知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

請求項が減縮された場合に「実質上特許請求の範囲を変更」するかどうかの判断1

2007-01-30 06:47:34 | Weblog
事件番号 平成18(行ケ)10070
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年01月25日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

『(1) ・・・訂正事項bに係る「番組表出力手段」,「更新手段」の内容は,いずれも,当初明細書に記載されているということができる。
 (2) ・・・訂正事項bの「番組表出力手段」と「指定手段」は,特許査定時の請求項3における「記憶手段」と「指定手段」により実現される内容をより具体的に規定したものであり,「更新手段」と「サーチ手段」は,特許査定時の請求項3の「記憶手段に記憶されているテレビ放送の内容の中から,上記指定手段により指定された内容と同一の番組を,異なる時間帯の番組よりサーチするサーチ手段」により実現される内容をより具体的に規定したものであるから,訂正事項bの具体的内容は,いずれも,特許査定時の請求項3に係る発明の目的に含まれるということができる
 (3) そうであれば,訂正事項bは,特許査定時の請求項3に係る発明の目的を逸脱したということはできず,訂正事項bに係る訂正によって,実質上特許請求の範囲を変更するものではない。』

『発明の目的は特許請求の範囲の請求項において規定された構成によって達せられるものであり,新たに構成が付加されたり構成が限定されれば,目的も,それに応じて,より具体的なものになることは当然であって,訂正後の発明の構成により達せられる目的が訂正前の発明の構成により達せされる上位の目的から直ちに導かれるものでなければ,発明の目的の範囲を逸脱するというのであれば,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は事実上不可能になってしまうから,相当でない。そうであれば,訂正事項により付加,限定された構成により達成される内容が,訂正前の発明の目的に含まれるものであれば足りると解するのが相当であり,本件においては,上記(2)のとおり,訂正事項bの具体的内容は,いずれも,特許査定時の請求項3に係る発明の目的に含まれる。』

『訂正事項bに係る「番組表出力手段」,「更新手段」の内容は,いずれも,当初明細書に記載されているものであって,訂正事項bの「番組表出力手段」と「指定手段」は,特許査定時の請求項3における「記憶手段」と「指定手段」により実現される内容をより具体的に規定したものであり,「更新手段」と「サーチ手段」は,特許査定時の請求項3の「記憶手段に記憶されているテレビ放送の内容の中から,上記指定手段により指定された内容と同一の番組を,異なる時間帯の番組よりサーチするサーチ手段」により実現される内容をより具体的に規定したものであるから,訂正事項bの具体的内容は,いずれも,特許査定時の請求項3に係る発明の目的に含まれるということができる。』

次の判決も同趣旨。
事件番号 平成18(行ケ)10072
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年01月25日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

事件番号 平成18(行ケ)10071
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年01月25日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

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