あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

自家製梅酒,タダならご近所にお裾分けしても大丈夫

2007年06月27日 01時10分40秒 | 法律問題
ホームセンターに行きますと,どこでも「梅酒セット」が売られています。実際,多くのご家庭で梅酒を作られているのではないでしょうか。
さて,完成した梅酒ですが,これまでは「自己消費目的のみ酒類の免許がなくても良い」と国税庁の見解を示していましたが,今回,これまで不明確であったエリアである「無償譲渡に限り無免許でよい」という公式見解を示しました。

自家製果実酒、おすそわけは合法 政府が基準を明確化(朝日新聞) - goo ニュース

安心して自分で作った梅酒をみんなに分けてあげましょう。

そもそも,この問題,ほとんどの方が問題意識を持っていなかったと思います。現に,「自家製梅酒」を平気で隣近所や知人に分けていた方もいるのではないでしょうか。
ところが,この行為,「酒税法」に抵触する可能性があったのです。
そもそも,酒税法によると,「酒を造った者」に対し課税されます。そして,このような酒を作る為には,確実な課税を図るため,免許制度としていたのです。したがって,自家製梅酒やどぶろくなども本来は「免許を取得」しなければなりませんでした。
しかし,それはあまりに杓子定規すぎるということから,「自己消費目的」で果実酒を造った場合は,例外的に免許は不要としました。6/28追記:この部分,誤解を招く表現となりましたので補足しますと,あくまでも現在免許不要なのは果実酒,いわゆる「梅酒」を作ることのみで,米から作る「どぶろく」は,例え自己消費目的であっても無免許で作ることは認められていません。)。
したがって,作ったお酒を他人にあげることは,「自己消費目的」ではないということから,原則に戻って免許が必要なのではないかという議論が長年続いていました。
今回,国税庁は,「果実酒については無償譲渡のみ免許はいらない」としました。いわば,社会的儀礼と思われる範囲内のことについては,免許はいらないし,課税対象にもしないとしたわけです。
したがって,自家製梅酒,無料なら安心して人にあげられるようになったのです。

ただし,米から作ったいわゆる「どぶろく」や「有償譲渡」については,原則に戻り「課税対象」となり,「免許が必要」となります。
そのため,もし知り合いの方からお裾分けで自家製梅酒を頂いた場合,気を使って金一封を渡すことは,有償譲渡となるため,かえってその方に迷惑をかけてしまうことになります。金銭でなくても,総統の対価と思われるものを渡すことは,有償譲渡とみなされてしまいます。
よって,不義理かもしれませんが,一言「ありがとう」だけ伝えるのがベストな方法なのです。

世の中には,まだまだ意外なところで税金が発生します。
ちなみに,東急ハンズなどで売っている「自家製ビール」ですが,これは果実酒ではないことから厳密には課税対象になるかもしれません。念のため注意しておきましょう。
(6/28補足:自家製ビールについては,アルコール分1%を超えるものを作ると酒税法違反になるそうです。要するに「薄いビール」しか作れないということです。)。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ
ランキングジャパン


