人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「ロース」はどこの肉か知っていますか?

2010年11月11日 | 政治
 私の地元の焼き肉店に、同じ愛知県の比例東海ブロック選出の磯谷香代子代議士が行った時に、次のような相談を受けました。焼き肉業界では、長年の商慣行として、「ロース」と肉質の似た「ランプ」、「そともも」についても「ロース」と表示して出していたが、それがダメだということになって混乱しているとのことです。その店では、消費者庁からの指導に従って、既にメニュー表示を変更したが、零細焼き肉店にとっては負担も大きく、経営を圧迫するのではないかと心配しているとのことでした。

 さっそく、消費者庁の担当者を呼んで説明を聴きました。しかし、あらためて説明を受けて、正直、十分に納得できませんでした。
 消費者庁は、ロース以外の肉をローストして売るのは景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして改善の指導を行ないました。しかし、焼き肉業界側の主張は、「ロース」や「カルビ」というのは、食感を重視した焼き肉料理の名前として、長年、業界では慣行として使われているとのことです。

 焼き肉が一般に普及したのは、昭和30年頃と言われていますが、その頃には、赤味の多い「ロース」、脂の乗った「カルビ」、内臓類の「ホルモン」の3種類しかメニューがなく、これまで長年、それが定着していました。JAS法は、流通や小売での牛肉の部位の表示を義務づけていますが、外食店には適用されません。ちなみに、「カルビ」は、韓国料理での、「ばら肉」の呼称で表示の基準はありません。

 「ロース」は、「かたロース」と「リブロース」にしか使用してはダメで、「カルビ」は問題ないというのも変な気がします。たとえば、「焼き鳥」と言っても、北海道の道南地方では「焼きトン」を指すのが普通です。「トロ」という言葉は、本来は、マグロの特定の部位を指す言葉ですが、「トロ・サーモン」、「トロ・サバ」、「豚トロ」というように、食感や料理法を指す言葉として使われています。

 景品表示法は、表示によって優良な品と消費者が誤認することを防止しようというのが法の趣旨です。「そともも」や「ランプ」から「ロース」に似た軟らかな部位を取り出せることは事実であり、また、消費者は値段や質である程度の判断はできるはずなので、「ロース」という表示に騙されたと怒る人はどれくらいいるのか疑問です。むしろ、焼き肉業界が主張するように、霜降りで脂の乗った肉が「カルビ」で、赤味が「ロース」というのが一般の消費者の感覚ではないでしょうか。杓子定規に基準を強制することで守られる消費者の利益と業界の混乱を比較した場合に、そんなに大騒ぎすることなのかと思ってしまいます。

 焼き肉業界も指導に従わないと言っている訳ではありません。長年、何の問題なく行なわれていたことが、「なぜ、今になって?」と当惑しているのです。私は、長年の商慣習を一般の通達で変えるのは少々荒っぽいと思います。業界とよく話し合いをして、協力を求めながら、少し時間をかけて変えていくことが必要だと思います。

鈴木宗男、最後の授業

2010年11月10日 | 政治
 メドヴェージェフ大統領の国後島訪問を受け、鈴木宗男氏を講師に迎えての北方領土問題に関する勉強会が院内で開かれました。
近く収監される予定の鈴木宗男先生の話を直接聴く貴重な機会だと思い出席をしました。
日露関係、北方領土問題に関する高い知見と熱い想いには感銘を受けました。
特に印象的だった話を紹介します。

1.プーチン=鈴木会談
 プーチン大統領は、情報機関出身ということから、冷たい人物という印象があるが、自分は人情味のある人物だと思う。小渕首相が倒れた時に、特使としてロシアに派遣された私(鈴木)は、大統領になったばかりのプーチンと会談した。自分は、森=プーチン会談の日程をセットしたいと思っていたが、対面したプーチンは、ふんぞり返っていて、とてもそんな雰囲気ではなかった。そこで、私はこう語りかけた。「この同じ広間で、小渕=エリツィン会談が行なわれた時に私は同席していました。あなた(プーチン)が座っている席にエリツィン大統領が、私の座っている席に小渕首相が座っていました。しかし、今はエリツィンさんはもういません。そして、小渕首相は病床で生死の境をさまよっています。その小渕さんが私に意識がある時に最後に『鈴木、日露関係を頼む』と言ったのを受けて、今日は私はここに来ています。」こう言いながら、自然と涙が出てきました。私の話を聞いて、プーチン大統領は自ら手帳を開いて、日露首脳会談の日程を決めてくれました。

2.二島先行返還論
 師、中川一郎先生は、農水相としてソ連とのサケ・マス交渉に臨んだ時にこう言いました。「鈴木、戦争で盗られた領土は、戦争で取り返すしかないぞ。共産圏の国を相手に北方領土問題を解決するのは難しいぞ。」
 ソ連時代は、日本政府の方針は、即時4島返還でした。しかし、ソ連崩壊により、より柔軟なアプローチに政府方針が変わったのです。私も4島の旗を降ろしたことは一度もありません。しかし、交渉にはやり方はあります。私は、小渕政権がもう一年続いていたら、日露修好150年に二島は返還された可能性があると思います。


