のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

桐のないお話

2024年05月24日 | 日記・エッセイ・コラム

 桐の花が咲いていました。

 桐が木と呼べるのかいろいろ議論はあるみたいですが、比重が軽い樹木で、日本に生えている樹木で一番比重が軽いそうです。

 役に立つような立たないような樹で、薪にするとキレイに燃えないんです。故にたんすなどの家具に用いられる材なのですが、5年くらい前になりのよい桐の樹を探している人に出会いました。やはり家具を作る目的だったのですが、霧を育てていた時代と違い、野の山に勝手に生えているものが多い昨今、状態の良い樹が少ないのだそうです。

 私が幼少の頃は桐の樹を燃やした時に燃え残った炭を、刃物を研いだ最後に仕上げに使っていました。荒砥と呼ばれる荒い砥石で砥ぎ、最後に桐の炭でなめらかに整えるのですが、今はそんなご丁寧に手入れなんてしないでシャープナーでさっさとやっちまう時代。

 会津では女の子が生まれると桐を植えて、嫁ぐときのその樹で作った家具を持たせる地域があるようですが、私の2歳下の女性もそういった思い出親が植えた桐の樹を持っていました。といっても、いわゆる一つのイ・カ・ズ・ゴ・ケ。行かず後家なもんだから嫁ぐ日は来なかったので半世紀物の大木になっていました。もはや棺桶作るだけか?なんて状態ですが、あんなの棺桶にしたら燃え残って火葬場で大変だぞ。しかも行かず後家はやたら長生きしそうな強い性格持っているし。それも桐の樹同様芯が空洞になってドーナツ状で比重も軽いからコロコロ考えも変わる性格。樹も持ち主に似るんだな。

 でも、このどさくさで売れたみたいですね。桐の方が。

 なんか、「父ちゃんからの遺産!」と、喜んで売っちゃったみたいですけど、やっと日の目を見たんですね。

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