食道楽は国境をこえて。

フランス・パリでの生活
おいしいものと、楽しいことに囲まれて…

AOCとAOP 原産地呼称統制

2011年02月15日 | おいしい歴史
頭がゴチャゴチャしないように、ここでひとまとめ


チーズやワインを嗜む方なら一度は聞いたことのある(と思われる)この言葉、

“Appellation d’Origine Contrôlée(AOC)-原産地呼称統制”

農産物の保護と品質保証のため、製造過程~最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保証の印。

要は、法で決められた基準を満たして、認定を受けないと、“○○”(例えば“ロックフォール”とか)と名乗る事は出来ない、というルール。



この起源は、フランス。

一説には、“ロックフォール”というブランド(と品質)を守る為とも、“シャンパン”がはじまりだ、とも。

それが、現在のEU各国に広まり。

各国がそれぞれ、独自に法律(規定)とその名前を作っていたのだけど。

2009年5月から、

“Appellation d’Origine Protégée(AOP)-原産地呼称統制のEUバージョン”を制定。

AOCの基準を

“各国それぞれではなく、EU全体で統一しましょう”

って事で。

チーズをはじめ、今までAOCのマークが付いていたものは、AOPマークに。

これで、ヨーロッパ中の人が、同じマークで認識できるように


“ワインを除いて


フランスのワインの規定は、他の国が真似出来ないほど細かい規定。

それだけ、厳重に守られている。

その規定に他の国を当てはめようとすると、他の国で、例えばイタリアでDOC(イタリア版AOC)に認められていたワインのほとんどが、規格から外れてしまう、という…

“自国のワインを守りたい”フランスと、“自国のワインの価値を下げたくない”他の国が協議した結果、ワインはAOPの対象からはずす事に。



生産者の製品を守る為、消費者への確実な品質保証のための法律。

今では世界のあちこちで、少しずつすすめられている。

日本でも、“法”まではいかないけれど、各地で産地名、商品名を守る動きはある。

便乗した偽装問題もあるけど




AOPと名乗れるようになるまでにもたくさんの試練が。

例えば、チーズ。

現在43種類あるAOPフロマージュ。

最後にAOPになったのは、Maconnais-マコネというチーズ。

申請したのは1997年。

申請が降りたのは2006年

“マコネ”という品をAOP(当時はAOC)に申請して。

今度は、マコネを名乗れる生産者のチェック。


今でも、多くの農産物が、申請されている。

その中で、AOPの仲間入りできるのは…?




不定期に、有識者&プロの皆さんが、対象製品をチェックして。

厳密に精査される製品達。

これからも、おいしいものを守っていって下さい

Roquefort ロックフォール

2011年02月15日 | チーズ
フランスのチーズといえば…、




Roquefort-ロックフォールがその代表



フランスで、一番最初にAOCに登録されたチーズ。

それは、1925年の事。

もっと昔、1441年には、当時の国王(シャルル6世)がロックフォールを保護する協定書を交わしたり。

世界3大ブルーチーズの筆頭に立ったり…。

ロックフォールの武勇伝をのぞくと、その偉大さが良くわかる



で、

何がそんなにすごいのか



まず、第一に、材料。

ロックフォールは、羊のミルクから作られている。

その、全ての羊の親、兄弟が判明している

ご先祖様はどこまで遡れるのか


カビの元は、大きなパン・ド・セーグルから作られる。

3段階の温度でじっくり、しっかり焼かれたセーグルパンにカビの菌を植え付け、洞窟(これも、特別な洞窟)で4週間。

パンの中に出来たカビの胞子の中から、ロックフォールに適した青かびだけを取り出して使う。

これが、“Penicillium roqueforti-ペニシリウム・ロックフィルティ”




熟成場所も大切。

ロックフォールを作っているのは、今は8つのメーカーさん。

で、それぞれ作る工場は違うけれど、熟成させるのは、

アヴェロン県のロックフォール=シュル=スールゾン村にある、コンバール山の自然の洞窟の中。

石灰岩の山に出来たこの洞窟は、

“羊飼いがパンとチーズを置き忘れてきた洞窟”

つまり、チーズと青かびの“馴れ初め”の場所

自然に出来た、ロックフォールにとって、最高の熟成庫



他にも、

羊のえさ、放牧期間、飼育方法etc…

細かくAOP(以前のAOC)に管理されている酪農家さん。

規定通りの製造方法。

熟成の期間や方法…。

全てに合格が出されたものだけが“ロックフォール”と、名乗れるわけで。






チーズに携わるプロの皆さんなら、この、カビのつき方からすぐにロックフォールだと分かるという



“ロックフォール”とひと口に言っても、メーカーによって、品質が異なったりする。

上質なメーカー、自分に合うメーカーさんを探すのもおもしろいかも

機会があったら…、

機会を作って?

食べ比べをしてみよう