「青空を仰ぐ 力をもらう」
青空が青空をしている。それが何処までも広がっている。それを仰いでいられることが嬉しい。今朝からずっと嬉しがっている。こんな容易いことがやれなかったのだ。青空はいつも青空をして広がっていたはずなのに、それが見えないで来たのだ。今朝はそれが見えている。あまつさえ、それから力をもらっている。青空が青いという事実に感動を覚えている。此処まで来たのだ。此処まで来るまでに明暗が百万遍織り成した。辛いこと悲しいこと苦しいことが大波小波になって襲いかかって来た。過ちを無数に繰り返した。
そこを通って来た。通り抜けて来た。暗闇を抜けたので青空へ来た。人はこの道を歩む。
人生を棄ててしまおうとする若者がいる。新聞でそれを読む。悲しくなる。ああわたしにもその頃があったなあと思う。青空が広がっていても力をもらうことがなかった。結果的だがわたしは棄てなかった。そして此処へ来ている。青い青空を嬉しく眺めている。
*
今日の西日本新聞のこだま欄にこれが載った。9月の初めに投稿していた。もう駄目かと思っていた。諦めていた。そして急に「空」の特集に、拾われた。今日はいい日になった。今日も秋晴れの、青空だ。