知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

禁反言の法理ないし信義則に違反し許されないとした事例

2009-11-08 19:37:55 | Weblog
事件番号 平成21(ワ)2726
事件名 意匠権侵害差止等請求事件
裁判年月日 平成21年11月05日
裁判所名 大阪地方裁判所
権利種別 意匠権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 田中俊次

・・・
 したがって,被告意匠は,本件意匠とは類似しない。

 なお,前記のとおり,原告は,本件意匠の出願経過において,本件意匠が乙2意匠に類似し,意匠法3条1項3号に該当するとした拒絶理由通知に対し,本件意匠は乙2意匠に類似しないとする意見書を提出したものであるところ,原告は,同意見書の中で,「本願意匠(判決注・本件意匠)の胴部の絞り(C)の段数は5段であるところ,引用意匠(判決注・乙2意匠)の胴部の絞りの段数(c)は3段である。胴部の高さと関連して,胴部の絞りの段数は,両意匠を手にとった時にもっとも注目する部分のひとつである。」と,胴部の絞りの段数の相違を強調して乙2意匠とは類似しないと主張していたのに,
 本件訴訟において,胴部の絞りの段数が乙2意匠と同じ3段である被告意匠との類否判断に当たり,段数の相違は需要者に与える美感に影響を及ぼさず,被告意匠は本件意匠に類似するなどと主張することは,出願経過における上記主張と相反するものというほかない

 侵害訴訟である本件訴訟において原告が上記主張をすることは,禁反言の法理ないし信義則(民法1条2項,民訴法2条)に違反し,許されないものというべきである

 そして,このように解することは,意匠法24条2項とは無関係に導き出されるものであり,同条項が制定されたからといって,かかる主張が許容されるものでないことは明らかである。

最新の画像もっと見る