６時２０分。地上部分は日が暮れた。まだ少しだけ空が見える。日中、雨が降り続いていたためであろう、気温が低い。過ごし易い。
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日のくれと子供が言ひて秋の暮れ 高浜虚子
子供は、あんまり時間を気にしないはずなのだが、秋の暮れの日の落ち方がいきなりなので、気がついてしまったんだろう。日が暮れたら遊びも終わる。子供たちのはしゃぎ声も消えて、大人たちのまわりが、涼しく、しょんぼりとする。
気温２５・１℃。湿度は高いが、涼しい。クーラーはつけないでいい。秋が２塁へ滑り込んでくる。
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むざんやな甲（かぶと）の下のきりぎりす 芭蕉
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キリギリスは昼に鳴く。夜にも鳴く。チョン・ギーッスと聞こえる。それが機織りしているように聞こえるので、別名ハタオリ。夏から初秋まで鳴く。
無惨な討ち死にをしたであろう、甲が落ちていた。そこをキリギリスが塒にして住んでいる。やがて木枯らしが吹き下ろす頃となる。キリギリスもいなくなる。
解決できないことは、解決しないことだ。無駄骨だ。墓穴を掘ってしまうだけになる。
解決する時が来るを待とう。それがいい。いずれ解決する時が来る。時は流れている。
ほっておこう。問題としないでおけばいいじゃないか。目くじらを立てないでおけばいい。牙を剥くことではないかもしれないではないか。
・・・などと、おれは弱気だ。
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雨がしばらく止んでいる。止んではいるが、いつまた降り出すかも分からない。空は灰色をしている。
あれこれのことに興味がない。だったら、引っ込んでいるしかない。極めて不活発な老爺をして、過ごす。
してみたら、案外と面白いかもしれないだろうが、まるで興味を起こさない。世の中にいながら､世の中に席を取っていない。
だったら、人様のように、わいわいわいわいと興奮して歌ったり踊ったりが出来ない。輪を外れて、いつも、ぽつねんとしているしかない。
誰を責めようもない。身から出た錆だ。読書をすればいいのだが、本の活字が小さくて、目が痛くなって来て、諦める。拡大鏡があるが、手が疲れてしまう。
雨。雨降り、今日は。やっと雨音が聞こえるほどの雨量になっているけれど。畑には出ていけない。することがない。退屈を覚える。
早朝は曇り。朝６時半から、外に出た。草取りをした。そこを耕して、施肥して、１ヶ月ほども放置してままになっていた小葱根種を、植え付けた。そこでいきなり降り出した。ざざざざざあの大粒俄雨が背中を濡らした。
雨に濡れてまで作業を続けることはない。さっさと家の中に走り込んだ。
その後、１１時の現在まで、降り止まない。植え替えたばかりの小葱は、雨の湿りが幸運に思えただろう。
南庭の酔芙蓉は､咲いて、酔って、はやくもピンク色になっている。いい気なもんだ。部屋の中から６輪が見える。
