虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

化石の殺人 (サラ・アンドリュース著)

2009年02月21日 | 
Bone Hunter  ハヤカワ文庫  

 地質学者にして自ら犯罪に乗り込んでいくタイプの探偵エム・ハンセンを主人公としたシリーズの日本での翻訳2作目。
 やっとのことで地質学者として就職した主人公が休暇を取って出かけた先でなんと泊まった家の主人が殺され、容疑者になってしまう。さっさと解決して社に戻らねば首が危ない・・・!

 昨年は映画にくいついてる時間が少なくなったので、久々翻訳ミステリの固め読みをして、新たなる女性探偵さんたちにたくさん出会いましたが、彼女達についてはちょっと感慨しみじみさせるものがありました。
 すでにいろいろなタイプのミステリの女性主人公が登場しているものの、女性のハードボイルドも堂にいったと思わせるられました。それもウォショースキーみたいにちょっと突っ張らなくてもすむ時代になったかな、というのがその中身です。

 この本は、謎解きだけでなくて、言論とか宗教とかやや重たい内容を上手に取り込んでます。主人公はまだまだ硬い男性優位社会も「そういうもの」として受け止めていながらも、自分のことは自分で考えて決める、という揺るがないスタンスで生きていきます。
 そして、愛を求め、求められながらも自分の生き方を優先して「彼を」残して彼女が去ります。彼女のなすべきことをするために。あてのない旅じゃなくて。
 
 E・ピータースのミステリのヒロインもシリーズ作品のそれぞれで恋人が違う、という素敵な展開を見せてくれます。要するに女は待ってる存在でも、男の港でもないんですね。ああ、良かった。
 自分の人間的な悩みも弱さも抱えたまま、事故の美学に忠実で、実力を認め合う友情を男女の別なく培います。これぞハードボイルドじゃありませんか。


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