ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

粉もん、タラ、 そして 大通店6周年によせて

2013-10-18 11:23:22 | 第1紀 をかしら屋


朝駆け・夜駆け、いや朝食・昼食・夕食・夜食・おやつに「こびり」、今週は「一人粉もん研究会」で毎食試作の「粉もん」である。

昨夜の仕事帰り、事務所兼独身寮でも「粉もん」。
「魚切れ」で昨夜はタラに粉をまぶしてオリーブオイルとバター(マーガリン)でソテーしたのだが、自分でも気づかぬ間に「粉もん」の上にトッピングしたりしている。

「をかしら屋 催事部隊」の次なるテーマは「粉もん」で、原価対策、ロス対策、売り損ね対策に
客層の拡大を狙ったビッグプロジェクトである。
今のところ第一目標として「とん平」を考えていて、今日もAmazonさんから粉が数種届いた。
昼まかないに常連氏も含めて、松園店で「粉もん試食会」をしたが、あと一歩、工夫が必要だろう。

「粉もん」「粉もん」とワタシは真っ正面から大きな課題に取り組んでいるつもりだが、従業員は「また始まった」とこっそりつぶやいたり、引いた目で遠巻きに見て見ぬふりをしている。
さもありなん、またまた新メニューという難題が襲ってくるかもしれないのだ。
ここのところ衰えているとはいえ、メニューは増えるばっかりで、なかなか減らない。
どなたかの体重とウエストみたいに。
  (ついでにエンゲル係数もね)

7年前に松園店を開店したときは、確かみひらきのメニュー表だった。
今や20ポケットの百均のクリアファイルに満載なのだから、確かに多い。
この他にも店の壁にベタベタとスポットメニューが貼ってあったり、今は創業祭だからフェアメニューも別にある。
「もう、見づらいから」と先程、常連さんに言われたばかりだが、その言葉は慣れていて、SOU・SOUと受け流している。

始まりはやはり松園店で、常連さんが増えてくるに従い、「なにか新メニューや隠しメニューはないの」というのが合い言葉のようになっていた。
和食屋さんでは魚や野菜などの季節を感じさせるメニューがあり、その都度、店に通う楽しみがあると思う。
それがホルモン・焼肉屋となると、お決まりのものだけで変化はない。
店内で調理加工すればいいのだが、厨房は基本的に肉処理中心であり加熱調理のスペースは限られている。
そこで「舌の先から尻尾まで食べ尽くす」店のコンセプトに基づいて、先ずはありとあらゆる内蔵の部位を再点検した。
それがメニュー拡大の第一歩。
お客様の欲求と、もとからの探究心の融合である。

第二は売上増進・客層拡大であった。
店の最初は内蔵と国産肉(なるべく近場のもの・県産)主体とした。
どうしても量が少なく高い牛タンや、輸入がほとんどのラム(後ほど葛巻産も扱ったが)以外は国産であった。
しかし松園・黒石野周辺の狭い商圏の中で、やはり身近の家族連れなどから「安いカルビはないの」というリクエストが増えた。
確かに和牛一筋では家族の財布にはきつい。
これが輸入のカルビを扱うきっかけ。
でも、今でもやはり輸入物はそのカルビ(丸得カルビ・中落ちカルビ)・牛タン・生ラムだけではある。

そして第三は大通店の出店である。
松園店は住宅街にあり、ほぼファミリーが主体であるが、大通店はビジネス街にありサラリーマンが客の中心である。
開店間もなく、バッカス(酒の神様)には申し訳ないが「飲み放題」というのと「宴会コース」というのがメニューに加わり、大通店では大きな売上ウエイトを占めるようになった。
そして、「しがない」サラリーマンのために(ワタシもかつてそうであった)「せんべろ」なんていうとんでもないセット物が出る。
時代も悪かった(今も消費税アップなど逆風が吹き荒れているが)。

そもそも飲食を始めるに当たってワタシが志したのは「生業(なりわい)」である。
生業:個人や家族営業で近所の方が気軽に利用している形態、店と客の距離は近く温かい、そんな業態を目指していた。
そしてもう一つ、心に決めていたのは「サラリーマンが自分の財布で気軽に飲み食いできる店」。
客単価2~3千円でたらふく呑み・腹を満たす店。
週に一・二度、ふらっと立ち寄れる店。
そんなイメージの中で、その始まりが居抜き物件を使った「ホルモン屋」だったのだ。

考えているイメージにそう間違いはなかろうと思う。
ただ、そのはじめた「ホルモン」は相当に嗜好性の高い食べ物であることは事実である。
「松園店」を出した頃は、まだ店のコンセプトの希少性におもしろがってくる客や、待ってましたとばかりに遠方からのホルモン好きも多かった。
時代の背景か「大通店」開店のころはホルモンが人気メニューとなり、サラリーマンやおじさんばかりでなく、女性客やファミリー、お子さままで幅広く客層が広がっていった。

しかし、やはり嗜好性の高いのは間違いがない。
和食やチェーン店の居酒屋と比較すると、客層も来店頻度も少ないのは否めない。

ところがご主人(ワタクシ)はホルモンにはまりにはまって「ホルモン一徹」と突き進み、バラエティーを増やしたり、短角内臓などとこだわりにはまったり、モツ鍋や一品料理を開発したりと奮戦。

これが店とお客様のいい緊張感をもたらしていると思う。
この糸を緩めれば、常連さんは離れていくだろうし、きつくすれば客層が薄くなっていくだろう。

そんな危ないところに、いま居るという自覚も、もちろんある。

さてさて、固いお話になった。
大通の6年間を、あるいは松園からの7年間をふり返るとそんな感じの突き進み方であったことは間違いない。
少しのご理解と、まだまだいかんという叱咤叱責の声もいただきたい。

もう少し6年前のあの事に触れたかったが、後回しにしよう。

「あなたはまだ若いから、悲しみを時が解決することを知らないんだわ。」

・・、しまっておくか。


では、今日、丸6年と一日目を歩みます。

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