イ代表はリーダーシップに相当な打撃を受けることになった。衝撃に陥った民主党内部で、イ代表の進退をめぐる悩みも深まるものとみられる。

2023-02-28 10:02:04 | 韓国を知ろう
 

韓国最大野党代表の逮捕同意案、

所属議員離反の中「かろうじて」否決

登録:2023-02-28 06:22 修正:2023-02-28 06:49
 
 
共に民主党のイ・ジェミョン代表が27日午後、国会本会議場でハン・ドンフン法務部長官がイ代表の逮捕同意要請理由説明をしている間、しばし天井を眺めている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表に対する逮捕同意案が、27日の国会本会議で、多くの民主党議員らが離反した中かろうじて否決された。大庄洞(テジャンドン)・慰礼(ウィレ)新都市特恵開発と城南(ソンナム)FC疑惑などで憲政史上初の拘束令状が請求された野党代表の逮捕同意案は、国会の敷居を越えることができなかったが、「圧倒的否決」に自信を持っていた党内から30票以上の離反が出たことで、イ代表はリーダーシップに相当な打撃を受けることになった。衝撃に陥った民主党内部で、イ代表の進退をめぐる悩みも深まるものとみられる。

 この日の国会本会議で、無記名投票で行われたイ代表の逮捕同意案は、在席議員297人のうち賛成139票、反対138票、棄権9票、無効11票で否決された。逮捕同意案の可決には在籍議員(299人)過半数の出席に、出席議員(297人)過半数(149人)の賛成が必要だが、賛成が149票に及ばなかった。逮捕同意案が否決されたことで、イ代表は拘束令状実質審査を受けないことになった。同日の開票過程で「カ(可)」、「プ(否)」のハングル表記が明確でない票2枚の処理をめぐり、与野党が神経戦を繰り広げる場面もあった。キム・ジンピョ国会議長は与野党の院内代表協議を経て、1票は反対票、1票は無効票で処理した。

 同日の表決を控えて、民主党は議員総会などを通じて逮捕同意反対側に総意を集め、「単一隊伍」と「圧倒的否決」に自信を示してきたが、所属議員169人全員が本会議に出席したにもかかわらず、反対票は138票に止まった。イ代表は表決直前の発言でも「法治の仮面をかぶった政権の退行に厳しい警告を送ってほしい」と否決を訴えたが、少なくとも党内で31人が賛成または棄権、無効票で離反したものとみられる。棄権票などでかろうじて否決させることで、イ代表に警告を送る結果となった。反対票138票は、昨年12月のノ・ウンレ議員の逮捕同意案が否決された際の161票にはるかに及ばない。

 民主党幹部のある議員は「イ代表に対する警告」だと分析した。これに先立ち、与党の「国民の力」(115人中114人本会議出席)と正義党(6人全員出席)、時代転換(1人出席)は逮捕同意案に賛成する方針を示した。ヨン・ヘイン基本所得党議員は反対票を投じる意向を明らかにした。

 イ代表は逮捕同意案否決後、記者団に「検察の令状請求が極めて不当であることを民意の殿堂である国会で確認した」とし、「党内でもっと意思疎通を図り、多くの意見を取りまとめ、力を集結して尹錫悦(ユン・ソクヨル)独裁政権の検事独裁に立ち向かう」と述べた。

 しかし、国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長は記者団に、「事実上、逮捕同意案が可決されたも同然だ。イ代表に対する政治的死亡宣告が下された」と語った。正義党のリュ・ホジョン院内報道担当も「イ代表と民主党は重く受け止めなければならない」と述べた。大統領室高官は記者団に対し、「特に申し上げることはない」と立場を表明しなかった。

チョ・ユニョン、オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
 

韓国法相と最大野党代表、

国会で逮捕同意案めぐり「矛と盾」の論理対決

登録:2023-02-28 05:36 修正:2023-02-28 07:10
 
国会本会議での逮捕同意案の表決を控え 
拘束令状請求をめぐり激しい攻防戦
 
 
野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が27日午後、国会で開かれた本会議で、本人の逮捕同意案の表決に参加している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 27日、韓国の野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表とハン・ドンフン法務部長官はイ代表の逮捕同意案の表決を控え、「矛と盾」を彷彿とさせる論理対決を行った。ハン長官は「キム・マンベ一味との詐欺的な内通」だと主張して拘束の必要性を強調し、イ代表は「法治の仮面をかぶった政権の退行」だと反発し、議員らに対し逮捕同意案の否決を訴えた。

