昨年1月、労働党第8回大会で明らかにした「強対強、善対善の原則」から「善対善」が消え、「真っ向勝負」が新たに加わった。

2022-06-13 14:47:17 | 朝鮮を知ろう。

金正恩総書記、「核」には触れなかったが…

「善対善」除外し「強対強の真っ向勝負」

登録:2022-06-13 06:10 修正:2022-06-13 06:49
 
8~10日の全員会議…韓国に対しては「対敵闘争」 
「労働新聞」の報道文には「核」言及せず 
専門家ら「7回目の核実験が必要な場合はいつでも実施しうる」
 
 
金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長は8~10日、平壌労働党中央委本部会議室で開かれた労働党中央委第8期第5回全員会議の拡大会議で、「自衛権はすなわち国権守護の問題」だとし、「強対強の真っ向勝負の闘争原則を改めて表明した」と「労働新聞」が11日付で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は8~10日、平壌(ピョンヤン)の労働党中央委本部会議室で開かれた労働党中央委第8期第5回全員会議の拡大会議で、「自衛権はすなわち国権守護の問題」だとし、「強対強の真っ向勝負の闘争原則を改めて表明した」と、「労働新聞」が11日付で報じた。昨年1月、労働党第8回大会で明らかにした「強対強、善対善の原則」から「善対善」が消え、「真っ向勝負」が新たに加わった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足を機に急速に悪化する「韓米対北朝鮮」の対峙構図と関連し、対話・交渉局面への転換を期待しないという間接話法と言える。ただし、金総書記が会議で対南・対米政策に関して具体的にどのような言及をしたのかについては、「労働新聞」は報道しなかった。

 金総書記は「国家の安全環境は非常に深刻で、周辺情勢はよりいっそう激化しかねない危険性を帯びている」とし、「国家防衛力強化に引き続き力を入れることについて強調」し、「共和国の武力と国防研究部門が強く進めていくべき戦闘的課題を提示した」と、同紙は報じた。しかし、関心を集めている7回目の核実験の最終決定について、会議でどのような議論が行われたかは報じられなかった。8124字に及ぶ「労働新聞」の会議結果に関する報道文に、「核」は一度も登場しなかった。しかし、複数の元韓国政府高官は12日、「7回目の核実験は、金正恩が必要だと判断する時には、いつでも行われるだろう」と指摘した。7回目の核実験の可能性が消えたわけではないという指摘だ。

 しかも、韓国を事実上狙った「対敵闘争」という表現が登場し、北朝鮮を「我々の敵」と規定した尹錫悦政権に対する政策基調が非常に強硬である可能性を示唆している。金総書記が「対敵闘争と対外事業部門で堅持すべき原則と戦略戦術的方向を明らかにした」と同紙は報じたが、これは直前の労働党全員会議(第8期第4回、2021年12月27~31日)の時の「北南関係と対外事業部門で堅持すべき原則的問題と一連の戦術的方向」という表現から、「北南関係」を「対敵闘争」に変えたものだ。北朝鮮との交渉・協議の経験が豊富な韓国の主要関係者らは「今後、南北関係が心配だ」とし、「南北間の軍事的衝突を防いだ制度的装置である『9・19軍事分野合意』が破棄される状況は、いかなることがあっても避けなければならない」と助言した。

 金総書記は、北朝鮮が直面している状況を「類例のない国難」と「未曾有の厳しい試練」に喩えた。さらに「全般的に経済の上昇推移を続けている」と述べたが、普段の話し方に比べると、上半期の経済計画成果が不振だという自己評価に近い。そして「農作業と消費品の生産」を「今年の経済課業の急務」に挙げた。また「人民経済遂行」が「党と人民に対する忠誠であり、献身的服務」だとし、「あらゆるものを集中」させるべきだと強調した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大と、2年5カ月にわたる長期国境閉鎖の影響で揺れる民心をなだめるために、党と政府の行政力を注ぎ込むべきという指針だ。金総書記はこのような中でも、「今年計画された重要対象建設の課題(大型建設計画)を無条件に多連発的に完遂せよ」と注文した。

 新型コロナウイルス感染症の感染者発生を公に確認(5月12日)してから1カ月が経った「国家非常防疫」と関連し、金総書記は「突発的な重大な山場を越え、封鎖中心の防疫から封鎖と撲滅闘争を並行する新しい段階に入った」と述べた。「労働新聞」の12日付の報道によると、北朝鮮の新型コロナ関連の新規有熱者(発熱症状のある者)は約4万60人で、11日連続で減少傾向が続いており、累積有熱者は約443万2900人で人口全体(2537万人)の17.5%に達したという。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 呉報道官は会談後に開かれた... | トップ | 同研究所は核保有国として、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

朝鮮を知ろう。」カテゴリの最新記事