虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

野菊の墓/伊藤左千夫著

2008年02月02日 | 
思いっきり泣きたい!

 落ち込んだ時には、思いっきり泣きたくなります。
 それも、「カリフォルニア・ドールズ」みたいにゲンコツ握って泣いて、見終わると「さあ、やったるで!」と立ち上がるような泣け方ではなくて、ただただ悲しい本とかが欲しくなります。

 それで「野菊の墓」なのです。
 映画は木下恵介監督の「野菊の如き君なりき」でなければいけません。ラストの笠智衆の肩と、渡し舟で締めなくてはいけないのです。
 話ときたら、いかに戦前とはいえ腹の立つことばかりです。犠牲者である若い2人にも「もうちょっとしっかりしろ!」と怒鳴りたい話ではありますが、なぜか問答無用でどぼどぼ泣けます。
 これはきっと、ワンセンテンスが長くて、なだらかでわかりやすい文章と、技巧なんか知ったことではない構成が、無垢な純情さ、一途さにはまっているからなのでしょう。私は「セカチュー」の文体に負けて感動できませんでしたが、この文章には有無を言わさず泣かされます。

 これと映画「コープス・ブライド」を見て、思いっきり泣いて、なんだか気持ちが綺麗になった気分で「さあ、またがんばりますか」と自分に活を入れるわけです。


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