虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

スモーク・シグナルズ (1998/アメリカ)

2006年05月13日 | 映画感想さ行
SMOKE SIGNALS
監督: クリス・エアー
出演: アダム・ビーチ
    エヴァン・アダムス
    アイリーン・ベダード 

 赤ん坊の時の火事を生き延びたヴィクターとトーマス。しかしその火事でトーマスの両親は亡くなり、ヴィクターの父は喪に服し続ける。12歳の時に母と自分を捨てて家を出たヴィクターの父の死の知らせがあり、ヴィクターはトーマスとともにアイダホの居留地からフェニックスへと旅立つ。

 NHKBS2のサンダンス映画祭特集はとっても嬉しい。見るチャンスのなかった映画が勢ぞろいです。「Mr.Pのダンシングスシバー」なんか、DISCASのレンタルリストでもう少しのところだったけど、削除しちゃった。「ウィスキー」も、「羊の啼きごえ」もほんとに待ってました!

 で、私はアダム・ビーチを美しいと思うのです。彼をはじめてみたのは「ウィンド・トーカーズ」でしたが、映画の出来よりもともかくアダム・ビーチが美しいと思ったのです。
 この映画でも美しいと思いました。彼が演じていたのは鬱屈を溜め込んだまま何も成さず、いささか鼻持ちならないプライドの持ち主の青年ですが、彼の美しさで存在が説得力を持ちます。若い力も、もしかしたらあるかもしれない能力も、彼の見てくれのもつ力さえも発揮しようがさしてない環境です。さらっとユーモアを交えて描写してますが、やっぱり、絶対的に貧しい世界。
 居留地なんてものの存在がまず「まだこうなのか」の驚き。全財産の額の驚き。見渡して「これだけですか」という居留地社会の狭さ、小ささの驚き。自分たちを「インディアン」と呼んでるのもびっくり。「ネイティブ・アメリカン」になったんじゃないの?最近の古い映画の字幕は「インディアン」が「先住民」になってるのに。しかし、その小さい貧しい社会で彼らの伝統にのっとった生き方を守っている。他の土地でインディアンに出会い、それとない連帯感を認めたりする。主な出演者がインディアンで、彼らの環境も実にリアルに感じるが、ストーリーはオーソドックスで、特にインディアンだからこうなるのだ、ということはない。どこでもあるような青年の心の成長を描き、爽やかなラストに気分のよくなる映画。
 トーマス役が良いです。打たれ強いいじられキャラ風で、痛々しくもあるけれど骨はありそう。彼とおばあちゃんが揃ったシーンはいつも笑えました。この映画のユーモア感覚は好きです。