虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

北京ヴァイオリン(2002/中国)

2006年05月10日 | 映画感想は行
監督:チェン・カイコー
出演:タン・ユン
   リウ・ペイチー

 中国北部の田舎で暮らす父・リウと13歳の息子・チュン。チュンは母親の形見のヴァイオリンを弾き、その腕は評判だった。ある日2人は、コンクールへ出場するため北京へ出ていく。

 ラストは泣いちゃったのですが、やはり泣かされた、という気がしました。ちょっとラストは無理やりだったような気もします。だってねえ、あの子はお父さんにとって、天から与えられたプレゼント、たからものなんだものねえ。かわいい上に才能まである。これ以上のものはありませんね。それがまたほんとに天才で、音楽的葛藤も表現とか解釈だけでテクニックには問題ない。まあ、演奏家になろうという子はローティーンでテクニック如きは卒業してるけど。それがあの駅での演奏だけで少年の望みとか、お父さん自身の気持ちとか、すとんと納得しちゃったのかなあ。
 冒頭の出産協力お礼のお金のやり取りは、はじめてみたときは「?」なところで、いまだにうまく表現できないんだけど、あのシーンでなにか親子の間の違いと関係を言い尽くしてるようにも思う。あのお父さんのドゥ・イット・ユアセルフな生きかた(あの手編みセーターは感動)も、あの子とリリのコートのいきさつも象徴的。
 金が万能になる中国の首都の世の中と、ヨーロッパの西洋音楽と、親子の愛情と、この取り合わせの画面が面白かった。ヴァイオリン演奏はスピードがあって、いつも聴いてるのとタイプが違うのでさほど感動はできなかったのです。ちなみに私は情緒纏綿なヴァイオリンが好きなのです。
 お金とか、物質主義というのがめちゃストレートに出てきている映画で、この映画の中ではまだまだ愛情が物質主義に勝ってますが、これからどうなるのでしょう。結局ラストは(社会的には恵まれないとしても)少年が真に幸福な環境を選び、そこでこそ彼の音楽が発揮されるらしい・・・が。う~~~~ん。いえ、二度目ですが、私がまだ納得できてないかな。
 ラストのチアン先生は清潔そうでハンサムでした。