徒然なか話

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ジョン・フォード生誕120年

2014-12-04 12:37:51 | 映画
 今朝の熊日新聞芸能欄に、熊大の辻昭二郎先生が「ジョン・フォード生誕120年」について寄稿されていた。先生の映画評論は随分前から読んだり聞いたりしていて、僕が最も信頼する映画評論家のお一人である。
 熊本でも6日からDenkikanで記念上映が行われるが、今回上映されるのは「駅馬車」と「静かなる男」の2本。誰が選んだか、実に絶妙なチョイスだ。フォード監督は自らもそう名乗っていたように「西部劇の監督」として名高い。そのフォード西部劇の中から1本選べと言われたらこの「駅馬車」を外すわけにはいかないだろう。「駅馬車」は西部劇のジャンルを超えて以後の映画に影響を与えた、映画史に残る金字塔だと思うからだ。一方でフォード監督はアカデミー監督賞を4度も獲った芸術性の高い監督でもあるが、実は西部劇では一度も獲っておらず、その西部劇ではないアカデミー賞受賞作の一本が「静かなる男」である。そして「静かなる男」はフォード監督の精神的な原点である故郷アイルランドを舞台とした作品の代表作でもある。
 僕が映画に目覚めたのは小学2年生、7歳の時(昭和28年)に観たフォード監督の「三人の名付親(1948)」である。だからフォード映画に出てくるアメリカ西部の風景は、僕にとって原風景のようなものだ。以降、僕は映画を見る時、常にフォード映画というフィルタを通して見るくせがついたような気がする。
 フォード映画について、アメリカ人よりも日本人の方が理解していたのではないかと思うことがある。アメリカ人にフォード西部劇のベストワンは?と聞いたら、おそらく「捜索者(1956)」と答えるだろう。実際、米映画オールタイムベスト100でも最上位にランクしている。しかし、日本人に同じ質問をしたら「荒野の決闘」か「駅馬車」と答える人が圧倒的に多いだろう。フォード監督自身ははたしてどちらの選択を喜ぶだろうか。多分、「あの作品の意図がわかってくれたか!」と喜びそうなのは日本人の選択のような気がするのである。
 フォード映画について書き始めたらキリがないほど次から次に出てくるが、今回はこれくらいにしておこう。



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