韓国、ガス・電気代高騰に…
飲食店やサウナから「悲鳴」続出
電気料金の引き上げに暖房装置の使用も減らし
ソウル市冠岳区(クァナック)で24時間営業のスンデクッ(豚の腸詰のスープ)や豚骨煮込み店を運営するLさん(55)は、ここのところ心配事が多くなった。一日中スープを煮込むためガスを使わなければならないが、ガス代が大幅に上がったためだ。29日昼、Lさんは「先月より60%はガス代が増えるものと思われる」とし「飲食店でガス代を節約しろというのは食べ物を作るなということ。経済が厳しい状況だからある程度は受け入れなきゃならないが、いっぺんにかなり値上げしてこれに対する説明もないのは間違っているのでは」と話した。
「暖房費爆弾」の請求書が、家庭だけでなく自営業者も襲っている。特に都市ガス料金の引き上げ幅が大きく、ガスの使用が多い飲食店や銭湯が打撃を大きく受けた。急激な引き上げ幅に、自営業者の不満も高まっている。
この日、ソウル市永登浦区(ヨンドゥンポグ)の永登浦区伝統市場でガンギエイ食堂を経営しているキム・ソンスクさん(56)は「従来は冬季のガス代は20万ウォン(約2万1千円)程度だったが、今月だけで36万ウォンだった」と言い、不満をぶちまけた。「料理を作らなければならないので火を弱くすることもできず、お客さんが寒がるので暖房を弱めることもできない。ほかに方法がない状況」だとし「ガス代の高騰で市場の人たちは皆大騒ぎだ」と話した。近くでスンデクッ屋を営むKさんも「一昨年の冬に20万ウォン台だったガス代が、去年の秋に30万ウォン台を超え、今月の請求書は38万ウォン(約4万円)になった」とし「スープを煮なきゃならないのでガスの使用を減らすこともできず、ガスの火をつける度にガス代がもっと上がるのではと思って怖い」と話した。
新型コロナウイルス感染症による廃業の危機を乗り越えた銭湯やサウナの事業主は、さらに深いため息をついている。ソウル市銅雀区舎堂洞(トンジャック・サダンドン)で100坪を超えるチムジルバン(温浴施設)・サウナを運営しているあるオーナーは、電気ボイラーと木材ペレットを燃料に使うボイラー、ガスボイラーなどを数台を稼動している。「本来は冬がピーク期なのにお客さんは減っていて、ガス代は2倍も上がって大変だ」と話した。さらに「コロナ禍以降、短縮営業をしながら持ちこたえてきたが、今は30年間やってきたサウナを閉めなければならないかと考えている」と付け加えた。カウンターでは人件費を減らすためにオーナーの家族である母娘が働いており、値上げのためサウナ料金表には8000ウォンの上に9000ウォンと貼りつけた跡が見えた。
学生たちが勉強する読書室(スタディルーム)も、ガス代の引き上げに頭を抱えている。60坪規模で運営する冠岳区のある読書室は、オフシーズンなので一部の部屋にだけ暖房をつけており、床が冷たかった。しかし、ガス代は1年間で2倍近く上がった。昨年1月と今年1月の都市ガス請求書を比較したところ、月の使用熱量は1万407MJ(メガジュール。ガス使用熱量単位)から1万2226MJに約18%増えたが、ガス代は26万ウォンから48万ウォンへと85%上がった。
都市ガスを使わない自営業者も、電気料金の引き上げで暖房装置の使用を減らしている。永登浦で花屋を営むアン・ミョンヒさん(54)は、「以前は温風機3台をつけていたが、今回電気代が普段の2倍以上かかったため、1台に減らした」とし、「温風機1台をあちこちに移して稼動してつけている」と話した。アンさんは風よけのために売り場の周辺にビニールカーテンをかけたが、寒さのためいくつかの植物は葉が凍ってしまった。ダウンベストの上にダウンジャンパーを着た永登浦市場内の洋服店オーナーのホン・チャンソンさん(57)は「電気料金が大幅に上がるというニュースを聞いて、温風機を5分ほどつけては消している」と話した。彼は時計を見て「つけてから5分たったな」と言い、また温風器を消した。
韓国都市ガス協会の資料によると、今月のソウル都市ガス料金は1MJ当たり19.69ウォンで、1年前に比べて38.4%上昇。特に昨年10月には、飲食店に使われる「営業用1」のガス料金が16.4%、銭湯に使われる「営業用2」のガス料金が17.4%引き上げられた。今月に入り、体感温度が氷点下の冷え込みに落ちた日がさらに増えたため、自営業者にとって来月がさらに過酷になる見通しだ。
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