群馬県は,いわゆる低額のカット専門理髪店について,今後新規参入する場合は洗髪設備の設置を義務付ける旨の条例改正を決め,早ければ来年秋からも施行されるとのことです。
これについては,県の検討委員会からは「義務化の合理的理由は見出せない」という答申が出されていたにもかかわらず,条例化すると決めたことから,今後物議をかもすものと思われます。
低額カット店に洗髪義務付け、「意味あるの」反論も…群馬(読売新聞) - goo ニュース
政治の臭いがプンプン
私も群馬に住んでおり,洗髪設備がある理髪店とカットのみの低額理髪店の両者をそれぞれ利用しています。それぞれに特徴があり,「どっちが良い,悪い」っていうものがないからです。また,洗髪をしない理髪店については,いわゆるチェーン店なので,群馬以外でも当然利用していましたが,今までこれが不潔だと感じたことは一度もなく,また回りからもそのような話を一度も聞いたことがありません。
したがって,なぜこれが群馬県で大問題になり,条例化にまでなるのかまったく理解ができません。
基本的には,洗髪するかしないかは利用者の判断ですし,もしカットのみが不潔であるなら,美容院でカットしかしない場合だって不潔っていうことになります。
不思議だなあ,と思って少しヤホーで調べてみましたら,さすが保守王国群馬,いろんな痕跡が見え隠れしてきました。
ここで結論を出すのはあまりに拙攻すぎるため,とりあえず今日は痕跡だけを示しておきたいと思います。
まず,今回の条例化のきっかけは,群馬県理容生活衛生同業組合と群馬県美容業生活衛生同業組合からの要望によるものです。
また,理容店に関する団体として,自民党群馬県理容支部(年間活動費約50万円),群馬県理容政治連盟(年間活動費約300万円)があり,この政治連盟には全国理容政治連盟からの寄付を受けています。
そして,この全国理容政治連盟については,理容生活衛生同業組合が「独占業務廃止反対」のための政治活動のバックアップをしています。
(政治資金の動きについては,こちらに公開されています。)
さらに,全国理容政治連盟に対しては,とある党の複数議員が講演に行ったり,また逆に連盟関係者が政治家パーティーに参加しています(ただし,連盟名義による政党や政治家個人に対する献金はありません。)。
はい,ここまで。
なんとなく,臭いがしますよね・・。
もちろん,誤解のないように言いますが,今,個人経営の理髪店は確かにこうした低額カット店の進出により大変苦労しており,実際閉店を余儀なくされている店も多く存在しております。また,それに対してさまざまな経営努力や個性化を出すなどして,まさに「顧客第一」で頑張っている店がかなりあります。こうした苦労に苦労を重ねて,この不景気の中,本当に一生懸命頑張っているのです。
ただ,ごく一部の方々が,「外圧」という誤った方策を検討してしまったのかなあ,っていう気がします。
仮に,群馬県から事実上低額カット店を締め出した場合,それで自動的に客が通常の理髪店に戻るでしょうか?いや,それだけでは絶対に戻りません。なぜなら,今は「洗髪設備のある低額理髪店」もかなり存在しているからです。この低額理髪店は,組合に属していないため,自由に価格が設定できるのです。
したがって,カットのみの店を締め出しても,おそらく客は,よほどの腕や経営努力をしている理髪店でもない限り,結局は「非組合店」たる低額店に行くでしょう。そうすると,ごく一部の方々の思惑通りに展開にはなりません。
むしろ,こうした締め出しをすることで,「群馬県で新規参入をすると邪魔をされる」という経済界での噂が噂を呼び,他の業種での新規参入すら減ることになりかねません。昔と違って,今は物流も盛んですから,「新規参入しない=群馬県内の既存のお店が安泰」っていう方程式はもはや成立しませんから,「新規参入しない=お金が群馬県外に流れる」っていう方向に行ってしまいます。そうでなくても,今の群馬県は,高速道路や充実したバイパス道のおかげで,「ストロー効果」が発生し,企業や主力店舗が県外に流出してしまい,結果,市場も県外が主流となり,中心市街地が軒並みシャッター通りになってしまっているのです。
したがって,こうして新規参入を阻止し続けると,結果,既存産業が保護されるどころか,県内の経済活動がますます麻痺してしまい,既存産業がどんどんつぶれていくということになりかねません。
過度な排除,保護政策により,イメージとしては,ジンバブエのようになってしまうのです。
既存産業を守ろうという発想自体は否定しませんが,あきらかな排除は,天につばをするようなものです。むしろ,経済活動を発展させるのであれば,逆に「新規参入ウエルカム」にしたほうがよいのです。
そうすることで,既存産業は,よりいっそうの企業努力をして,それにより「魅力あるショップ」が形成されるなど,集客力アップにつながります。もちろん,貨幣もそこに落とされることで,経済効果も期待できます。
さらには,新規参入により,法人地方税や事業税等の税収増加も期待できます。人口が減っている今,法人を増やして法人市民税等を増やすなどということは,税収増加の起爆剤として効果的ですらあるのです。
政治家の皆様,己の利益や後援会のことだけを考えて動かず,もっと広い視野から物事を考えてみませんか。ついでに,たまには群馬の主要駅前でサラリーマン相手に演説やビラの一枚でも配ってください。本当に,国政,地方問わず,また与野党問わず,議員が何を活動しているのかさっぱり分かりません。
今回の理髪店の問題は,単に「床屋だけの問題」ではなく,実は「群馬県経済全体への影響」にもつながりかねない大きな問題なのです。群馬県の発展のためにも,より広い視点からの議論を望みたいものです。
