有り難い有り難い。生きているのが有り難い。今此処でこうして生きているオレ様がいる。これが有り難い。有ることが難いのに、有り得ている。何がどうなったので、こうなっているのか、それは分からない。分からないけれども、こうなっている。有り難い有り難いを言うしかない。
いつかしかし、それを言えなくなる日が来る。必ず来る。此処でこうして生きているオレ様が、消える。それを止める手立てはない。観念をするしかない。しかし、その日その時までは有り難うが成立している。それでいい。その日までそれが有り得たことを感謝することにしよう。
9月2日の夕暮れが来ている。夕闇の中で、韮の花が一列になって白く咲いている。草叢に秋の虫が鳴いている。