さ、寝ようかな。
一日を無事に過ごさせて頂きました。ご守護を忝くしました。御礼を申し上げます。
いい一日でございました。まことにいい一日でございました。
一日の安堵を得ました。
では、ふたたびまた光溢れる明日が訪れて来るのを、眼を閉じて、待つことにいたします。
うううん、ううううん、ううん、と唸ってみる。
自分に嫌気が差している。
嫌気を吐き出そうとして、唸ってみる。
うううん、ううううん、ううん、と唸ってみる。
喉に刺さった魚の小骨はなかなか飲み込めない。
まあだちくりちくりと喉を刺している。
わたしは我が儘者です。だから、人といっしょにいるのは、とっても苦手。窮屈。縮んでいなくちゃならない。
わたしは我が儘者です。したいことをしていたい。だから、みんなと同じようにしているのは苦痛。ねじれてる。
わたしは我が儘者です。みなさんを苦痛がらせてしまいます。みんなが楽しみとしていることと違うことを楽しもうとして、あぶれる。
ああ、つくづくわたしは我が儘者です。一人でいるのが一番気楽です。離れたところにいて、一人遊びをしているときには、ほっとしています。
童謡詩 「指」 作詞 薬王華蔵
指が曲がる 鉛筆をつかまえる それがふしぎでならなくて 指を曲げてみる 鉛筆をつかまえてみる
指は曲がる ようにしてあったんだ それがふしぎでならなくて 指に触れてみる 母さんをつかまえてみる
指が曲がる 曲がってもまたもどる それがふしぎでならなくて 指を立ててみる
大空をつかまえてみる
童謡 「菜の花菜種」 作詞 薬王華蔵
菜の花が菜種をつけた／大川の土手／菜種は／菜の花の赤ん坊／春の日に生まれた赤ん坊／わたしが祝ってあげよう
菜の花が菜種をつけた／はち切れる種／菜種の／兄弟と姉妹たち／元気よく生まれた赤ん坊／わたしが祝ってあげよう
菜の花が菜種をつけた／風に揺れてる／菜種は／やがてまた地に落ちて／芽を出して大きく育つだろう／わたしが祝ってあげよう
歌謡曲 「鰹船」 作詞 薬王華蔵
好きだった、なんて一度も口にしなかった／好きだと思っているだけでよかった／それで体があたたまった／ここは港町／風がある日は／波止場に飛沫があがる／あの娘は二十一／誕生日が来て／働く仲間たちが／みんなで祝った／
好きだった、なんて一度も口にしなかった／好きだと思っているだけで／よかった／それで全身があたたまった／海は荒れていた／鰹の群れを／探して漁船は進む／あの娘をずうっとずっと／偲んでいるばかり／エンジンが唸るばかり／鴎が騒いだ
好きだった、なんて一度も口にしなかった／好きだと思っているだけで／よかった／それで全身があたたまった／おれは何をして／いるんだろうか／こうしていていいのかよ／あの娘を抱いている／夢を何度見る／鰹だ鰹だぞ／叫びが上がった
寄せ植えのジュリアン。玄関先に飾っている。
かわいいね。
黙っているのに、かわいい。
わたしかわいいでしょうなんて言わないでいられる。
そこもいい。
