南無阿弥陀仏をとなふれば、梵王、帝釈、帰敬す。諸天全神ことごとく、よろひるつねにまもるなり。
親鸞聖人の書かれた「現世利益和讃(げんぜりやくわさん)」より
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「現世利益(げんぜりやく)」とは現世で受けている利益ということです。今此処で授けられている利益の数々を言います。恵まれているものの数々をいいます。完了をしている利益です。これからお頼みしますではなくて、今現にいただいているプレゼントの数々です。
わたしたちは護られています。守られて生きています。誰が守っていてくれるか。これははっきりさせることができません。此処では仮にその代表として、梵天王と帝釈天の名前が挙げられています。諸天全神などと一束にしてあります。名付けようがないのです。名付けようがないと、はっきりしないから、代表格を挙げてあります。
夜も昼もまもられています。空気を鼻に届けてもらっています。有り難いことです。
「南無阿弥陀仏を唱えれば」と条件を挙げてありますが、無条件です。無条件だと掴み所がないので、仏陀の一人の名を挙げてあります。みな諸仏は姿や形を持ちません。わたしたちは無条件でまもられています。それを思い起こさせるために、敢えて阿弥陀仏の名前が挙げてあります。
宇宙中でわたしをまもっています。
今日の一日が暮れました。太陽が西に沈んでくれたからです。すべてわたしが生きていく条件が整えられています。整えられた中でわたしが生きています。