私はここで岩屋が開くのを待つ。開洞時刻9時。江島神社には辺津宮、中津宮、奥津宮の三つのお宮がある。岩屋があるのはその先で、江の島の一番奥。今回の目的は「岩屋」まで行くこと。岩屋には「第一岩屋」と「第二岩屋」があって、第一岩屋に「江島神社発祥の地」があった。
昨年の台風21号で岩屋含めこの遊歩道あたり、甚大な被害を被ったとのこと。フェンスも未だ仮補修中。今なお無残な姿のまま放置されているコンクリートが抉られ、へし曲げられた数十本の鉄筋むき出しになり破損した橋脚が眼下にあって・・・その被害に驚き慄いた。海の。風の。脅威。きつい。
岩屋に入る。
洞窟探検にワクワク。入ると直ぐ、満々と水を湛えた大きな池が目前に広がる。
思わず覗くと、すいすい魚が泳いでいる。その小さな赤い魚たち。どう見ても「普通の金魚」。
すぐ外は大海なのだけど。。。係りの方に伺うと岩屋の洞内には真水が湧き出でて海水ではないとのこと。納得。
天然の池に、金魚が数匹。洞内は真夏にあってもひんやりとした涼しさを保ち、澄み切った池に可愛い金魚を愛でられる極上空間。
洞内は暗くなっているので、途中で、五つ頭の龍神が描かれた燭台が渡されます。蝋燭の灯りを頼りに身を少しかがめながら・・・第一岩屋の奥へと進む。
二つに分かれた第一岩屋の左奥。小さな扉奥に、石の祠に護られるかのよう洞窟の小さな入り口が見えた。
この洞窟こそが富士山の麓にある鳴沢氷穴に続いているらしいのだ。驚いてしまったけど、ほんまに凄い言い伝えだ。
鳴沢氷穴とはどんなところなのだろう。
真実なのだ。きっと続いているのだ。この小さな洞窟の穴と。
驚きの余韻を抱えたまま・・・次は第一岩屋の右の奥を目指す。
辺りにはたくさんの仏像が鎮座しているのだけど。空海の美しい像を右奥「江島神社発祥の地」の前に見つけた。
高野山別院が江の島にあることをこの日知り、空海は江の島でも修行したのだとこの日知る。
江島神社発祥の地。
こちらの狛犬、石造りの祠。どれもそれぞれに決して大きくない。こじんまりとしているのだけどやたら大陸的な大らかさを感じた。自由だ。いいな。狛犬たちは何を手にしているのだろう。この狛犬や祠はいつごろ、どこで造られたものなのだろう。
552年に欽明天皇の勅命でここに神様を勧請したのが、江島神社の始まりと言われている。
龍神信仰のあった岩屋。第二岩屋にある龍神のオブジェ。この日はメンテナンスのため不在
ということが妙に現実的だった。笑
江の島、岩屋の奥に、まさに俗界との結界を見た思い。シンプルに。
ああ。暑い。下界に降りる。