3.前原外相のロシアに対する抗議
 メドヴェージェフ大統領の国後島訪問に対する前原大臣の対応は、外交上巧い対処だとは言えません。強硬姿勢をとるのは簡単。しかし、拳を振り上げるときには、降ろし方、落としどころも考えておく必要があります。それが外交です。面と向かって抗議をされれば、誰だっていい気はしない。水面下で、訪問しないように働きかけるのが本来のやり方。
 または、自分だったらこう言います。「日本の固有領土である国後島にロシアの首脳がわざわざ来られるというのであれば、首相自らお出迎えしなければ失礼になる。私(首相)も国後に行くので、そこで首脳会談をして両国関係の喉に刺さった骨である問題についてもしっかりと話し合いましょう。」

事業仕分け第3弾前半戦、閉幕。

2010年11月01日 | Weblog
 事業仕分け第3弾前半戦の特別会計仕分けが終わりました。反省点も多い4日間でしたが、実際に仕分け人をやってみて気づいたことも多く、たいへん勉強になりました。私なりに、いくつか感じたことを書いておきたいと思います。

1.マスコミが世論をつくる
 今回で第3段となった事業仕分けですが、4日間を通じた一般傍聴者数やインターネット中継のアクセス数は過去最高となりました。しかし、事業仕分け初日のあるテレビ番組では、空席の目立つ会場の映像が流され、事業仕分けも第3弾になって、そろそろ世間にも飽きられてきたという趣旨の報道がありました。ところが、流れた映像は、開始前の会場の様子で、開始時間には傍聴席はほぼ埋まっていました。
 また、テレビが取り上げるのは、蓮舫大臣や枝野さんの発言する場面だけ。ひがみで言うわけではありませんが、私たち仕分け人は、朝から晩まで議論をしていますが、公務多忙な蓮舫大臣が出席している時間はそのうちほんの一部です。他にも意義深い議論や注目すべきやりとりがあってもほとんど報道されることはありません。
 さらに、どうしても、テレビは、スーパー堤防に代表されるような、分かりやすく、かつ映像にしやすいものを取り上げる傾向があります。ほとんどの人は、テレビや新聞で報道される評価結果しか見ておらず、議論の過程を知らないで、誤解を生みやすくなります。
事業仕分け第3弾前半戦終了の翌日の隠しの見出しは「『埋蔵金』発掘に限界」。これもマスコミのストーリーとおりです。

2.結果が出ることの良し悪し
 事業仕分けという手法の優れている点は、制限時間内に「廃止」とか「見直し」とか一定の判断が下されることです。議論のための議論に終わらせない点は、私は、いいことだと思います。ただし、ほとんどの問題では、簡単に白黒つけられるものでなく、また、それを無理にすると誤解を招く危険があります。
 その典型がジョブカード制度普及促進事業で、ワーキングチームでの評価結果は、事業の廃止。しかし、これが世間には大きな誤解を生んでいます。私たちは、雇用情勢が極めて厳しい中、雇用が大切であることは十分理解しています。しかし、ジョブカード普及促進事業は、ジョブカードという一般の履歴書と大差のないカードの促進をはかることそのものが事業の目的になってしまっていて、本来の目的であるはずの、訓練型雇用を通じて社会経験の少ない若者の正規雇用を進めるということに結びついていないということが評価の趣旨です。
 繰り返して言いますが、ジョブカード本来の目的は、労働者の職業能力等を高め就職しやすくすることにあるはずですが、実質的には、制度を利用する企業への助成金になってしまっています。同趣旨の助成金には、試行雇用奨励金、正規雇用化奨励金、中小向け訓練助成などがあり、重複も見られます。

3.政府与党の政策の仕分け
 昨年までの事業仕分けは、前政権の政策に対するものが中心でしたが、今回は、民主党政権になって以降の政策が仕分けの対象となりました。これに対しては、野党やマスコミから「政府与党の政策を与党の議員が仕分けするのは矛盾している」との批判がありました。
 しかし、私は、必ずしもそうではないと思っています。企業でも内部監査があるように、税のムダづかいがないかのチェックはできるだけ、重層的に行なうのが望ましいと思っています。
 先日出演した番組の中でも、自民党の山本一太参議院議員から「紙台帳と年金記録の突合は長妻前大臣が国家的プロジェクトだと始めた事業なのに、それを与党が仕分けするのは矛盾している。」とのご批判をいただきましたが、それは誤解です。
 私たちは、年金記録を是正することは年金への信頼回復のため、極めて重要と考えており、そのための紙台帳との突合もしっかりやっていきます。しかし、もとはといえば、いい加減な年金記録の管理をしていなければ、こんな費用はかけなくて済む訳ですから、年金記録問題の解決のためにかけるコストはできるだけ節約すべきです。その点では、紙台帳との突合の方法や入札には、まだまだ改善すべき点があるというのが事業仕分けでの評価です。

