今年8月に無観客で行われた「第26回くまもと全国邦楽コンクール」の映像が公開された。僕は2011年からこのコンクールを見始め、今年で10年になるが会場に入れなかったのは今回が初めて。
2011年5月、コンクールを初めて見た日のブログに次のような感想を書いている。(右の写真は長谷幸輝検校)
昨日、何かの媒体で見つけて気になっていた「長谷検校記念 くまもと全国邦楽コンクール」とやらを覗いてみようと熊本市民会館に行ってみた。すぐに僕の認識不足も甚だしいことに気がついた。イベント名に「くまもと」が付いているので、地元の手だれの奏者たちが集まって全国大会の地区予選でもやるのかな、くらいの気持だった。とんでもない!日本の邦楽界で既に第一線で活躍している人も全国各地から参加してくるほどの凄いレベルの大会だったのだ。参加者の力量の高さは素人の僕にでもよ~くわかった。そもそも長谷検校(ながたにけんぎょう)なる人物、名前だけはどこかで聞いた覚えがあったが、どういう人物なのか知らなかった。なんでも熊本出身で幕末から明治・大正時代に活躍し、九州系地歌を全国に普及させた、邦楽界では伝説的な人らしい。この人をリスペクトして熊本でこのコンクールが開かれているというわけだ。地歌とは上方で生まれた座敷音楽で、三味線を伴奏とする歌曲のことをいうのだそうだ。このコンクールは「箏曲の部」、「尺八・笛音楽の部」、「三味線音楽の部」、「琵琶楽の部」、「三曲等合奏の部」の五つの部門が行われ、全体のナンバー1が選ばれる。昨日は「箏曲の部」の佐藤亜美さん(東京)が最優秀賞に選ばれた。ただ、見ていて僕が気になったのは、こんな全国レベルの大会にもかかわらず観客が少ないことだ。なんだかもったいない気がする。
この10年間、多くの邦楽演奏家を見てきたが、その中には何人かの忘れられない演奏家がいる。初めて見た第17回コンクール最優秀賞で筝曲の佐藤亜美さん、第20回最優秀賞で筝曲の今野玲央さん、第23回最優秀賞で筝曲の大川義秋さん、第25回最優秀賞で三味線音楽の本條秀五郎さん。その他に最優秀賞は受賞できなかったものの忘れられない演奏者に、第23回優秀賞を始め何度も表彰を受けた筝曲の中島裕康さん、そして第19回優秀賞で尺八・笛音楽の中村仁樹さんたちである。皆さん第一線で活躍されている。
▼2021年第26回くまもと全国邦楽コンクール結果
◎最優秀賞・文部科学大臣賞
箏曲の部 中嶋 ひかる(東京都)『十七絃独奏による主題と変容「風」』
◎優秀賞
三曲等合奏の部 清原・細川 清原 晏(東京都)・細川 喬弘(東京都)『楓の花』
琵琶楽の部 尾方 蝶嘉(福岡県)『壇ノ浦』
箏曲の部 松下 知代(熊本県)『四つの前奏曲』
◎奨励賞
尺八・笛音楽の部 イオ・パヴェル(ロシア)『巣鶴鈴慕』
箏曲の部 安嶋 三保子(東京都)『秋風幻想』
尺八・笛音楽の部 松村 湧太(東京都)『「竹の四季」より「冬」』
三曲等合奏の部 pomecolo 青山 佳奈子(愛知県)・江連 弘代(静岡県)『PLEIADES』
2011年5月、コンクールを初めて見た日のブログに次のような感想を書いている。(右の写真は長谷幸輝検校)
