知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

訂正要件の判断にあたっての請求項の分節

2008-08-10 11:30:12 | 特許法126条
事件番号 平成19(行ケ)10362
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年08月04日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘

2 取消事由1(訂正の適否の審理に関する手続違背の有無)について
(1) 原告の主張は,要するに,審決は本件訂正の内容を複数の訂正事項に分説し,各分説ごとに訂正の要件を充足するかどうかの判断をしたが,本件訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるかどうか,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものであるかどうかについての判断は請求項に記載された発明全体を対象としてなされるべきであるから,分説された訂正事項ごとに判断するという審決の判断手法は誤りである,というものである

(2) しかし,訂正が特許法134条の2第1項ただし書並びに同条5項の規定により準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するかどうかを判断するに当たっては,訂正前の記載と訂正により変更された内容とを対比することが必要である。

 そして,訂正により変更された内容が多岐にわたる場合には,その内容につき適宜の分説を行って,訂正前の記載の該当部分との対比を行うことも,判断手法の1つとして合理性を有するものである。

(3) そして,本件訂正のうち特許請求の範囲に係る部分について審決が行った分説は,別添審決書記載のとおりであり,その分説はいずれも適切なものであり,これらの分説による対比検討を総合した結果,各請求項全体としても,本件訂正が特許法134条の2第1項ただし書並びに同条5項の規定により準用する同法126条3項及び4項の規定に適合するとしたことも適切である。


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