4.政治家同士の議論
 今回の仕分けでは、説明役の各省の官僚と一緒に政務三役の議員が防戦に回る場面が見られました。その中には、残念ながら、省益の代弁者に成り下がっているとしか思えない方もいましたが、だらだらと説明する官僚の横から「余計なことは言わなくていいから、簡潔に答えなさい。」と言う副大臣や「政務三役でよく相談して見直しの方向で検討します。」と判断を下す政務官もいました。
 一般傍聴者の見ている中で、政治家同士が意見をぶつけあう場面は、ある意味、新鮮でした。もっとも、そんなことは、本来は、国会審議の場で行なわれなければならないのかもしれません。

5.同一の政策目的を達成するための政策手段の重複
 特別会計仕分けを通して浮かび上がったムダづかいの構図の一つは、特定の財源があるために、ガバナンスが効かなくなり、同じ政策目的に対して、省庁タテ割りで、あるいは別の政策手法で、複数の事業が並立しているということが多々見られました。
 たとえば、太陽に関する自然エネルギーの活用では、太陽光発電は経産省、太陽熱利用は環境省、住宅エコポイントの対象になれば国交省、その他に所得税の減税や余剰電力の買取制度といった太陽光の利用を促す政策メニューが用意されています。
 ハイブリッド車等の次世代自動車の支援についても、商業ベースにのる前の段階のモデル事業は環境省、一般の乗用車は経産省で、タクシーやバスになると国交省、ゴミ回収車となると、これはまた環境省と何がなんだかよく分からないということがよく分かりました。

6、予算査定のしくみの見直し
 事業仕分けには、予算の査定を担当する財務省主計局も同席しています。「エネルギー特別会計の文部科学省と経産省の予算の配分のシェアは事実上固定しているのではないか。」という私の質問に、主計局は「そうです。」とそれを認めました。
 また、「原子力関係の文科省の研究開発予算は、専門性が高く、また、研究機関への運営費交付金という形で渡しきりになっているため、積算根拠が不明確なまま、どんぶり勘定になってしまっている。」との発言がありました。
 これは、財務省主計局が自らの査定の限界を認めた発言であり、だからこそ、事業仕分けのような手法をうまく活用しながら、政治主導でムダづかいをなくしていくことが重要になってくるのだと感じました。
 さらに、省庁タテ割りになっている予算については、主計局の中で現在も公共総括係で横串での査定を行なっているように、環境関係予算や子ども子育て関係予算のように省庁横断的な予算査定の仕組みが必要ではないかと感じました。


台湾弾丸ツアー

2010年11月01日 | 政治
 土曜日は、事業仕分けに出席するために、当選後、初めて地元に戻らず、東京に残りました。それに合わせる形で、日曜日に日本を経ち、台湾に行ってきました。

 このたびの訪台は、11月1日の羽田~松山の定期便就航を祝うための、超党派による日華議員懇談会(会長:平沼赳夫衆議院議員)によるものです。
 4日間朝から晩まで続いた事業仕分けの疲れも抜けきれぬ中、12:15発のエバ航空機で羽田を経ちました。資料整理のために立ち寄った議員会館から、目の前の溜池山王駅で銀座線に乗り、新橋で都営浅草線のエアポート快速に乗り換えると、羽田までのアクセスも快適。
台北の松山空港も市内の中心部から車で15分程度のところにあり、とっても便利です。

 
 現地の報道では「台北東京一日生活圏」という見出しを目にしましたが、まさに実際に搭乗してみると、それを実感することができます。国内旅行よりも手軽に行ける感じです。

 台北では、王均平台湾立法院院長(国会議長)主催の晩餐が開かれ、超党派の国会議員のほか、猪瀬東京都副知事、東京都議会祝賀団、中田前横浜市長らが出席し、大いに盛り上がりました。

 台湾は、親日的で有名ですが、実は、尖閣諸島をめぐっては、日台間にも漁業権の問題があります。しかし、尖閣問題で日中関係に緊張が生じる中で、台湾は、抑制的な態度でこの問題に対処してきました。日中関係がこのような微妙な時期だからこそ、長年にわたり「善き隣人」として親交を深めてきた台湾の友人のみなさんとの絆を確かめ合うことは重要だと思います。

 ところで、台北では、近く選挙をひかえていて、市内にはのぼり旗や看板があふれていました。驚くのは、ビルの壁面やバスのラッピングによる巨大な候補者の写真。台湾の選挙は、日本の選挙以上にお金がかかりそうです。