最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
タダなら (masa)
2007-06-27 06:15:54
 「無償なら無免許OK」っとてことなのでしょうか?
 下戸なのでよく分かりませんが・・・。^^;
返信する
なるほどぉ (たもち)
2007-06-27 13:47:21
こんにちわ。最近こちらのブログを拝見させていただくようになりました。頭の悪い私にはとても勉強になり、感謝しております。(分かりやすい!!)
今回も、なるほどぉ!酒税法が良く分かったとです!
例のごとく、マスコミは税務署たたきのスタンスで報道をしていましたが、あのオジさんの立場も微妙だったのですね。甘受されてきた事とはいえ、提供した果実酒に飲食料金は発生していたのだろうし、自家製果実酒が旅館営業の全面に出過ぎれば、役所としても対応せねばと思ったのかもしれません。
休日にネットってショボイかもと思いましたが、お陰でひとつ賢くなりました。
返信する
規制でがんじがらめ (のびぃ太)
2007-06-27 17:26:54
細かいところまでいろいろ規則だらけ
たとえば
「京阪タクシー」違法貨物運送、社長と営業部長を逮捕
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20070625i312-yol.html
ちょっとした荷物ぐらい届けたっていいじゃないか。
地方ではタクシーを有効に使って介護・福祉をしようとしてもダメなんて判断されそう。
規制はもっと緩やかにする方向で法制化してもらいたいものです。
返信する
ひとつ疑問が (ぢょや)
2007-06-28 00:12:32
梅酒の場合、おそらく普通の家庭ではどこかで買ってきたお酒を使っていると思うのですが、その際すでにその元になっているお酒に課税されているはずなのに、さらにそれを販売すると課税となると“二重課税”になるのではないでしょうか?
あと、お酒を使ってお菓子を作る場合には酒税法の対象にならないと思うのですが、たとえばの話、梅酒の梅だけ売った場合って、どっちになるんでしょうね???
返信する
masaさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-06-28 00:17:25
こんばんは。
今回の見解は,「果実酒を自己消費目的で作ること,及びそれを無償で人に配ること」までは免許不要,すなわち税金は払わなくて良い,ということになります。
したがって,例えば最初から人に配ることだけを目的にして酒を造った場合はやはり免許が必要ということになりますし,どぶろく,すなわち米から作った場合は自己消費目的でも免許が必要,すなわち課税対象ということになります。
返信する
たもちさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-06-28 00:32:47
こんばんは。
今回の見解は,ペンションでの「自家製果実酒の有償配布」が問題となったことによります。
これは,有償だったため,当然課税するべきであろうという国税サイドの判断が働いたものと推測されます。
そういう意味では,個人が作ったものを隣近所に分けるというレベルとは次元の異なる話だったといえます。
しかしながら,マスコミはこの辺を混同して報じている節が見受けられます。
酒税法にはもっと根本的な問題点があるのですから,マスコミはそういう点を突っ込むのが筋だろうと思います。
返信する
のびぃ太さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-06-28 00:36:16
こんばんは。
酒は税金を取る道具の一つですから,相当規制が厳しくなっています。酒類販売免許を巡っては最高裁判例がいくつか出ているくらいですから。
ただ,一方で,酒は健康を害する場合もあります。だから,未成年者は飲酒禁止な訳です。
ただ,何でもかんでも規制すればよいっていうものでもありません。その辺りのバランスが取れていないのが,今の酒税法なのかもしれませんね。
返信する
ぢょやさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-06-28 00:47:11
こんばんは。
二重課税の件ですが,おっしゃるとおり多くの家庭では「酒から梅酒を造る」という工程になるため,二重課税になると思います。ただ,これはやむを得ないというのが国税サイドの発想と推測されます。
だからこそ,どぶろくと異なり,自己消費目的ならば非課税としたと推測されます(どぶろくは水と米で作るため,二重課税の問題は発生しません。)。

また,酒税法において課税対象となるのは,いわゆる「お酒」だけです。したがって,梅酒の梅自体はお酒ではないため,非課税となり,免許不要となります。
返信する
どぶろくはあえて造っているのでは、 (通りすがりの者)
2007-06-28 19:34:15
よく話題に出る千葉?の方は、酒税法違反を知っていてあえて作っているのではなかったでしたっけ?
そのため、多くの人を呼んで振舞い酒をするときは、国税庁長官も呼んで、酒税法違反で訴えてもらいだがっていたようなことが書かれていた文を読んだ気がします。しかし、国税庁側は、訴えると憲法違反が明らかになりそうだからということで、見て見ぬ振りをしてきたのではなかったでしたっけ。
間違っていたらごめんなさい。
返信する
通りすがりの者さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2007-06-30 23:29:05
こんばんは。
千葉の方のことはあまり存じ上げませんが,確かにあえてどぶろくを作っている方がいた記憶があります。
最高裁では,「どぶろく課税は合憲」という判例が出ているのですが,今の税務実務ではすべてのどぶろくを取り締まることは困難ということで事実上放置していると聞いたことがあります。
いずれにしても,酒税法が抱える問題点の一つはこのような自家製酒に対する扱いの点にあります。
返信する

コメントを投稿