知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

主引用例の本質的でない部分を置き換える動機付け

2008-04-27 11:26:11 | 特許法29条2項
事件番号 平成19(行ケ)10120
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年04月21日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

『(6) 被告は,甲4発明は,2以上の連続するサンプリング結果が一致したときに真正出力とするものであって,信頼性の高いデータの送信が重視されているのであるから,当業者はこのような機能を除外して通信の高速化を検討することについて動機付けられないし,仮に高速化を検討したとしても,甲4発明ではCPUを用いた通信制御を行っているので,そのための処理時間が発生し,「直後に」との構成とはならないと主張する

 しかしながら,審決が認定し,当事者間においてもその認定に争いがない甲4発明は,2以上の連続するサンプリング結果が一致したときに真正出力とする発明ではないし,甲第4号証には,サンプリングを行うためのデジタルフィルタに関し,次の各記載があることからすると,サンプリングが甲第4号証に記載された発明の本質的な要素でないことは明らかであるほか,甲第4号証には,上記2(1)ウ(ア)及び(イ)で認定したとおり,機械入出力I/FホストにCPUが存在しないことについての記載又はこのことを意味する図まではないものの,逆に同ホストが通信制御にCPUを使用しているとの記載は何ら存在しないのであるから,被告の主張は前提を誤ったものであり,失当である。』

最新の画像もっと見る