虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

3回行きました

2005年10月13日 | 映画感想た行
ぶつぶつ文句言っちゃった「チャーリーとチョコレート工場」ですが、気がつくと3回行ってました。
吹き替え版の歌が違和感なく聞けたのは感心しました。
それで「ファンタスティック・フォー」も「シン・シティ」も見逃してます。
「ファンタスティック4」は金曜までです。
間に合うでしょうか。

私って、やっぱりロアルド・ダールもバートン監督も好きなんですね。(何をいまさら)

「私を馬鹿げていると仰ってもかまいませんことよ」
と、「エースを狙え!」のお蝶夫人か、「おにいさまへ…」の一の宮蕗子のような口調で言ってみたいですが、両方ともこんなこと絶対口にしないキャラだなあ。

河内山宗俊 (1936/日本)

2005年10月13日 | 映画感想か行
監督: 山中貞雄
出演: 河原崎長十郎  [4代目] 河内山宗俊
    中村翫右衛門  [3代目] 金子市之丞
    市川扇升   直次郎
    山岸しづ江   お静
    原節子    お浪

 ヤクザの親分に使われて露店から金を集める浪人・金子。賭場と酒場の女将の女房と二人で生きている河内山宗俊はふとしたことから意気投合する。そして河内山のところに出入りする直次郎は、実は広太郎という、昼は雑貨屋、夜は甘酒で懸命に生きるお浪の弟だった。広太郎のために300両という借金を負い身売りしたお浪を、二人は何とか救おうとする。

 これ、話の図式は単純なんですが、結構ジ~ンと来ます。なんたって原節子が美しい。それも本当に無垢な美しさ。池波正太郎が「剥きたての茹で卵のような」という面白い形容詞で描くような、乙女の真に穢れなき清純さ、って感じです。甘ったれでダメダメな弟をひっぱたいて無言で身売りを決心するシーンの顔のアップからのシーンは、文楽人形のようです。大の男が命を捧げて悔いない美女、というより永遠の乙女。ただ美しいだけじゃダメで、この無垢な清らかさが命取りなんですね。そして手も触れぬ花のために、どぶ泥の中に死んでいくのです。…山田風太郎の小説を思い出させます。「二都物語」もちょっと。

 直侍がこのヒヨヒヨの直次郎では原典からするとあんまりだな、とは思う。宗俊、市之丞の「身をえう無きものと思いなし」たような男たちの、すがれた男っぷりが素敵です。「人のために死ねるんなら、生きてる意味もある」という呟きや、意気がってるだけの広太郎を「一人前の口をきくな」とどやしつけてそれが実感を持つのは、二人ともが世の無常を骨の髄まで知った男たちだからです。この映画も暢気な役付き侍やヤクザ、色町など、面白さと滑稽の裏側に世の非情さが漂います。

 この映画では「丹下左膳」ほどには場面転換などに驚かされないんだけど、進行がなめらか、ともかくテンポがめちゃめちゃいいです。