8月30日
映画「ピナ・バウシュ 夢の教室」を観ました。1978年に初演された「コンタクトホーフ」という作品を、14~17歳の子供たちだけで踊る、というピナ自身の発想をドキュメントで追いかけたもの。
途中で、女の子が一人で、狂ったように本気で笑いながら走り回るシーンがあって「できない!」というその子に「できるわよ。一緒にやりましょう。」と先生のジョーが静かに手をつなぐ。せーの!で走り出し笑い出す二人。何周も走って立ち止まる。「どう?」息を切らせながら、ジョーが女の子の顔を覗き込む。まだ何も言えない女の子…なぜだかぐっときてしまったシーン。
ジョーともうひとりの教師の、本当に“真剣な”関わり合いが、段々に伝わって、子供たちが変わっていく。意識も生活環境もばらばらな子供たちを、舞台人の顔つきに変えていく。ピナがどんな人なのかなんて知らなかった、という子供たちが、「やってみてよかった」「自分が変わった」と。
14歳から17歳までを振り返ると、毎日が喜怒哀楽に溢れていて、子供なりにジェットコースターのような日々だったなと思います。今思えば、目に入るもの、耳にするものすべてを吸収したくて、不安も夢も一緒くたに溢れていたような時期。その時期に、ピナやジョーと共に過ごし、愛と信頼とに守られて過ごした彼女たちのそれは、本当に本当に、宝物のような時間。
(ゆ)