昼寝するベターハーフの老いの目に目にて懺悔す 一生分の 薬王華蔵
この老爺は我が儘者である。頑迷である。固陋である。煮ても焼いても食えそうもない。代物(しろもの)安物壊れ物。そいつにはしかし、ベターハーフがいる。付き添って暮らしている。今日は昼寝をしている。日々の暮らしに疲れているのだろう。そっとしておく。妻は老いている。顔中が皺になっている。皺の奥に目がある。苦労を掛けたなと思う。懺悔する。口には出さない。目で懺悔をするだけだ。それも一生分の。そんな謝り方では、埋め合わせにはなるまいが。ベターハーフとはよりよき半分という意味合いである。わたしよりももう少しいい生き方をさせてやらねばならぬはずである。それでまたすまなくなる。悲しくもなる。
これも落選をした。だらしないことだ。