視聴者である国民に不安や苛立ちを与える。必要な情報をマスコミに流すことでマスコミが整理をしてそれを国民に伝えるべきである。他方で、大きな方針や結論(たとえば安全なのか、安全でないのか)、最も国民が知りたがっていることについては、わかりやすい形で官房長官をはじめとする政治家の口から説明をすべきである。

4.西日本と東日本の周波数の違いから西日本からの送電は変電設備がボトルネックとなって限界があると思われるが、西日本での節電の必要性について合理的な説明をする必要があるのではないか。

 これは、ほんの一部です。今後もいただいたご意見やご要請は党本部経由で、政府にしっかりと伝わるようにしてまいります。

地震対策本部総会

2011年03月14日 | 政治
 本日、午後4時より、全議員を対象とする「東北地方太平洋沖地震対策本部総会」が開催されました。

 政府や党対策本部での主な取り組みについて説明があった後、玄葉本部長代行からは、①救命・救助を最優先させること、②原発について最悪の事態を避けること、万が一の事態に万全を期すことに全力を傾けることが強調されました。

 国会については、野党の協力を得て、予算と予算関連法案を年度内に成立させ、補正予算編成等復興対策を迅速に講じることが確認されました。本会議や予定されていた各種会議はすべてキャンセルになりました。激甚災害指定や予備費による食糧等不足物資の購入等の措置を講じている旨の説明もありました。特に、直接の被災地だけでなく、北関東や首都圏で食料やガソリンの不足により不安が高まっていることへの意見が多くありました。さらに、日銀による金融緩和など金融・財政リスクへの対応も行っていく旨説明がありました。

 次に、各省庁、政府関係機関は震災対応に追われているため、次のことを厳守するよう指示がありました。
1.各議員から官邸・各省庁等への直接の連絡や個別事項の問い合わせは控えてください。各位からの報告連絡などは、党対策本部に一元化して対応します。
2.被災地に入っての現地調査・支援行動等は、対策本部の連絡があるまで行わないでください。(地元議員を除く。各党も現地視察等を72時間控えることになっています。)

 私のところにも多くの皆様から、支援物資やボランティアの申し出がありますが、まず、ボランティアについては、現状では自衛隊のように自己完結できる実力部隊を除いては、被災地に入れる状態ではありません。また、毛布や食糧の救援物資についても現状は物資の不足よりも陸路での運搬が極めて困難な状態にあることがネックとなっています。
 ボランティアについては、皆様に現地で活動していただける状況になる時に備えて「支援ボランティア対応準備室」を設置して、情報収集やボランティア派遣の準備を進めること、また、現時点では、皆様にお願いしたいことの第一は、義捐金の募金活動であり、募金活動への取り組みに注力する方針が示されました。
 私も今朝、東刈谷駅駅頭での募金活動を行いました。党の義捐金募金振込口座には既に約1320万円の募金が寄せられています。募金口座に関する情報は以下のとおりです。

■ 郵便振替の場合
 「民主党募金口座」 (記号)00110-6(番号)65328
■ 銀行振込みの場合(りそな銀行衆議院支店・普通預金)
 「民主党募金口座」 (店番)328(口座番号)7815354

風見章の「新体制運動」に思う

2011年03月11日 | 政治
 民主党の一期生には、多彩な人材が揃っている。そんな一人が、茨城1区の福島伸享氏だ。経済産業省出身で政策に明るいだけでなく、「政治家たるものかくあるべし」という水戸浪士のような熱血漢である。
 そんな福島氏が最近、郷土の政治家「風見章」について研究していると言う。私も興味を持って、早速、「評伝 風見章 野人政治家の面目」宇野秀著、茨城新聞社刊を読んだ。

