5月25日 Noism1「ZAZA ~ 祈りと欲望の間に」@新潟・りゅーとぴあ
新潟でNoismを観るのは、もうずいぶん久しぶり。
3部形式の今回は、井関佐和子さん以外のメンバーで踊る第1部、
佐和子さんのソロが第2部、そして全員での第3部。
第1部の「A・N・D・A・N・T・E」は、バッハのヴァイオリン協奏曲から。
でも、何かが違う。バッハの音楽に何か加工がされている。
後から分かったことは、古のアンダンテと、現代のアンダンテ、
決して同じものではなかったのでは、という問いからのひとつの試み。
レコードの回転数を遅くするように、ひとつひとつの音が引き伸ばされていて、
それに合わせてまた、ダンサーの動きも呼応していく。
不思議な時間の進み方。それでも、やっぱりNoismでしか見ることのできない、
美しい景色が、今回もちゃんとあって、観に来てやっぱりよかった、と思う。
第2部は、1人4役を佐和子さんがこなす。しかもダンスだけで!
表情豊かな身体を存分に、時に羽のように大きく広げ、時に術なく崩れ落ちる。
シンプルすぎる舞台美術、その大きく立ちはだかった真っ赤な壁が、
まさか最後、その手に押され諸共倒れ崩れてゆくとは。
第3部は、これをNoismでやるか~というような、なんでもありのカオス、
そして実はダンサーたちが「やりたいこと」を出し合って生まれたという作品。
え?ほんと?とそれを聞いて思ったシーン数知れず。
経験してみたい境遇、環境、現実ではきっと受け入れがたくとも、一度ならということが
あるもの、なのかな…透明な椅子と共に、なんだかサーカスやマジックを見ているようでもあった。
何が始まって何が終わったのか、始まりも終わりもないような舞台。
でもそこにあるのは、踊る身体。やっぱり、いいな。
いつになく空席の目立った舞台。アフタートークでの金森穣さんは、
今までになく弱気で落ち込んでいらした(ように見えた)。
舞台の評価は高くとも、客席が埋まらない。ここまでの舞台をしても。
それでも、2004年から毎回ではなくとも、ここに観に来たくなる、
ちゃんと、そういうわざわざ来たくなる舞台がここにはある、と、思っています。
(ゆ)