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これについては,県の検討委員会からは「義務化の合理的理由は見出せない」という答申が出されていたにもかかわらず,条例化すると決めたことから,今後物議をかもすものと思われます。
低額カット店に洗髪義務付け、「意味あるの」反論も…群馬(読売新聞) - goo ニュース
政治の臭いがプンプン
私も群馬に住んでおり,洗髪設備がある理髪店とカットのみの低額理髪店の両者をそれぞれ利用しています。それぞれに特徴があり,「どっちが良い,悪い」っていうものがないからです。また,洗髪をしない理髪店については,いわゆるチェーン店なので,群馬以外でも当然利用していましたが,今までこれが不潔だと感じたことは一度もなく,また回りからもそのような話を一度も聞いたことがありません。
したがって,なぜこれが群馬県で大問題になり,条例化にまでなるのかまったく理解ができません。
基本的には,洗髪するかしないかは利用者の判断ですし,もしカットのみが不潔であるなら,美容院でカットしかしない場合だって不潔っていうことになります。
不思議だなあ,と思って少しヤホーで調べてみましたら,さすが保守王国群馬,いろんな痕跡が見え隠れしてきました。
ここで結論を出すのはあまりに拙攻すぎるため,とりあえず今日は痕跡だけを示しておきたいと思います。
まず,今回の条例化のきっかけは,群馬県理容生活衛生同業組合と群馬県美容業生活衛生同業組合からの要望によるものです。
また,理容店に関する団体として,自民党群馬県理容支部(年間活動費約50万円),群馬県理容政治連盟(年間活動費約300万円)があり,この政治連盟には全国理容政治連盟からの寄付を受けています。
そして,この全国理容政治連盟については,理容生活衛生同業組合が「独占業務廃止反対」のための政治活動のバックアップをしています。
(政治資金の動きについては,こちらに公開されています。)
さらに,全国理容政治連盟に対しては,とある党の複数議員が講演に行ったり,また逆に連盟関係者が政治家パーティーに参加しています(ただし,連盟名義による政党や政治家個人に対する献金はありません。)。
はい,ここまで。
なんとなく,臭いがしますよね・・。
もちろん,誤解のないように言いますが,今,個人経営の理髪店は確かにこうした低額カット店の進出により大変苦労しており,実際閉店を余儀なくされている店も多く存在しております。また,それに対してさまざまな経営努力や個性化を出すなどして,まさに「顧客第一」で頑張っている店がかなりあります。こうした苦労に苦労を重ねて,この不景気の中,本当に一生懸命頑張っているのです。
ただ,ごく一部の方々が,「外圧」という誤った方策を検討してしまったのかなあ,っていう気がします。
仮に,群馬県から事実上低額カット店を締め出した場合,それで自動的に客が通常の理髪店に戻るでしょうか?いや,それだけでは絶対に戻りません。なぜなら,今は「洗髪設備のある低額理髪店」もかなり存在しているからです。この低額理髪店は,組合に属していないため,自由に価格が設定できるのです。
したがって,カットのみの店を締め出しても,おそらく客は,よほどの腕や経営努力をしている理髪店でもない限り,結局は「非組合店」たる低額店に行くでしょう。そうすると,ごく一部の方々の思惑通りに展開にはなりません。
むしろ,こうした締め出しをすることで,「群馬県で新規参入をすると邪魔をされる」という経済界での噂が噂を呼び,他の業種での新規参入すら減ることになりかねません。昔と違って,今は物流も盛んですから,「新規参入しない=群馬県内の既存のお店が安泰」っていう方程式はもはや成立しませんから,「新規参入しない=お金が群馬県外に流れる」っていう方向に行ってしまいます。そうでなくても,今の群馬県は,高速道路や充実したバイパス道のおかげで,「ストロー効果」が発生し,企業や主力店舗が県外に流出してしまい,結果,市場も県外が主流となり,中心市街地が軒並みシャッター通りになってしまっているのです。
したがって,こうして新規参入を阻止し続けると,結果,既存産業が保護されるどころか,県内の経済活動がますます麻痺してしまい,既存産業がどんどんつぶれていくということになりかねません。
過度な排除,保護政策により,イメージとしては,ジンバブエのようになってしまうのです。
既存産業を守ろうという発想自体は否定しませんが,あきらかな排除は,天につばをするようなものです。むしろ,経済活動を発展させるのであれば,逆に「新規参入ウエルカム」にしたほうがよいのです。
そうすることで,既存産業は,よりいっそうの企業努力をして,それにより「魅力あるショップ」が形成されるなど,集客力アップにつながります。もちろん,貨幣もそこに落とされることで,経済効果も期待できます。
さらには,新規参入により,法人地方税や事業税等の税収増加も期待できます。人口が減っている今,法人を増やして法人市民税等を増やすなどということは,税収増加の起爆剤として効果的ですらあるのです。
政治家の皆様,己の利益や後援会のことだけを考えて動かず,もっと広い視野から物事を考えてみませんか。ついでに,たまには群馬の主要駅前でサラリーマン相手に演説やビラの一枚でも配ってください。本当に,国政,地方問わず,また与野党問わず,議員が何を活動しているのかさっぱり分かりません。
今回の理髪店の問題は,単に「床屋だけの問題」ではなく,実は「群馬県経済全体への影響」にもつながりかねない大きな問題なのです。群馬県の発展のためにも,より広い視点からの議論を望みたいものです。
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