 風見章は、旧茨城3区の代議士で、近衛内閣では現在の官房長官にあたる内閣書記官長を務めた政治家であり、戦後は180度転換し、社会党左派から代議士として中ソ両国との国交回復のために尽力した。
 なぜ、いま、風見章なのか?風見は、民政党から当選を果たし、一期生議員ながら、浜口雄幸首相の補佐役を務めた。満州事変以降、軍部の発言権が強まり、右翼も台頭する中、民政党、政友党の2大政党は、党利党略による政争に明け暮れていた。そんな中、軍部の暴走にブレーキをかけるためには、両党の協力内閣をつくるしかないという構想が安達謙蔵らによって提唱された。風見や安達らが提唱した協力内閣論は、単独内閣のうまみを手放したくない長老らによって頓挫し、彼らは民政党を離党して、国民同盟を結成した。また、風見は近衛内閣で現在の官房長官に当たる内閣書記官長に抜擢されたが、近衛内閣の内閣書記官長を辞した後は長らく浪人生活を送っていた。戦局がドロ沼化し、軍部の暴走が加速する中、1940年5月、太平洋戦争前夜、風見は近衛と組んで「新体制運動」を展開した。近衛のこの動きに呼応して、各政党は次々に解党し、日本の政界は、無党時代を迎えた。そして、その流れは、大政翼賛会へと飲み込まれていく。しかし、大政翼賛会は、近衛や風見が描いた軍部の暴走に歯止めをかけるための救国新体制とは真逆の働きをすることになった。風見は、近衛とも決別し、翼賛選挙への立候補も止めた。
 風見は、その後も終戦工作に在野で奔走するが、戦後、自らの政治責任について深く悔いた。軍部を抑え切れなかったことへの後悔が、戦後、風見が社会党代議士に転向することへとつながっている。風見の頭には、マックス・ウェーバーの「政治家は自分の行為の結果が前もって予見しうる以上、その責任を他人になすりつけることはできない。」という言葉があったと言う。

 当選前、福田内閣当時に小沢氏による「大連立」の話が持ち上がった時には「ふざけるな。自分たちは自民党に代わる政権の受け皿を創って、日本に政権交代可能な政治を実現するためにここまで歯を食いしばってきたんだ。大政翼賛会のような大連立なんてとんでもない。」と思った。しかし、多くの国民から「党内での足の引っ張り合い、国会での与野党の政争はもうたくさんだ。」という声を聞くにつけ、また、政治の混乱、与野党の対立の中で重要なことが前に進まず、立ちつくすしかない現状を考える時、期間限定で与野党の枠組みを超えて一致できるものはどんどん前に進めていくという救国内閣のような形をとり、その後、解散総選挙行うということもあながち空論ではない気がしてきた。

脱「お役所価格」、脱「お決まり業者」

2011年03月10日 | 政治
 「リバース・オークション」というのをご存知でしょうか。民間調達で行われているインターネット経由の「競り下げ」方式の入札のことです。
 村井代議士を中心に、私も加わって、公共調達に「競り下げ」方式を導入することで、税のムダづかいをなくしていきたいと考えています。
 例えば、コピー用紙にしろ、ボールペンにしろ、役所の購入価格を見ると、随意契約で「お決まり業者」から、アスクルのカタログに載っている価格より高い「お役所価格」で購入している例が見られます。「競り下げ」を導入すれば、平均して2割、調達価格を下げることができるのではないかと見ています。

 今日、リバースオークション(RA)の実例として、郵便事業会社が22年度上期の例についてヒアリングを行いました。件数は120件で、予算削減額は約13億円。削減率は9.1%で、目標は7%ということですから、期待どおりの効果をあげているとのことです。120件というのは、物品調達全体の約15%をカバーしているとのことです。ただし、RAに馴染むのは、単純に価格で比較できるものであって、総合評価方式での入札を行うものや建設工事、システム開発などの複雑で規模の大きい調達は馴染まないとのことでした。また、納期の遅れ等のトラブルはほとんどないとのことでした。なお、RA委託業者への報酬は、郵政事業会社では固定費を少なくし、成功報酬を中心にしているとのことでしたが、同時にヒアリングを行った国土交通賞での資材調達におけるRAの試行では、削減額よりも業務委託料の方が高くついてしまったケースもあったとのことです。