 ハン長官はこの日の逮捕同意案の表決に先立ち、「大庄洞(テジャンドン)事件、慰礼(ウィレ)事件、城南(ソンナム)FC事件は、罪質と犯行の規模の面からして、1件だけでも拘束に値する重大犯罪」だとしたうえで、「今回の逮捕同意案は、他の国民と同じように裁判所の審査を受けてほしいというものであり、『裁判官の前に立つようにしてほしい』という要請」だと述べた。

 ハン長官はこの日、本会議場の壇上で約15分間にわたり様々な比喩を混ぜつつ、イ代表の犯罪疑惑を一つひとつ説明した。昨年12月の共に民主党のノ・ウンレ議員に対する逮捕同意案の表決の際、「お金の封筒がガサガサと立てる音までそのまま録音されている」と語り、被疑事実公表の論議を呼んだことを意識したかのように、わかりやすい表現で議員への説得に乗りだしたようにみえた。

 ハン長官は「慰礼新都市・大庄洞開発特典疑惑」を「キム・マンベ一味との詐欺的内通」とし、「営業社員が100万ウォンの携帯電話を所有者(城南市民)に内緒で知人(キム・マンベ一味)に10万ウォンで売ったようなもの」だと比喩を用いて述べた。また「イ市長側は、慰礼と大庄洞の共謀指針書を、ナム・ウクやキム・マンベら一味と共同で作成した」とし、「受験生が試験問題を自ら出題するようなもの」だと畳みかけた。さらに、大庄洞開発事業を「檀君以来最大の政治功績」だと主張していたイ代表の言葉を引き合いに「市民の立場としては『檀君以来最大の損害』という言葉がふさわしい」と皮肉った。

 
 
ハン・ドンフン法相(左)が27日午後、国会の本会議で共に民主党のイ・ジェミョン代表の逮捕同意の要請理由を説明している。右は同日、イ代表が本人の逮捕同意案の表決に先立ち一身上の弁明を行っている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 ハン長官が比喩を交えて表現するたびに、共に民主党の議員の座席側からは抗議の発言が出てきた。イ代表は議員席で目をとじたまま黙ってハン長官の発言を聞き、時折、同意しがたいというように笑いを見せたりもした。

 続いて一身上の弁明に出たイ代表は「令状の容疑内容は非常に強引だ」と述べ、大庄洞事業は5503億ウォン(約570億円)の公益還収の成果を上げ、城南FCの広告誘致は適法だったと反論した。イ代表は「50億クラブには免罪符を与え、(大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が関与した)ドイツモーターズ(株価操作事件)は捜査しない尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察が、イ・ジェミョンは必ず捕まえるとして検事60人余りを投入し、およそ1年にわたり調べ続けている」として、「捜査が事件に関わりのない人に向かっている。ターゲットを捕まえるまで行う司法狩り」だと述べた。さらにイ代表は「法治の仮面をかぶった政権の退行に、議員の皆さんは厳重な警告を送ってほしい」と述べ、議員らに逮捕同意案の否決を訴えた。共に民主党の一部議員は、イ代表の発言が終わると拍手を送った。

 与党「国民の力」はこの日、イ代表の逮捕同意案の可決に向けて、現職の国会議員であるチュ・ギョンホ副首相やパク・チン外交部長官、クォン・ヨンセ統一部長官まで総動員令をかけたが、ハン長官とイ代表の発言の際にはこれといった反応は示さず、見守るだけだった。ハン長官とイ代表の発言の際に呼応したりヤジを送った場合、共に民主党を刺激しうるため反応するなという指導部の要請に従ったのだ。一方、ハン長官は、イ代表の逮捕同意案の否決後、記者団に「国会議員の不逮捕特権は、このように使うためではないと思っている」と述べた。ハン長官は「否決の結果を評価してほしい」という要求に対し、「私が評価するものではなく、国民が評価すると思う」と答えた。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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