虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

女王フアナ(2001/スペイン、イタリア、ポルトガル)

2008年02月10日 | 映画感想さ行
JUANA LA LOCA
監督: ヴィセンテ・アランダ
出演: ピラール・ロペス・デ・アジャラ   フアナ
   ダニエレ・リオッティ  フェリペ
   マニュエラ・アーキュリ   アイサ
   エロイ・アソリン     アルバロ
   ロサナ・パストール    エルビーラ
   ジュリアーノ・ジェンマ    ド・ヴェイル伯爵
   ロベルト・アルバレス    アドミラル

 スペイン史上の黄金期にその人生の半分以上を幽閉されて過ごした狂女ファナと呼ばれた女王の一生。
 15世紀末。スペインを統一した女王イサベルのフアナ王女は、ハプスブルク家へと嫁いだ。彼女は、政略結婚ながらも夫となる美貌の貴公子フェリペに心を奪われ子供にも恵まれる。だがフェリペは浮気を繰り返し、彼女の嫉妬に狂う。そしてイサベル女王が崩御、王位継承者は夫フェルナンドではなくフアナだった…

 ファナ女王についてはじめて知ったのは堀田善衛の「スペイン断章」でした。
 暗然、というのが正直な感想でした。彼女の女としての、夫への狂気と呼ばれた執着と、王家の人間としての決然とした部分とが共存していることが気の毒でもあり、素直に賞賛したいとも思いました。どちらかに全人格を移してしまえればきっともっと苦しまない人生でしたのに。
 そして、その本の中で、狂女ファナの時代に、侍臣たちがしっかり運営したスペインの富を、その正気の息子が新大陸から流れ込む黄金もすべて浪費しつくす歴史の皮肉にもため息なのでした。

 ですので、この映画のあまりにも恋する女ばっかりを強調してるようなのはちょっとなあ…
 もっとたくさん政治的権力的なせめぎあいを絡ませてくれたほうが狂気にも納得できるんじゃないかな、と思うのです。
 主演の女優もきれいで、ちょっと独特な雰囲気があります。夫に執着し、絶対嫌われるまとわりつき方をして、なおかつ不潔感のない美貌で見事です。
 ただ、惚れられるほうのフェリペ王が確かにセックスアピールのある美男俳優ですが、酷薄さに魅力と色気がますます、とまではいかないのが残念。
 素敵なのに、なんか悔しいみたいな気分の残る映画でした。


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