虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ウィスキー (2004/ウルグアイ)

2006年05月15日 | 映画感想あ行
WHISKY
監督: フアン・パブロ・レベージャ
    パブロ・ストール 
出演: アンドレス・パソス    ハコボ
    ミレージャ・パスクアル     マルタ
    ホルヘ・ボラーニ     エルマン

 父親から譲り受けた靴下工場をそっくりそのまま経営する初老のハコボと、その片腕として長年働いてきたマルタ。何時も判で押したように変わらない二人の生活。だが、母の墓を立てるときにハコボの弟エルマンがブラジルから帰郷することになり、その間マルタに妻のフリをしてほしいとハコボが頼んだ…

 これ、見たかったのですが行けなくて、BS放送で見られて喜んだのです。でも、これ、ぜひ大画面の派手な映画ではないですが、大きい画面で見たい映画でした。カメラは据え置き、めざましい視覚効果もないけれど画面を漂うビミョーな間と「輝く」ということを排したような光の加減が面白かった。それに同じ絵が何度も出てくるのも効果的。
 「ウィスキー」とは写真を撮るときに笑顔を作る言葉。
 不器用な人間どうしの表現能力の無さの競い合いみたいなのが切ない。
 如才ないエルマンへのハコボの競争意識が思わずでちゃうところとか、マルタの女性としての欲求みたいなものがあらわになっていくところとか、それでも自分の殻から飛び出したわけでもないのが、痒いところが見つからない時のようなイライラ気分。
 ラストがほんとに見る側に投げ出されています。最後までハコボは自分の虚勢と甘えを捨ててません。馬鹿ですねえ。

 佳品だと思います。ウルグアイは映画制作のすごく少ない国だそうですが、そこからこういう映画が生まれるんですね。