虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ぜんぶ、フィデルのせい(2006/イタリア、フランス)

2008年11月18日 | 映画感想さ行
LA FAUTE A FIDEL!
監督: ジュリー・ガヴラス
出演: ニナ・ケルヴェル     アンナ
   ジュリー・ドパルデュー    マリー
   ステファノ・アコルシ    フェルナンド
   バンジャマン・フイエ    フランソワ

 1970年のパリ。9歳の少女アンナは名門カトリック女子小学校の生徒で、スペインの貴族階級出身で弁護士の父フェルナンドと雑誌記者の母マリー、弟のフランソワと裕福な生活を送っていた。ある日、独裁政権と戦っていた伯父が亡くなり、残された叔母と従姉妹がアンナのやってきた。これを境に、フランソワとマリーは次第に共産主義的な価値観に目覚めていく。アンナの日常も変わっていく。両親から宗教学の授業を禁じられたり、狭いアパルトマンへ引っ越したり、そこにはコミュニストの男たちや女性の権利のために闘争中の女性などがひっきりなしに訪れて・・・と不自由な生活を余儀なくされてしまい…。

 最近見た中では文句なし。じぃぃぃ・・・んと静かな感激のラストシーンを迎えた映画。
 こういう映画が本当に一番響くような歳になったのかな、と思います。
 主人公のアンナ役の女の子の「ふくれっ面」の魅力が喧伝されておりますが、実際目力の強力な女の子です。やわらかそうなふっくらしたほっぺの上で強い眼が輝き、彼女の成長しようとする若い芽の勢いがなんとも愛しく思えます。わがままも文句も「今のうちですがな、せいだいやりなはれ」(私全然関西とは縁はないです)というような、やんちゃを見守る近所のオバサン的な気分になってしまいます。
 弟のフランソワ役の男の子も最高。いや、親やら現状を一生懸命肯定する年頃の子どもの健気に笑わされ、泣かされます。
 両親の行動も、子どものうちからデモ参加はお祭りメーデー以外はやめたほうがいいと思いますが、ともかく一途で一生懸命で子どもへの愛は本物なので、やりすぎに見えることも不快感でなくて困ったな、という気分。言葉の表現を極力削った感じですが、それも好感です。
 
 20世紀の社会主義国家というもののいわば壮大な試みを、ぜんぶ終わったわけではないものの、ある程度週末を知っているわけです。また、この映画に登場する独裁者フランコ、ピノチェトも故人となりました。その観点から見ると、この映画も「イル・ポスティーノ」も切なさと当時の熱気への不思議さを持たざるを得ません。きっと日本の平和ボケも一因です。
 とはいえ、アンナは自分の目でものを見て考え、自分自身の足でその第一歩を踏み出しました。両親とも、祖父母とも、入れ替わり立ち代りの難民のナニーたちとも違う彼女自身の道を探しながら。
 その心細げで一歩になぜか(私の)幸福感がにじんで応援したくなるのでした。

 感想が思い切り年寄りくさくなりました。

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〈こういう映画が本当に一番響くような歳になったのかな、と思います〉
なんて上で書いてますが、いろいろ厳しかったこの数ヶ月、一番よく見ていたのはマット・デイモンのジェイソン・ボーンシリーズとディズニーの「魔法にかけられて」でありました。やっぱ畳み掛けるアクションとか、お家芸の華やかなミュージカルシーンとか出来のいい画面と予定調和は心の友です。


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