 実例について説明を聴くと、課題も見えてきます。RAの導入による弊害には配慮しつつも、ぜひ、RAの導入で少しでも税のムダづかいをなくすことにつなげていきたいと思います。

 

【書評】招かれざる大臣

2011年03月02日 | 書評
「招かれざる大臣 政と官の新ルール」 
 長妻昭 著 朝日新書

 長妻大臣に新著「招かれざる大臣」をいただいたので、読みました。厚生労働大臣として官僚機構との「闘い」の記録だが、後半の第5章「政治家を志した理由」には影響を受けた書物なども書かれていて興味深い。

 私は、馬淵澄夫代議士の政策秘書として、長妻代議士とは一緒に仕事をさせていただいたこともあり、その人柄や仕事ぶりを少なからず知っているので、長妻大臣の厚生労働省での孤軍奮闘振りが目に浮かぶようだった。
 しかし、そんな私でも、長妻大臣と厚生労働省の役人の間に流れる何とも言えない冷たい空気を横目で見ながら「長妻さんももっとうまくやればいのに」と思っていたが、この本を読んでそんな風に見ていたことを反省した。

 長妻大臣のメッセージは極めてシンプルだ。それは「役所文化を変える」ということだ。
 私も参議院事務局や外務省に勤務した経験があるので分かる。たとえば、役所には朝礼がない。言われてみると不思議だ。私の事務所でさえ、毎朝、朝礼をするようにしている。長妻大臣は、まず、政務三役と局長以上の幹部を集めた朝礼を毎週月曜日の朝に定例化した。

 長妻大臣は、大臣室にスローガンや数値目標を書いた紙をベタベタと張ったそうだ。厚労省の役人はさぞ驚いただろう。想像して吹き出しそうになった。しかし、私の父は生保のサラリーマンだが、休日に時々父の職場についていくと、壁には営業成績をグラフにした紙やスローガンが張り出してあった。私の地元は製造業が多い地域だが、どこも現場にはスローガンが張り出してある。

 たしかに、役所は何を目標にして仕事をしているのかがはっきりしない。それは、これまで大臣をはじめとする政務の人間がビジョンを示してこなかったことにも責任がある。
 長妻大臣は、自著にかつて自分が書いた「政権交代後の20××年」というのを毎日チェックして、その理想の姿に至る手段、設計図を考えたという。まさに、ビジョンに向かって進む経営の基本の姿だ。
 また、職員にマニフェストを持ち歩け、熟読するよう指示した。マニフェストは政府と有権者の契約書であり、政権運営の基本となるものだからだ。(マニフェストの実行については、現在、国民の批判に晒されている部分でもある。)

 「目標を掲げても、目標達成への本気度が極めて低い」、「政策設計はするけれども、その後のフォローがない」という長妻さんの指摘は、まったくそのとおりである。

 ただ、リーダーシップのあり方については、やはり、少し疑問が残る。
 同じく、先日まで国土交通大臣をしていた馬淵代議士は、私の元上司であるが、民間でも経営者として辣腕を振るってきた。馬淵代議士はあるインタビューで次のように述べている。

 「企業に例えると、新任の社長が陥りやすい失敗は、自分のカラーを出そうと最初に高いハードルを設定したり、今の事業から一気に飛んで、新しい方向性を打ち出すことです。なぜ、それが失敗するかといえば、まだマネジメントの基礎ができていないうちに号令をかけても、部下はどうすればいいのかが分からず、組織全体がマヒ状態になるからです。つまり“笛吹けども踊らず”でしてね、それで墓穴を掘ってしまう」

 「官僚を巧く使う」ということがよく言われるが、「官僚にとりこまれる」というのと紙一重の部分があるのも事実だと思う。しかし、トップが何かしようと思ったときに組織がついてきてくれなければ何も進まない。その意味では、組織を構成するスタッフと良好な関係を築き、組織を掌握するということも必要ではないだろうか。