北朝鮮向け拡声器放送中止…韓国大統領室、
南北関係改善に向け先制措置
北朝鮮向け拡声器放送が1年ぶりに中止された。李在明(イ・ジェミョン)政権発足から7日で行われた措置だ。行き詰っていた南北関係の改善に向け、先制措置を取るという李在明大統領の意志が反映されたというのが、大統領室の説明だ。
韓国軍合同参謀本部の関係者は11日、「午後から対北拡声器放送を上部の指示で中止した」と述べた。これについて大統領室の関係者は同日午後、「李在明大統領が大統領選挙の過程で国民に約束したことを実践した」とし、「李大統領は、ここのところ北朝鮮の重大な挑発がない状況で、緊張緩和に向けた先制的措置として、拡声器放送の中止という決断を下した」と説明した。
同関係者はさらに「今回の措置は南北間の軍事対峙状況を緩和し、相互の信頼回復の扉を開くためのもの」だとし、「政府は今後も国民の安全と朝鮮半島の平和という二つの原則を中心にして、関連事案を慎重に検討し、措置を取る」と補足した。李在明大統領は大統領選候補時代、南北間の偶発的衝突の防止と状況管理のため、2年以上途絶えている南北の連絡チャンネルを復元し、北朝鮮へのビラ散布と北朝鮮向け拡声器放送も中止する構想を示した。
拡声器放送の中止は、韓国側の北朝鮮へのビラ散布が北朝鮮の「汚物風船」飛ばしを呼び、その後、韓国軍の対北拡声器放送の再開と北朝鮮の対南拡声器放送へとつながった悪循環を、韓国が先に断ち切るという意志の表明と言える。昨年11月以降、北朝鮮が「汚物風船」を飛ばしていないことも、拡声器放送中止の背景とされる。北朝鮮は、韓国側の拡声器放送の中止に対し、まだ対南拡声器放送の中止など相応の措置は取っていない。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は昨年6月4日に国務会議を開き、「相手に対する一切の敵対行為の全面中止」を明示した9・19南北軍事合意について、「全ての効力停止」の決定を下し、5日後から対北心理戦の手段である拡声器放送を再開した。当時、大統領室は北朝鮮向け拡声器放送の再開方針を示す際、「我々が取る措置は北朝鮮政権にとっては耐えがたいかもしれないが、北朝鮮の軍と住民たちにとっては光と希望の便りになるだろう」と述べた。
しかし、尹錫悦政権のこのような主張を裏付けるような、拡声器の技術的性能や対北心理戦の効果について、この1年間に具体的かつ客観的な資料は提示されていない。昨年、非武装地帯や京畿道(キョンギド)、江原道(カンウォンド)などの南北境界地域では、南北から聞こえる拡声器の音で将兵や住民たちが眠れないなど、日常生活に支障をきたしているとの不満の声が高まった。
訳H.J
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます