知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

誤記により実施不能となる場合

2006-04-05 06:23:22 | 特許法36条4項
事件番号 平成15(行ケ)75
裁判年月日 平成16年01月30日
裁判所名 東京高等裁判所
特許法36条4項

(注目判示)
「全非点収差」及びこれと直接技術的関連を有する「斜光線方向の非点収差」について,当業者に誤記であることが客観的かつ一義的に明らかであると認めることはできない誤った記載がされ,この誤った記載に基づいて全非点収差及び実施形態が説明された本件明細書に接した当業者は,本件明細書に記載された「全非点収差」の意味内容を正しく理解することは不可能であり,本件明細書の表1~5に記載された数値データに基づいて本願発明を実施できるということはできない。したがって,本件明細書の発明の詳細な説明に,本願発明に係る「全非点収差」で規定される累進焦点眼鏡レンズについて,当業者が容易にその実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果を記載しているとはいえないから,その発明の詳細な説明は,旧36条4項に規定する要件を満たさないというべきであり,これと同趣旨の審決の判断に誤りはない。

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