あれは,あれで良いのかなPART2

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よく分かる(?)シリーズ,政治家と年末年始その1

2014年12月20日 00時56分23秒 | よく分かる(?)シリーズ
 衆院選も終わり,選挙モードもひと段落ついたものの,来年度は多くの地方自治体で統一地方選があるということから,引き続き多くの議員や候補予定者等政治家の動きも慌ただしくなっています。当然ながら,年末年始こそ有権者への売り込みを行う重要な時期ということから,様々な活動が予想されるところです。
 一方で,公職選挙法では,さまざまな活動を規制しているため,中には故意または重過失で公職選挙法に抵触するような活動をしてしまう政治家もいるかもしれませんし,逆に有権者側が公職選挙法違反行為に加担してしまっている可能性もあり得ます。
 そこで,今回は2回にわたり,主に公職選挙法(一部違うものも含みますが。)を中心に,政治家の方はもちろん,有権者としても注意しておくべき点について簡単にまとめてみましたので,参考にしてください。
 なお,一部私見も含まれていますので,あれ,これは実際どうなんだろうなあって思った場合は,必ず選挙管理委員会へご確認ください。

1 忘年会,新年会(有権者が参加するものを前提とする。以下,基本的に同じ。)
(1) 主催者となる
  単純に政治家が個人的な友人知人数名と割り勘でパーッとやる程度なら問題はありません。
  ただし,結構な人数を呼んで盛大に行うことになると,政治資金パーティーに該当する可能性もあります(政治資金規正法8条の2)。この場合,個人開催ではなく,政治団体開催でなければならず,かつ収支の報告が義務付けられることになります。ただし,政治資金パーティーになるか否かは,収益の発生(つまり主催者が儲かる前提がある)の有無で判断されるため,人数が多くても,完全割り勘忘年会であれば,政治資金パーティーにはなりません。
  一方で,逆に収益が発生しないが,政治家の持ち出し分が必要以上に多い場合,例えば「高級フランス料理の忘年会の会費1000円」などのように会費と料理のミスマッチがあると,公職選挙法における利益供与(221条)に該当するため,買収行為としてアウトになります。
(2) 幹事になる
  基本的には,(1)同様,いわゆる仲間内の宴会幹事をやるという限りでは,特に問題ありません。
  ただし,実は自分が主催者であり,かつ政治資金集めという目的で行う場合は,(1)の政治資金パーティーに該当する可能性があります。その場合は,政治資金パーティーの隠れ蓑としている可能性が出てきますので,そうなった場合には,政治資金規正法に違反するおそれがあります。
  もちろん,幹事がかなり自腹を切るという宴会プランだった場合にも,(1)のとおり利益供与になるので,これもアウトっていうことになります。
(3) 会費のみ参加(会費払ったが欠席を含む)
  政治家が宴会に参加しないで会費だけ支払うことは,公職選挙法における寄附行為(199条の2)に該当してしまうため,アウトになります。
  なお,有権者から「会費だけちょうだい」などと求めると,有権者も処罰対象になるため,ダメよ~ダメダメ!
(4) 会費払って参加
  会費が決まっている宴会については,その会費相当分を支払って参加するのであれば,特に問題はありません。
ただし,あからさまに顔だけ出してすぐに帰ってしまうような場合(例えば,来てビール一口だけ飲んで,2,3分で帰ってしまう。)は,(3)と同じ寄附行為とみなされてしまい,アウトになる可能性もあります。
(5) 招待等無料の宴会に参加
  無料の宴会に出席し,そのまま飲み食いするのであれば,基本的には問題ありません。ただし,招待目的が特定職務の便宜を図るためである場合は,刑法の贈収賄罪(197~198条)に該当してしまう可能性があるため(金額は問いませんので,極端,焼き鳥1本でも該当してしまいます。),グレーというかアウトです。
  また,無料に気が引けるということで実費相当分を政治家が支払う場合,実はこれも会費が決まっていないところに支出をすることから寄附行為に該当し,公職選挙法違反となってしまいます。
  つまり,無料飲み会の場合,能天気に何も考えずに飲み食いしてそのまま帰るという一見すると無礼な参加スタイルが,実は理想的な参加スタイルといえます。

2 年賀状
(1) 自分の名前で年賀状を出す

  選挙区内の人に対しては,自筆の年賀状以外による挨拶状を送ることは,公職選挙法147条の2に違反するため,アウトです。
  ちなみに,自筆という部分を勝手に解釈して,署名だけ自筆とか,宛名だけ自筆,さらには代書屋さんによる自筆(他人による作成)などを行っているものも見受けられますが,すべてアウトです。純粋に,自分が心を込めて書もののみが許されます。
  なお,選挙区内の友人に,印刷した年賀状(家族写真のものなど)をついつい発送してしまうという事例もありますが,前述のとおり,これは認められませんので,十分ご注意ください。
(2) 政治団体名で年賀状を出す
  これ,実はセーフです。まあ,いわゆる法の抜け道です。
(3) 年賀状のハガキを使って政治報告を行う
  公職選挙法では,「あいさつ状」を出してはならないとしていることから,お年玉付き年賀はがきを使って,一切あいさつを書かずに「議会報告」等と称したものを印刷して発送する場合,一応セーフにも見えます。
しかし,条文上「年賀状」が明記されていること,社会通念上,1月1日にお年玉付き年賀はがきで届くものは「あいさつ状」と認識されることを踏まえると,これはアウトと評価される可能性も高いです。まあ,そもそも姑息なやり方かなあ,っていうのが個人的な感想です。
  なお,お年玉付き年賀はがきの場合,お年玉部分が当選すると,利益供与に該当してしまう可能性もあり,買収行為とみなされてしまうおそれもありますので,内容いかんを問わず,お年玉付き年賀はがきを使って有権者に発送することは,望ましいとはいえません。

3 インターネットによる新年のあいさつ
(1) HP,ブログ,SNS等に書き込む

  これ,選挙管理委員会によっては若干見解が違うところがありますが,一般的にはHP等に新年のあいさつを掲載するのはセーフとしているところの方が多いようです。公職選挙法が規制しているあいさつ状は,有料で送付するもの,っていう解釈をしているようです。
  とはいえ,不特定多数の人が閲覧できるHPやブログの場合,有権者に対するあいさつ状と解釈されてしまう場合もあり得るため,ややグレーな部分もあると思われます。
(2) you tubeなど動画サイトにあいさつを掲載する
  これは完全に公職選挙法が想定していませんから,一応セーフです。
  ただし,あいさつの内容によっては,選挙の事前運動に該当してしまうおそれもありますので,その場合はアウトになります。
(3) 電子メール,LINEによるあいさつ
  基本的には,特に規制はありませんのでセーフといえます。
  ただし,後援会所属の人だけではなく,適当なアドレスをランダムに作成するなど不特定多数に対し無差別に送信する場合は,スパムメールとみなされ,特定電子メールの送信の適正化等に関する法律違反となるおそれがあります。

長くなりましたので,今回はここまで。

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