虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

キー・ラーゴ (1948/米)

2005年02月15日 | 映画感想か行
KEY LARGO
監督: ジョン・ヒューストン
出演: ハンフリー・ボガート ローレン・バコール クレア・トレヴァー エドワード・G・ロビンソン ライオネル・バリモア 

 大戦後、フロリダの突端にあるホテル・ラーゴに亡くなった戦友の家族訪ねた元少佐フランク。そこは戦友の足の悪い老父と未亡人とで経営していたが、たまたまその時ギャングたちの取引に占拠されていた。そこへ激しい暴風雨がやってくる。

 これ、元は舞台劇だったそうで、なるほど狭いところでほとんどが進行していきます。
 BS2アカデミー賞特集のひとつで、ギャングのボスの情婦を演じたクレア・トレヴァーの助演女優賞受賞作ですが、可能性と才能に光り輝いていた若い頃をしのばせる、盛りを過ぎて荒れた生活にやつれた美人役をきちんと演じているものの、それほど唸らされることもなくて、やはり「駅馬車」の彼女は素敵だった…なんて思いました。〈素人の感想ですから!)
 ボギーという人は、若いヒヨヒヨ時代が思い浮かばない人。それで実力はあるけどちょっとすねた役。「我々が命を賭けたのはこんな世界を作るためじゃない」という虚無を抱えてしまったけれど、やはり彼本来の善なる生き方を変えられないことを悟っていく。そういう下手にやったら気恥ずかしいような役を、特撮下手だアとか思いながら彼と、きっとジョン・ヒューストンのうまさで、引き込まれてドキドキして見てしまいます。ローレン・バコールもあっさりした衣装でいかにもそれらしくきれいですが、やはり、この映画ではライオネル・バリモアとエドワード・G・ロビンソンを見てキャッキャと喜んでいました。
 ライオネル・バリモアはホテル経営者で、その近辺の先住民にも信望がある、アメリカ民主主義のいいところの精神の象徴みたいなジイサン。でも足が悪くて動けない。でも負けてない。言いたいことは言う。
 エドワード・G・ロビンソンの迫力もまた素晴らしくて、人を人とも思わない、それだけに脅しの効かない自然に対して見せるあの怯えの演技とか、「深夜の告白」の腹の据わった男とまったく違った、大物そうだが肝の小さい男の演技うま~い!
 この映画は、この2人のウエストの大きいジイサン対決がとても楽しい映画でした。

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