徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

ミシュランガイドと成瀬巳喜男

2007-11-20 12:01:43 | 映画
 権威あるフランスのレストラン&ホテルガイド「ミシュランガイド」の東京版が今月22日に発売されるのに先立ち、3つ星が8軒、2つ星が25軒、1つ星が117軒になることが発表された。なんと掲載される店全部に星が付くのは初めてのことらしい。また、フランス以外の都市でこんなに多くの店に一度に星が付いたのも初めてらしい。日本のレストランや料理店のレベルの高さが証明されたわけで日本人の一人として誇らしい。
 ただ、この背景にはフランス人の日本文化好きが作用しているのではないかと思われる。先日聴いた行定勲監督のトークショーの中で、フランスでは成瀬巳喜男の映画が、黒澤や溝口や小津らと並んで人気があり、特に「浮雲」は日本では信じられないほどのロングランが行なわれているということだそうだ。そういう眼で先日「浮雲」を観なおしてみた。あのペシミスティックな展開と高峰秀子の儚げな美しさは、たしかにフランス人好みなのかもしれない。しかし、一方で日本人は自らの文化を正しく評価しているのだろうかという疑問がわいてきた。


「浮雲(1955)」の一場面