昨日、何かの媒体で見つけて気になっていた「長谷検校記念 くまもと全国邦楽コンクール」とやらを覗いてみようと熊本市民会館に行ってみた。すぐに僕の認識不足も甚だしいことに気がついた。イベント名に「くまもと」が付いているので、地元の手だれの奏者たちが集まって全国大会の地区予選でもやるのかな、くらいの気持だった。とんでもない!日本の邦楽界で既に第一線で活躍している人も全国各地から参加してくるほどの凄いレベルの大会だったのだ。参加者の力量の高さは素人の僕にでもよ~くわかった。そもそも長谷検校(ながたにけんぎょう)なる人物、名前だけはどこかで聞いた覚えがあったが、どういう人物なのか知らなかった。なんでも熊本出身で幕末から明治・大正時代に活躍し、九州系地歌を全国に普及させた、邦楽界では伝説的な人らしい。この人をリスペクトして熊本でこのコンクールが開かれているというわけだ。地歌とは上方で生まれた座敷音楽で、三味線を伴奏とする歌曲のことをいうのだそうだ。このコンクールは「箏曲の部」、「尺八・笛音楽の部」、「三味線音楽の部」、「琵琶楽の部」、「三曲等合奏の部」の五つの部門が行われ、全体のナンバー1が選ばれる。昨日は「箏曲の部」の佐藤亜美さん(東京)が最優秀賞に選ばれた。ただ、見ていて僕が気になったのは、こんな全国レベルの大会にもかかわらず観客が少ないことだ。なんだかもったいない気がする。
この10年間、多くの邦楽演奏家を見てきたが、その中には何人かの忘れられない演奏家がいる。初めて見た第17回コンクール最優秀賞で筝曲の佐藤亜美さん、第20回最優秀賞で筝曲の今野玲央さん、第23回最優秀賞で筝曲の大川義秋さん、第25回最優秀賞で三味線音楽の本條秀五郎さん。その他に最優秀賞は受賞できなかったものの忘れられない演奏者に、第23回優秀賞を始め何度も表彰を受けた筝曲の中島裕康さん、そして第19回優秀賞で尺八・笛音楽の中村仁樹さんたちである。皆さん第一線で活躍されている。
▼2021年第26回くまもと全国邦楽コンクール結果
◎最優秀賞・文部科学大臣賞
箏曲の部 中嶋 ひかる(東京都)『十七絃独奏による主題と変容「風」』
◎優秀賞
三曲等合奏の部 清原・細川 清原 晏(東京都)・細川 喬弘(東京都)『楓の花』
琵琶楽の部 尾方 蝶嘉(福岡県)『壇ノ浦』
箏曲の部 松下 知代(熊本県)『四つの前奏曲』
◎奨励賞
尺八・笛音楽の部 イオ・パヴェル(ロシア)『巣鶴鈴慕』
箏曲の部 安嶋 三保子(東京都)『秋風幻想』
尺八・笛音楽の部 松村 湧太(東京都)『「竹の四季」より「冬」』
三曲等合奏の部 pomecolo 青山 佳奈子(愛知県)・江連 弘代(静岡県)『PLEIADES』
長谷検校(ながたにけんぎょう)さんの名前は覚えておきたいです。
私もまだ全編通しては視聴していません。
父の生家跡の近くに長谷検校のお墓がありますので、先月お参りしたばかりです。
日本人なのに邦楽について
あまり知識が無くお恥ずかしいですが
どの方も素晴らしい演奏で
優秀賞の方々は、さすがに音の広がりや
空間を包み込むような音色に魅せられました。
尺八の音がこんなにも豊かに響くかと
感激しましたし、ロシア人の方は
日本人のアイデンティティーを持っているかのようで
詫び寂の世界を醸し出していて感服しました。
琴や三味線や尺八などの演奏を見たりすることはそれまでにもあったのですが、洋楽にくらべて邦楽を下に見ていた気がします。ところが、このコンクールでホンモノの邦楽に触れて驚き、認識を改めさせられた気がします。
尺八のロシア人の方はこれまで何度か出場されていますが、いつもその真摯な取り組み方に頭が下がります。
これからもっと多くの若い方や外国の方にも邦楽に取り組んでいただければ嬉しいのですが。