事件番号 平成18(行ケ)10110
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成18年11月15日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一
『訂正審判請求書添付の訂正明細書のもの(下線部分が訂正箇所)
【請求項1】
画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を含んだ符号化パターンである2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段と,
選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段と,
前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段とを有し,
前記付加手段は,
a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,
b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する,
ことを特徴とする画像形成装置。』
『(3) 原告は,符号化とは,「ある情報を別の表現体系へ対応づける」ことであり,処理の実態は変換であって,符号化パターンは,記号等とは異なる次元の情報であり,これにより,その作用効果にも差が生じるものであって,先願発明には,訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」がないと主張する。
しかしながら,符号とは,一般に,記号の一形態を意味するものと理解されるものであって,このことは,「符号」が,「〔1〕・・・〔2〕情報を表現するための記号の配列。コードという。一般に0と1の記号が使われる。・・・」(オーム社発行の「情報技術用語大辞典」(甲8)),「情報を表現する通報の集合に対し,あらかじめ約束された規則に従って対応付けられた記号列(符号語)の集合。
各記号列は1次元的に記号を連ねて構成される。符号を構成する個々の記号列を符号語という。・・・」(電子通信用語辞典(甲9))と定義されていることからも明らかである。そして,原告の主張する作用効果の差は,符号として記号を用いる際に,予め約束された規則によって,符号として用いる記号にどの程度の秘匿性や暗号性を持たせるかということに帰するのであって,当業者が必要に応じて適宜決めればよい技術的な設計事項にすぎない。』
『,この記載によれば,先願発明は,CPUが画像メモリ内の画像データを加工しているということができる。
しかしながら,先願発明でも,上記(3)のとおり,繰返し出力の周期に対応して,記号を重ねる位置を特定し,記号を重ねる場合には,記号の2次元ビットマップ情報に基づき,局所的に切り替えて,記号を重ねるための信号を出力しているのであり,また,上記1(2)のとおり,画像メモリの出力信号が,レーザドライバに送られて半導体レーザを駆動し,印刷出力を行っているのである。
このように,先願発明は,局所的に切り替えて加工した画像データを最終的に印刷出力しているのであるから,CPU1170と画像メモリ1116からなる構成により,訂正発明の「a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する」との処理を行っていると解される。そして,訂正発明の付加手段が,まず,局所的に切り替えて画像メモリ内で加工を行い,その局所的に切り替えて加工された画像データを記録媒体に出力するという先願発明の構成を,排除することまでは特定していない。』
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成18年11月15日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一
『訂正審判請求書添付の訂正明細書のもの(下線部分が訂正箇所)
【請求項1】
画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を含んだ符号化パターンである2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段と,
選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段と,
前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段とを有し,
前記付加手段は,
a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,
b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する,
ことを特徴とする画像形成装置。』
『(3) 原告は,符号化とは,「ある情報を別の表現体系へ対応づける」ことであり,処理の実態は変換であって,符号化パターンは,記号等とは異なる次元の情報であり,これにより,その作用効果にも差が生じるものであって,先願発明には,訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」がないと主張する。
しかしながら,符号とは,一般に,記号の一形態を意味するものと理解されるものであって,このことは,「符号」が,「〔1〕・・・〔2〕情報を表現するための記号の配列。コードという。一般に0と1の記号が使われる。・・・」(オーム社発行の「情報技術用語大辞典」(甲8)),「情報を表現する通報の集合に対し,あらかじめ約束された規則に従って対応付けられた記号列(符号語)の集合。
各記号列は1次元的に記号を連ねて構成される。符号を構成する個々の記号列を符号語という。・・・」(電子通信用語辞典(甲9))と定義されていることからも明らかである。そして,原告の主張する作用効果の差は,符号として記号を用いる際に,予め約束された規則によって,符号として用いる記号にどの程度の秘匿性や暗号性を持たせるかということに帰するのであって,当業者が必要に応じて適宜決めればよい技術的な設計事項にすぎない。』
『,この記載によれば,先願発明は,CPUが画像メモリ内の画像データを加工しているということができる。
しかしながら,先願発明でも,上記(3)のとおり,繰返し出力の周期に対応して,記号を重ねる位置を特定し,記号を重ねる場合には,記号の2次元ビットマップ情報に基づき,局所的に切り替えて,記号を重ねるための信号を出力しているのであり,また,上記1(2)のとおり,画像メモリの出力信号が,レーザドライバに送られて半導体レーザを駆動し,印刷出力を行っているのである。
このように,先願発明は,局所的に切り替えて加工した画像データを最終的に印刷出力しているのであるから,CPU1170と画像メモリ1116からなる構成により,訂正発明の「a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する」との処理を行っていると解される。そして,訂正発明の付加手段が,まず,局所的に切り替えて画像メモリ内で加工を行い,その局所的に切り替えて加工された画像データを記録媒体に出力するという先願発明の構成を,排除することまでは特定していない。』