虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

こわれゆく女 (1975/アメリカ)

2006年06月05日 | 映画感想か行
A WOMAN UNDER THE INFLUENCE
監督・脚本:ジョン・カサベテス
出演:ジーナ・ローランズ
    ピーター・フォーク
    マシュー・カッセル

 仕事で留守がちな夫と3人の子を持つメイベルは次第に奇行が目立つようになる。夫のニックはそんな妻に困り果て病院へ入れるが、子どもとともに彼女が家庭に戻る日を待つ。

 DVDで「父帰る」も見まして、これもずしっと来る映画なのですが、今日家に帰ったらこの映画をBSで放送していてつい見ちゃいました。見たいと思ってないのに、チラッとでも目に入ると見ずにはいられないのですよ、この映画。
 怖いといえば、並みのホラー映画よりず~~~っと背筋が凍る、というか固まるような気分になります。
 メイベルが正気を失っていくきっかけははっきりとは示されていなくて、映画が始まった時点でもう既に常軌を逸した状態になっています。その挙措のひとつひとつが怖い!
 スパゲティの会食シーン、スクールバス、入院直前のやり取りなど、つい歯を食いしばって見ている。
 ピーター・フォークは素晴らしい。やりきれなさを時として爆発させながらも、なおも妻を愛して、子の母として尊重していく、教養はさほどなくても責任感と愛情に満ちた夫の存在をリアルに感じさせてくれる。それだけに見るほうは痛くてしょうがない。

 それでラストシーンが、あの普段の馴れた動作で日常が帰ってきたように締めくくられるのを見て、私はほっとしているのか怖がっているのか 自分でもよくわからなくなってしまう。

 それにしても、ジーナ・ローランズのあのもつれ髪と落ち着かない動きは見てしまうと数日間つきまとわれてしまう。あのファッションも。カサヴェテス監督は自分の妻にあんなことさせられるなんて、やっぱりまず同志なんですかねえ。